【プジョー107】日本で走らせたい日仏の混血児

先代の106の生産終了が2003年。そんな頃、プジョーが新しいコンパクトをつくっていると言われていましたが、蓋を開けたら出てきたのは1007でした。106の後継車はもうリリースされないのかと思っていたところへ107のニュースが飛び込んできました。でも残念ながら、日本への正規輸入はされませんでした。実は日本で走らせるのに最高のパッケージのはずなのですが、強烈なしがらみから逃れられなかったようです。

プジョー107の生い立ち

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%BC%E3%83%BB107
プジョー107のデビューは2005年です。先代の106は1991年から販売されていて、2000年を過ぎたあたりから後継車はまだかと言われ続けていました。106自体とても良くできた車で、欧州はもちろん日本でも不思議なくらい売れていましたが、さすがにパッケージが時代遅れになってきたことに加えて307がデビューしていましたから、順番的にも1シリーズの次世代モデルがデビューするハズでした。
ところが2003年に106の生産は終了したものの後継モデルの発表はありませんでした。コンパクトでキビキビ&キュッキュと走る106は1代限りで終わってしまうのかと噂していたところへプジョーから次世代コンパクトのアナウンスが!
誰もが107の登場かと思いきや、出てきたのは1007というなんともへんてこりんな(でも好きですが)車でした。1007に気を奪われていた頃に、やっと107の噂が聞こえてきますが、プジョーからのアナウンスはあろう事か“日本市場への導入はなし”という悲しい知らせでした。
かくして107が大手を振って日本の道を走ることはなかったのです。とは言っても、並行輸入業者さんが何台かは輸入していますので、まったくないわけではありません。ただ、“そうとう少ない”ことは間違い有りません。 プジョー 106 フランス流 “韋駄天” ホットハッチ|GOIN[ゴーイン]
かつて日本には“韋駄天ターボ”と名付けられた車がありました。本来は5ドアハッチバックの小型大衆車として開発されましたが、後に元気なエンジンを積んだ3ドアモデルが追加されました。その走りはまさに“韋駄天”。ところ変わっておフランスでも似たような出生の車がありました。プジョー106という小さなハッチバック車です。

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プジョー 1007 電動ドアを開けて乗り込む未来感覚がステキ|GOIN[ゴーイン]
プジョー1007。それはトールデザインのスモールワゴン。両側電動スライドドアを採用しているのが1番の特徴です。いつも3ケタを使うプジョーが初めて4ケタを採用したモデルでもあります。以降“従来のカテゴリーにとらわれない新しいコンセプト”のモデルに4ケタを使っていますね。そんな1007とはどんな突拍子もない車なのでしょう?

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プジョー107という車

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では107とは一体どんな車なんでしょう。プジョーがシトロエンと同盟を組んでいることはご存じでしょうか。この2社はPSAと名乗り、プラットフォームやコンポーネントを共有・共同開発することで開発及び生産コストを抑えるという共同作業をしています。この2社に歩み寄り、合弁会社を設立したメーカーがいたのです。
なんとそれは“世界のトヨタ”でした。こうして生まれた“トヨタ・プジョー・シトロエン・オートモービル”という会社で生産されたのが107なんです。もちろんシトロエン版である“C1”と、トヨタ版である“アイゴ”も生まれました。フロントフェース及びリアエンドのデザインこそ各社の個性が出ていますが、プラットフォームとエンジンはすべて共通です。

【スペック】
ボディタイプ:3ドア ハッチバック及び5ドア ハッチバック
エンジン:ガソリン 1KR-FE型1.0L直列3気筒DOHC・68PS
     ディーゼル DV4型1.4L直列4気筒SOHC・55PS
変速機:5速MT
駆動方式:FF
サスペンション:前 マクファーソンストラット
        後 トーションビーム
全長:3,405mm
全幅:1,615mm
全高:1,465mm
ホイールベース:2,340mm
車両重量:880kg

PSA、トヨタ、お互いにメリットが

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PSAとトヨタの同盟は、お互いに下心があってのことでした。PASはトヨタの持つ次世代コンパクトガソリンエンジンや小型車に先進技術を詰め込むノウハウを手に入れたかったのでしょう。おかげで208に以降のプジョー・シトロエン車はダウンサイジングエコエンジンを搭載できています。
対してトヨタが手に入れたかったものは何でしょう。それは日本よりも10年先を行っていると言われていたコンパクト&エコディーゼルエンジンの技術です。日本では乗用車とディーゼルエンジンの組み合わせは人気がなく、主力商品になり得ないために開発が遅れていました。トラックをはじめ商用車に使うことが中心のディーゼルエンジンを、小さく軽く快適でクリーンに、という発想がありませんでした。
ところが欧州では、その燃費のよさからディーゼルエンジンの人気は高く、むしろガソリンエンジンよりも開発に力を入れてきたのです。気がつけばその差は歴然でした。欧州から流れ込むであろうディーゼルエンジンの波に乗り遅れるわけにはいきませんから、トヨタはこのような手法をとったのでしょう。



マイナーチェンジ

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2000年ごろから続けてきた“大きく口を開けて笑っているイメージ”から一転、2010年には“おちょぼ口イメージ”への社内的なデザインアイデンティティ変更に合わせて、フェイスリフトを受けました。ちょっと無理矢理感がありますが、なんとか口をすぼめた感じになっていますね。

実は日本で使うべき車?

PSAとトヨタの合弁会社とは言え、プラットフォームもエンジンも共通ですからほぼアイゴのOEM状態です。と言うことは、日本の街で使うのに快適に決まってるじゃないですか。だって、アイゴと同じということは、トヨタパッソ/ダイハツブーンと兄弟ってことですよ。
プジョーは日本で売りたかったでしょうね。売れること間違いなしですし。先代の106が、左ハンドルのみの導入で、しかも自動車税が無駄になる1.6Lのうえにマニュアルトランスミッションのみという仕様にも関わらず日本であれだけ売れたのですから、107はもっと売りやすいハズです。
でも、日本への導入は見送られました。2シリーズとの棲み分けが難しいと判断したのかもしれませんね。もしくは大企業からの圧力があったのか…

最後にまとめ

残念ながら実際に乗ったことはありませんが、トヨタの技術満載ですからある意味とても安心して乗れる車ではないでしょうか。このサイズなら通勤から買い物まで抜群の機動性でしょうし、子供二人まででしたら家族での移動も十分です。残念なことに後継の108も正規輸入はされていません。日本市場を見据えるのなら、2シリーズよりもむしろこちらを安価に…と思ってしまいます。