「エッセ」愛くるしくも、車の楽しみが純粋に詰まった名車

今まで色々な車に著者自身乗ってきましたが、車好きの方もそうでない方も含めて、最も印象の良かった車が、ダイハツが手がけた軽自動車エッセです。軽自動車ということで周囲から身の丈にあった生活をしていると思われるのかもしれませんが、エッセに関しては、決してそれだけではありません、実用的なパッケージングに愛くるしいスタイリング、安くて実用的だけでは決してない、多くの魅力がエッセには詰まっているのです。

ダイハツについて

ダイハツ工業は大阪府池田市に拠点を置く自動車メーカーです。現在トヨタの連結子会社となっています。日本で最も長い歴史を持つ自動車会社で、その歴史は1907年にまで遡ります。「発動機製造株式会社」という名で発動機(後のエンジン)を製造する会社でした。1907年に同社が設立されてから、後発メーカーが多数できたため、顧客が発動機を区別するため「大阪の発動機」を縮めて「大発」つまり「ダイハツ」と呼ぶようになったのが、社名の由来です。1930年から自動車業界に参入し、当時はオート三輪を手がけ、時代の流れと共に1960年代から四輪車への生産へとシフトしていきました。現在は軽自動車の開発に非常に強みを持っており、2014年の新車販売台数では日本一の栄冠を獲得しています。現在は同じく軽自動車に力を注いでいる「スズキ」に押され、2015年の新車販売台数では日本一の座を逃してしまっています。
このダイハツ、余談ですが1968年にすでにハイゼットEV(電気自動車)を販売しています。
2012年にもハイゼットEVの実証実験を行っており、市販こそされていませんが、今後EVの分野でも活躍を期待したいところです。

前述の通りトヨタ自動車とは非常に密接な関係を築いており、前トヨタ自動車副社長の白水宏典氏がダイハツの会長に就任するなどしています。ダイハツで開発した軽自動車をトヨタでは主に「ピクシス」という名でOEM供給もしており、トヨタエンブレムの付いたダイハツ社を購入することもできます。
余談ですが、ダイハツにはトヨタからプリウスが「メビウス」という名でOEM供給されており、実はダイハツのエンブレムが付けられたプリウスを購入することができます。できますが、まだ数台見かけたことがある「ピクシス」に比べ、「メビウス」は町で見かけたことが全くありません、ある意味幻の車です。



エッセについて

デザイン良し、走り良し、使い心地良し、そして安価な隠れた名車

2005年から2011年にかけてダイハツから販売された、最も安価な軽自動車がエッセです。発売当初の価格は本体価格は68.2万円~112.3万円、2005年当時からフル装備の軽自動車では200万円を超える車種も多かったため、エッセは非常にお財布にやさしい車だったと言えます。
エッセの特徴はデザイン・パッケージング・機械にまでシンプル性が追求されていることが上げられます。インテリアではAピラーなど各所に鉄板がむき出しになっている箇所があるのですが、その部分に外装と同じ塗装を施し、非常にポップな内装を実現しています。スタイリングもリアがストント落ちた形状をしており、どこかルノーの5(サンク)を連想される味のあるスタイリングを獲得しています。タントなどの軽自動車規格をいっぱいに使った車と違い、全高も全幅抑えられており、同時期に販売されていたほかの軽自動車と比較しても、コンパクトな外観を得ています。外観こそコンパクトなものですが、室内空間は想像以上に確保されています。リアの形状によりラゲッジルームこそ高さが足りないのですが、リアシートを倒せば十分な容量のスペースを確保できています。大人4人乗りではありますが、さすがにリアシートの使用は子供用もしくは緊急用と割り切ったほうが無難です。この記事を書いている筆者自身もエッセを一時期所有していましたが、リアシートは常に荷物置きとして使用していました。リアシートさえ稼動させれば折りたたみ自転車くらいなら乗せておけるくらいの容量はありますので、日常で不満を感じることはなかったように思います。
インテリアやエクステリアの外観が優れていますが、その方向性は上質ではなくポップといった方が良いでしょう。自動車で質の良いインテリアだと良くも悪くもその時代の高級車が強くイメージされることがありますが、エッセの場合は元々女性へも受け入れられるデザインも追求されたのか、雑貨のようなポップで可愛いという印象を見る人にも乗る人にも与える車になっています。
そして、シンプルな軽自動車ではありますが、思った以上に走りが良い車でもあります。足回りやトランスミッション・エンジンに至るまでシンプル性とコストが意識されています、スタビライザーと呼ばれる左右のサスペンションを繋げてコーナリング時の車体の動きを一体的にするパーツがあるのですが、エッセにはコストの関係からか装備されていません。しかし、実際に町で乗ると、乗り心地に不満を覚えることはありませんでした、既製品のパーツをコストを重視して組み上げてはいるものの、600kg台の非常に軽量な車体と相まって、とても軽快に街中を運転できる車となっています。

修理もチューニングも簡単・安い♪

出典: http://dsport-web.com/front-lower-brace/?carID=23
高級外車や日本車でもハンドメイドで作られるような車というのは、修理するのに部品1つ調達するのも手間とお金が掛かることが往々にしてあります。しかし、エッセであればそんな心配は不要です。
構成するパーツにスペシャルなものがないエッセなら、サスペンションやドアのような部品でさえも、ヤフーオークションなどで多数出品されており、しかも非常に安価です。車を所有していく時に最も経済的なのは、その車を必要なときに修理しつつ、長年乗り続けることです。このパーツの調達が用意でしかも安価なエッセは、長く乗り続ける愛車としての大事な部分を押さえているといえるのではないでしょうか。
ここからが車好きには大事な部分なのですが、エッセにはコペンなどダイハツが手がけるスポーツモデルに使われているパーツをほぼ無加工で流用できるという点です。トヨタ資本が入っているダイハツでは車体を構成するパーツの共通化が図られているために、エッセでも他の上位車種に使用されているパーツをほぼボルト音で取り付けられる場合が多いのです。特にダイハツのスポーツモデルであるコペンだと、上位も出るにはビルシュタイン製のサスペンションが装着されているのですが、そのサスペンションをほぼそのまま流用することが可能です。他にも、基本となる車体のプラットフォームが共通のミラアヴィなどから前後のスタビライザーを流用できますし、エッセより上質なモデルとして設定されたソニカからは、エッセよりも数段グレードの高いリアシートをボルト音で流用できてしまいます。
車としての基本を抑えているエッセでは、素の状態で非常にバランスのとれた上質の素材となっています。そのため、サスペンションの変更、スタビライザーの前後装着、LSDの装着、タイヤのアップグレードをダイハツの他車種から流用してアップグレードしていけば、それだけでワインディングを気持ちよく駆け抜けられる車に仕上げることができてしまいます。エッセに装着されるKF-VEエンジンは660ccでNA、出力は58PSとカタログ上は非常に非力です。しかし、実際に運転してみると軽量な車体とレブリミットの8,400rpmまで軽快に吹けあがるエンジンおおかげで、思った以上にスポーツ走行を楽しめてしまうのです。そもそもレブリミットが8,400rpmという時点ですごいことで、ホンダの誇るピュアスポーツS2000に搭載される名機F20Cエンジンのレブリミットが9,000rpmです。エッセはそんな車に肉薄するエンジンを備えているといえるのです。
考えてみてください、700kg台の軽量なボディに8,400rpmまで吹けあがるエンジンをシンプルな5MTで操ることができるのです、これが楽しくないわけがありません。

新車価格と比べると、少々高い中古車価格

これはエッセだけでなく軽自動車全体にいえることですが、あらゆる面で経済製に優れる軽自動車は、中古車市場で非常に人気がある商品です。ただ、新車登録がそろそろ10年になるエッセでは、オートマモデルにでは非常に安価な玉も出始めています。それに反して5MTモデル、その中でも先にあげたような基本的なチューニングを施してあるような固体だと、新車価格に肉薄する値付けをされている固体も少なくありません。2016年1月現在の中古車を一部例に挙げておきます。

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スペック

ボディタイプ軽自動車
ドア数:5ドア
乗員定員:4名
型式:DBA-L235S
全長×全幅×全高:3,395×1,475×1,470mm
ホイールベース:2,390mm
トレッド前/後:1,310/1,300mm
室内長×室内幅×室内高:1,795×1,300×1,225mm
車両重量:710kg

エンジン・燃料系
エンジン型式: KF-VE
最高出力:58ps(43kW)/7200rpm
最大トルク:6.6kg・m(65N・m)/4000rpm
種類:水冷直列3気筒DOHC12バルブ
総排気量:658cc
内径×行程:63.0mm×70.4mm
圧縮比:10.8
燃料供給装置:EFI(電子制御式燃料噴射装置)
燃料タンク容量:36リットル
使用燃料:無鉛レギュラーガソリン

環境仕様
10モード/10・15モード燃費:24.5km/リットル

足回り系
ステアリング形式:パワーアシスト付きラック&ピニオン
サスペンション形式(前):マクファーソン・ストラット式コイルスプリング
サスペンション形式(後):トーションビーム式コイルスプリング
ブレーキ形式(前):ディスク
ブレーキ形式(後):ドラム(リーディングトレーディング)
タイヤサイズ(前):145/80R13 75S
タイヤサイズ(後):145/80R13 75S
最小回転半径:4.2m

駆動系
駆動方式:FF
トランスミッション:5MT
LSD:なし
変速比 第1速:3.416
第2速:1.947
第3速:1.250
第4速:0.916
第5速:0.750
後退:3.142
最終減速比:4.933

あればよかったターボモデル

デザイン・走り・価格と車を楽しむために必要な部分が全てそろったエッセですが、運転しているとどうしてもパワーが欲しくなる点は否めません。そこで注目したいのがエッセのボルトオンターボ仕様です。軽自動車のボルトオンターボ仕様は30万円ほどで依頼することができ、インタークーラーなどの補記類やECUの設定のよっては100馬力近くまで出力を引き上げることが可能なようです。フィットクラスのコンパクトカーで大体130馬力前後となるので、エッセの軽量な車体でこれだけの出力がでていれば、ワインディングを十分に楽しめる仕様となるのではないでしょうか。

時折中古車で見かけるボルトオンターボ仕様

エッセにターボを付けようと考える方は案外いらっしゃるようで、中古車検索サイトを見ているといつ見ても大体1・2台はエッセのボルトオンターボ仕様が販売されています。2016年1月現在ではボルトオンターボ仕様ではなくソニカに搭載されているKF-VEエンジンのターボモデルにエンジンを換装してある車を見ることができました。ボルトオンターボにしてもターボエンジンへの換装している車体にしても、おおよそ総額100万円程度で販売されていることが多いように思います。
素の状態のエッセを1からチューニングするのと比べて割安かどうかは、ターボ以外の部分も含めた総尾号的なチューニングの内容にもよるところですので一概には言えません、トラブルもあるかと思いますので、しっかり試乗をすることと、販売店などのサポートをしっかり受けられるかを確認しておくことが購入を検討する場合重要となってきます。



安いからこそ楽しめる、車の本質がそこにある

車を楽しむために必要な要素として、最も重要なのが、案外コストパフォーマンスではないかと筆者は思っています。そうしたコストパフォーマンスを考えたときに、総合的なデザイン・パッケージング(使い勝手)・動力性能・拡張性・経済性と全ての部分が高次元でバランスよくまとまっているのがエッセです。車を普段の足として使う場合でも、自分好みにチューニングを施す場合でも、どんな方向にも柔軟に対応し、しかも安価に維持できる。本当の意味で名車です。
もちろん、車というのは趣味性の高い部分もありますので、万人にお勧めできるわけではありません。しかし、エッセから乗り換えた今でも、車のことを知れば知るほどに、エッセという車に色あせない魅力を感じてしまうのです。