プジョー206 ちょうど良い+お洒落=最高!

205が切り開いた日本におけるプジョーの市場を盤石の体制にした206。国産車にたとえるならトヨタのヴィッツ、日産のマーチと同クラスの車です。つまり、日本でもとっても使い勝手が良いってことです。そこにフランス車特有の絶妙なおしゃれ感の上乗せで、日本でも大人気になりました。そんな206の魅力をもっと解剖してみましょう。

プジョーにとっての“2”シリーズ

プジョー家の事業は順調に発展を続け、新しい工場をポンドロワド、ヴァランティニェ、およびボーリューに設立しました。現在でもPSAプジョー・シトロエン社が使用している工場です。製品ラインナップも多様化し、スプリング、コルセット用ボーン、傘のフレーム、コーヒーミル、そしてもちろんあの有名なライオンマークが刻印された工具も。
1850年に、初めてライオンブランド名を冠した製品が登場し、ライオンマークは1858年に商標登録されました。

自動車の生産

出典: http://www.about.peugeot.co.jp/history-1889/
自転車、三輪車の生産を経て、1889年にプジョー初の自動車が誕生しました。レオン・セルポレと共に開発した蒸気三輪車セルポレ・プジョーです。この時すでにプジョー工場では1,100名の従業員が働いていました。1890年、アルマン・プジョーは、スチームを断念し、ダイムラー製のガソリンエンジンを搭載したプジョー・ブランド初のガソリン四輪自動車Type 2を製造します。1891年、リゴルとドリオの二人が、ガソリンエンジンの四輪自動車Type 3でパリ‐ブレスト往復レースに参加しました。ヴァランティニェとブレスト間の往復2,200kmを、時速14.7km/hで走破しました。このType3の車は全部で64台製造されました。

初の3ケタモデル

出典: http://www.about.peugeot.co.jp/history-1919/
プジョーの伝統でもある真ん中にゼロを挟んだ数字3ケタの車名が登場したのは、1931年のことでした。“201”と名付けられた6馬力モデルです。
世界で初めて、前輪に独立懸架式のサスペンションを標準採用した車になりました。201は大ヒットを収め、プジョーが1930年代の経済危機を乗り越える足がかりとなりました。

“なぜ最初が2なの?”って言う声が聞こえてきそうですね。実は、“10×”という車名はすでに使われていたのです。それは“モペット”と呼ばれる、自転車にエンジンを付けたような乗り物でした。

こぼれ話

ポルシェ911シリーズの原点は、コードネーム901なんです。本当はコードネームをそのまま車名にするつもりでしたが、ゼロを挟んだ3ケタ数字のすべてがプジョーによって商標登録されていたのでした。仕方なく911にしたという逸話が残っています。



2シリーズの変遷

プジョーの自動車史において屋台骨となっている2シリーズの変遷をご紹介します。

シトロエンの後塵を拝した202

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%BC
Peugeot 202 1934年、ライバルであったシトロエンが、前輪駆動・モノコックボディを採用した量産乗用車“トラクシオン・アヴァン”を世に送り出しました。
先を越されてしまったプジョーが、最先端の“流線型ボディ”で対向したモデルです。

202には、日本と関係の深い逸話があります。それは、プリンス自動車第一号車“プリンス・セダン”のエンジン設計の手本となったという話。
第二次世界大戦直前、ブリヂストン創業者石橋正二郎は、渡仏する友人で弁護士の楢橋渡に「一番評判の良い小型車を買ってきてくれ」と頼みました。楢橋が選んだのがプジョー・202だったのです。戦中戦後にわたって石橋家の自家用車となったばかりか、石橋がオーナーとなった富士精密工業の最初の4気筒エンジン“FG4A”を設計する際の手本にされました。
このエンジンは改良が加えられ、スカイラインに搭載されたのでした。

アメリカンデザインに傾倒した203

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%BC
Peugeot 203 アメリカ車の影響色濃いデザインですが、プジョー初のモノコックボディ車です。中身は革新的で、凝った造りのクロスフロータイプエンジンや、プジョー初のコイルスプリング採用モデル。

ピニンファリーナによるモダンデザイン

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%BC%E3%83%BB204
Peugeot 204 プジョー初の横置きエンジンの前輪駆動モデルです。とはいえ、トランスミッションとデフがエンジンの下に配置されたイシゴニスレイアウトでした。
プジョー初の前輪ディスクブレーキのモデルでもあります。 出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%BC%E3%83%BB205
PEUGEOT 205GTi 204から比べるとグッと近代化されて見えますね。これぞプジョーの大ヒットモデルにして、日本でもプジョーの名前を知らしめた205GTiです。デザインはピニンファリーナで、同社が生産まで担当したカブリオレも人気でした。
ドラマや雑誌にもよく使われて、お洒落な小型車として認知されました。缶コーヒーのCMに登場した赤いCTiがとても印象的だったのを憶えています。

おまたせしました!

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%BC%E3%83%BB206
PEUGEOT 206XS 205の後継車として、1998年9月のパリサロンで発表された206。永く続いたピニンファリーナとの蜜月に決別し、社内デザインチームが手掛けました。
日本ではお洒落なイメージと手頃な価格で大ヒットし、プジョー・ジャポンの屋台骨を支えるモデルとなったのでした。2000年に同社の年間販売台数は1万台を超えました。
日本向けの右ハンドル仕様は、イギリス・コヴェントリー近郊のライトン(Ryton)工場で生産されていました。



日本への導入モデル

初期導入のXT/XS

出典: http://www.carsensor.net/catalog/peugeot/206/F001/
PEUGEOT 206XT 1999年5月に導入された最初のモデルは、1.4L・SOHCエンジンの“XT(3/5ドア)”、1.6L・SOHCエンジンの“XS(3ドアのみ)”、“XTプレミアム(5ドアのみ)”の3グレード。全車右ハンドル+5速M/Tの組み合わせ+1.4Lには4速A/Tの設定がありました。

2001年2月に1.6LエンジンをDOHCに変更+4速A/Tを追加しました。同時に熱線反射フロントガラスや運転席シートリフター、後席中央ヘッドレスト&3点式シートベルトなど、安全・快適装備を全モデルへ標準化しました。

スポーツモデルのS16

出典: http://www.goo-net.com/catalog/PEUGEOT/206/9000450/
PEUGEOT 206S16 1999年6月に追加されたスポーツグレード“S16”。2.0L・DOHCエンジンを搭載したホットハッチモデルで、モータースポーツのためのベースグレードでした。

オープンエアのCC

出典: http://www.goo-net.com/catalog/PEUGEOT/206/10036035/index.html
PEUGEOT 206CC 2001年4月に“CC(クーペカブリオ)”を追加しました。1.6Lエンジン+4速A/Tのみの設定。実は、1998年3月にコンセプトカーとして発表された“ツー・オー・ハート”の市販化でした。一般的な幌屋根ではなく、メタルトップのクーペボディながら、屋根部分が折りたたまれてトランク内に収まるという斬新なアイデア“リトラクタブルルーフ”を採用しました。

2002年5月に“CCS16”が追加されました。もちろん、2.0L・DOHCエンジン+5速M/Tです。

全仏オープンタイアップモデル ローランギャロス

出典: http://www.goo-net.com/catalog/PEUGEOT/206/10010580/
PEUGEOT 206ROLAND GARROS 2002年9月に専用ボディカラー“タイブレーク・グリーン”+グリーンとアレザンの2トーンレザー内装+パノラミックルーフという豪華装備の5ドア上級グレード“206ローラン・ギャロス”を400台で限定発売しましたがすぐに予約完売しました。

スポーツワゴン?ステーションワゴン?のSW

出典: http://www.gooworld.jp/catalog/PEUGEOT/206/10024889/index.html
PEUGEOT 206SW 2002年10月に追加された“206SW”。日本では“XS”と“S16”の2グレードが輸入されました。“SW”は、スポーツワゴンの略ともステーションワゴンの略とも言われましたが、プジョーは明言していません。
206の持つ小型軽量によるフットワークの良さに加え、ステーションワゴンの使い勝手の良さ、しかもワゴンなのにダサくないデザインが受け、ステーションワゴンの受けが悪い日本にしてはたくさん売れました。

ベースグレードの強化

出典: http://www.goo-net.com/catalog/PEUGEOT/206/10036033/index.html
PEUGEOT 206Style 2003年1月に“XT”と入れ替えられたエントリーグレードの“Style”。
8月にはフロントバンパーの形状を変更し、一部内外装が上級グレードと統一されました。

WRCのイメージ

出典: http://www.goo-net.com/catalog/PEUGEOT/206/10012441/
PEUGEOT 206RC 2003年10月に、WRCのイメージを踏襲する3ドアのスポーティモデル“206RC”を追加。日本では左ハンドルのみの設定でした。

“空”という名の高級グレード

出典: http://www.goo-net.com/catalog/PEUGEOT/206/10026980/
PEUGEOT 206Cielo 2005年4月には“XTプレミアム”と入れ替えで、XSの外観+大型グラスルーフを備えた5ドアの“Cielo”を新設しました。
グレード名の“Cielo(シエロ)”はフランス語で“空”の意味で、開放感を表しています。

で、どんな車なの?

出典: http://www.carsensor.net/catalog/peugeot/206/F001/M004G005/
歴史とかバリエーションとか長々と書きましたが、肝心のインプレッションはどうなの?って感じですよね。私のメカニック人生の後半はまさにこの時期でしたので、実にたくさんの206をメンテナンスしていましたし、すべてのバリエーションに乗ったことがあります。
自身でもXTプレミアムをベースにしたローランギャロスに乗っていましたので(カミさんの足として)、試乗レベルではなく実用インプレッションにしましょう。
少し前の記憶ですが、脳みそをフル回転させて引っ張り出してみます。

初対面の印象

出典: http://www.carsensor.net/catalog/peugeot/206/F001/M004G005/
XT・XSがデビューして、“なにも違いが無いのに、ずいぶん雰囲気が違って見える”という印象でした。3ドア/5ドア以外に違いが見つけられなかったのですが、あきらかに“おっとり”と“いくぞ!”っていう違いがありました。
実はXTとXSでは、前後バンパーのスカート部分の形状が違うんです。フロントグリルの大きさも違います。たったこれだけのことで、車の性格まで変えて見せるプジョーのデザインは“上手いなぁ”と関心せずにいられませんでした。

オーソドックスの大切さ

出典: http://nagasaki.peugeot-dealer.jp/cgi-bin/WebObjects/111c62c5682.woa/wa/read/pj_11edf7680fc/
1.4L&1.6L・4気筒エンジンの横置きFFレイアウト。足周りはフロントにマクファーソンストラット、リアはトレーリングアームという実にオーソドックスな構造の206。
加えてフランス車らしからぬ硬めの印象に加えて座面が平坦なシート。以前のような“包み込まれるような感じ”がありません。
“これは楽しいのか?”と思いながら走り出すと、これがまた見事なほどに印象が違うんです。さっきオーソドックスと書いた足周りのセッティングが絶妙で、しっかりとフランス車らしさを継承しているではありませんか。
多めにとったホイールストロークと良く動く前足。いつまでも粘りながらついてくる後ろ足。まさにプジョー伝統の“ネコ足”です。
はじめに感じた硬い印象は、各部の剛性が格段に上がったからでした。お世辞にも褒められたものではなかったヨレヨレの205に比べたら、“こいつはドイツ車か?”と思うほどしっかりしています。

S16&RC

出典: http://st-rallysport.com/peugeot%20206%20wrc%20kit.html
PEUGEOT 206WRC S16は、WRC参戦用のベースモデルですので、スポーツカーとしての素性は文句なしですね。2.0L・DOHC16バルブエンジンは実にパワフルで、街中では右足を抑えるのが大変です。ただエンジンの重量増のせいか、フロントヘビーに感じました。実際、草レースで小さなコーナーを突っ切ってしまい、山を登りかけたことがあります。
RCはS16のさらにホットバージョン。エンジンの性格が全く違います。トルク寄りのS16に比べてブンブン回るのがRCですね。内外装にもスポーツ風味が追加されていて、よりスポーティなモデルです。

意外な人気モデルのSW

出典: http://www.carmag.co.za/news_post/peugeot-206-sw/
日本ではステーションワゴンって不人気ですよね。昭和の頃は、各社ミドルクラスのトランクをストレッチしたワゴンをリリースしていましたが、今はワンボックス・モノスペースが人気ですので仕方がありません。
そんな中、意外な健闘を見せたのがSWでした。兄貴分の307にも設定があり、プジョーのラインナップの中ではともに販売台数が伸びたモデルです。
最大の魅力は、まとまりが良い206のデザインを壊していないところだと思います。およそワゴンらしくないスタイルですから、便利に使えるSWを選ぶ気持ちがわかります。

CC(クーペ・カブリオレ)

出典: http://www.convertiblecarmagazine.com/buyers_guide/peugeot-206-cc/
CCは“よく考えたな”という印象です。一般的には、屋根を落とすことでボディ剛性も失うのですが、実にしっかりしていました。しかもたいして重量も増えていませんので、206の軽快な印象のままオープンエアが楽しめます。ルーフ前方のフックを外してスイッチを押すだけ。20秒足らずでコンバートできますし、閉じればメタルトップの完全なクーペですから、置き場所に悩む必要もありません。ただし、リヤシートは+2以下の扱いですので、長時間は無理ですよ。まぁ、2シーターで手荷物を置くスペースがしっかりあって、何なら人も乗せられるという割り切りがベストです。

まとめてみます

見た目はほとんど変更されていませんので、できるだけ高年式を選ばれることをおすすめします。“どうしてもXTの控えめなバンパーが好きだ!”ということでしたら仕方がありませんけど。見落としがちな前後期での違いはヘッドライトとテールランプです。特にヘッドライトは、後期モデルはマルチリフレクターの採用でとても明るくなりました。業界では“キラキラヘッド”と呼んでいたほどです。
Styleの導入でベースグレードの装備も充実しましたし、お好みと使い方でバリエーションを選んで下さい。定期メンテナンスさえ怠らなければ、全く不安無く乗れるはずです。
我が家がローランギャロスを選んだ理由は、あの絶妙な色づかいと革の内装、そしてパノラミックルーフ(屋根がほぼ全面ガラス張り)です。