ハイブリッドだけではない!トヨタのマイナーおすすめ車種2015年版

ハイブリッドやミニバンのイメージが強いトヨタ自動車。けれども実は、それ以外でも魅力的なモデルを沢山ラインアップしているんです。あまり宣伝されないものの、たまには存在を思い出して欲しいマイナーなおすすめモデルをまとめてみました。

イギリス生まれイギリス育ち:アベンシス

アベンシスはトヨタがヨーロッパで展開するDセグメントの乗用車で、フォルクスワーゲン・パサートやプジョー・508、ルノー・タリスマンのライバルに相当します。日本には2004年から2008年まで2代目が販売されたあとに一旦輸入が途絶えていましたが、ラインアップをステーションワゴンに絞って、2011年から3代目の最新モデルの輸入を再開しました。2012年と2015年に大幅なエクステリアの変更が行われ、2015年の変更ではインテリアも全く新しくなっています。

トヨタの輸入車「アベンシス」が先進安全装備を充実。燃費も改善 | clicccar.com(クリッカー)

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トヨタ アベンシス | トヨタ自動車WEBサイト
toyota.jp アベンシスの公式ページです。カタログ情報の確認をはじめ、オーナーの皆様の評価の閲覧、見積りシミュレーション、他車比較シミュレーション、カタログ請求などができます。

トヨタが作った欧州車

アベンシスはトヨタのヨーロッパでの販売の要であるイギリスで開発され、そしてイギリスで製造されてヨーロッパ全土へ輸出されています。

アベンシスの全長は約4.8m、Dセグメントと呼ばれるボディサイズに該当し、フォルクスワーゲンやシュコダ、セアト、プジョーやルノーなどのライバルがひしめく中に投入されていますが、過酷なヨーロッパでの使用環境に耐えられるべく、ライバルに引けを取らない剛性の高さや走行安定性、そして日本車ならではの信頼性の高さを併せ持つモデルです。

日本車に限らず自動車は仕向地によって細かい仕様が変更されています。これは理に適ったことですが、日本車の欧州での評判を聞いて、是非向こうの仕様で乗ってみたいと思う人は少なくありません。アベンシスはそんな日本車の欧州仕様車に乗りたいという願望を体現した存在とも言えるでしょう。

そして、欧州車に乗りたいけれども家族の反対や周りの目が原因になって諦めている方にとっても、アベンシスは是非おすすめの1台です。

新型トヨタ・アベンシス 開発責任者に聞く(2015年10月) | GAZOO.com
2015年10月、アベンシス マイナーチェンジ。内外装デザインを変更、Toyota Safety Sence C新搭載。開発責任者の上田泰史主査にお話を聞いた。

gazoo.comトヨタ自動車株式会社

最新の安全装備も装備、一方でパサートとの価格差も縮小

2015年のマイナーチェンジでは外観をトヨタの世界戦略車に与えられる共通の「キーン・デザイン」を採用、またこれまで縦方向のラインを基調としてインテリアも刷新され、ダイナミックで若々しいデザインになりました。これらは好みがあるので、一概に朗報ではないかもしれませんが、今のアベンシスはまだまだ現役で行くぞという意思表示とも捉えられます。

またトヨタ・セーフティー・センスCを装備。レーザーレーダーと単眼カメラで前車との衝突を防ぎ、またレーン逸脱時はドライバーへの警告を行います。輸入車らしく作動速度域が140km/hまで拡大されているのも見逃せないポイントで、標準装備されるサイドエアバッグやカーテンエアバッグ、そして日本車では珍しいニーエアバッグと合わせて、安全装備は大方揃っています。

しかし一方で価格は安いグレードでも274万円、クルーズコントロールやフォグランプが付いた高いグレードでは298万円に到達。ライバルとなるパサートのトレンドラインは348万円ですが、アベンシスにはオーディオやナビが装備されていないので、場合によってはこの価格差は更に小さくなってしまう点には注意が必要です。

これでもイギリスでの両車の販売価格に比べるとアベンシスはお買い得なようですが、アベンシスはリセールが悪いのも泣き所。価格に目を取られず、モデルとしての魅力に惹かれたかどうかで選んだ方が間違いはなさそうです。



充実の衝突安全性能:ist(イスト)

istはヴィッツをベースにしたクロスオーバー風のコンパクトカーで、初代は2002年に登場、価格帯を超えた品質の高さで注目され、ヒット作になりました。その流れで2007年には2代目を発売するも、3ナンバーとなった横幅の広さが敬遠されてか初代ほどのヒットとはならず、現在は月販100台を下回っています。

トヨタ ist | トヨタ自動車WEBサイト
toyota.jp istの公式ページです。カタログ情報の確認をはじめ、オーナーの皆様の評価の閲覧、見積りシミュレーション、他車比較シミュレーション、カタログ請求などができます。

6つのエアバッグで充実した衝突安全

istが発表された当時のトヨタはサイドエアバッグやカーテンエアバッグを今後全車に標準装備することを発表し、istにも総計6つのエアバッグが備わっています。2000年代後半には、より安くこれらの装備を標準装備化したモデルが他社にもありましたが、2010年代に入り衝突防止機能の方が重視されるようになり、サイドエアバッグの採用例が減ってくるという「先祖返り」を起こす中で、189万円で全部付いてくるistの存在は今となっては貴重になりました。

但し、予防安全の点では一世代前の水準に留まっていて、トヨタの各モデルで採用が進む衝突防止ブレーキは採用されていません。月販台数を考えると、このまま採用されずに終わってしまうかもしれません。

小回りの効かなさに注意

istを選ぶときに気をつけないといけないのは取り回しの悪さです。1.7mを超える横幅は珍しいものではありませんが、問題は5.5mという最小回転半径の大きさです。

小回りが効かないことで知られるスズキ・スイフトの上級モデルが5.2m、小回りがとにかく効かないのが欠点とされるプジョー・208が5.4mだということを思うと、これはちょっといただけません。

ちなみに同じトヨタのクラウンの最小回転半径は5.2m、北米での販売を前提に開発されたistと国内に特化したクラウンを比べるのはフェアではないかもしれませんし、実際には全長がずっと短くオーバーハングが短いistの方がクラウンよりも切り返しが少なくて済むのですが、購入前の試乗はお忘れなく。

アストンマーティンも認めた小型車:iQ

2008年に登場したiQは全長3mを下回る短さと、5ナンバー枠をいっぱいに使い切る横幅の、特異なプロポーションを持つ小型車です。同種のモデルが他にスマートくらいしかないことから注目を浴びましたが、日本でスマートが売れないのと同様、iQの販売台数も徐々に鈍り、2015年に入ってからは月販70台前後で推移しています。

トヨタ iQ | トヨタ自動車WEBサイト
toyota.jp iQの公式ページです。カタログ情報の確認をはじめ、オーナーの皆様の評価の閲覧、見積りシミュレーション、他車比較シミュレーション、カタログ請求などができます。

高い安全性と大人3人乗れるパッケージ

iQは小型ながら、9つのエアバッグを持つ高い安全性と、助手席を前に出して後ろに座らせる、事実上の3+1で乗車定員2名のスマートに対する優位性を掲げて登場しました。この9つのエアバッグにはフロントやサイドなど標準的な6つに加えて、運転席のニーエアバッグ、助手席のシートクッションエアバッグ、追突に備えたリアウィンドウのカーテンエアバッグがあり、既存の小型車と同等以上の安全性を確保を目指していたのです。

しかし運悪く発売された2008年はリーマン・ショックが起こり景気は減速、軽自動車の様な維持費の優位性がないiQの販売台数は、初期需要が行き渡ったところで大幅に失速してしまいます。更にこの時期から軽自動車も洗練が進み始め従来持たれがちだった安かろう悪かろうというイメージを脱却しつつあり、動力性能の面でも優位性に乏しいiQは、この点でも苦戦を強いられました。後に1.3LやMT車が追加されるものの、テコ入れにはなりませんでした。

2011年には、iQの品質水準や自動車としての成り立ちに注目したアストンマーティンから、1台150時間をかけてカスタマイズされた専用内外装を持つプレミアムモデルとしてアストンマーティン・シグネットが発売されましたが、2013年には生産中止に。一説には販売台数は150台に留まります。

品質は高いけれどもAピラーの死角に注意

実際にiQを選ぶ上で問題になるのは、試乗したユーザーの多くから指摘されている助手席側のAピラーの死角の大きさです。ドライバーのシートポジションにも左右されますが、付け根の太さや大きめのドアミラーは左折時に気を遣い、3人乗車で助手席を前に出してしまうと、更に左方向の視界の悪さに追い打ちをかけます。

しかし潤沢なコストがかけられたiQのコンセプトはオンリーワンのもの、今後出てくるかは不透明です。是非一度注目してみることをおすすめしたいモデルです。



豪快な北米向けSUV:FJクルーザー

FJクルーザーは元々は輸出専用車でした。しかしそのデザインに注目した人が北米から逆輸入するケースが相次ぎ、当初日本で販売しないと言っていたトヨタが重い腰を上げ、日本国内での販売を開始したモデルです。

トヨタ FJクルーザー | トヨタ自動車WEBサイト
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元は輸出専用車

元々北米向けということもあり、エンジンはV型6気筒の4.0Lという豪快なもの。燃料はレギュラーでOKですが、カタログ燃費の数値は8.0km/Lに留まります。分かっていて買う人にとっては問題ないのですが、大排気量アメ車の様な設計思想はブランドイメージの構築上よろしくないのか、あまりこのモデルが積極的にPRされているのは見掛けません。

硬派なパートタイム4WDは普段使いには活かし辛い

FJクルーザーの四輪駆動は、普段は後輪駆動のパートタイム式。必要に応じて全後輪を直結し、更に後輪のデフロックや電子制御による空転輪へブレーキを掛ける機能と合わせて、悪路走破性を高めることに特化した仕様となっています。これはオフロードを走る方なら分かる、硬派な仕様なのですが、このシステムには一方で舗装路では原則として前輪に駆動力をかけられないという欠点があります。

ですからオフロードを走らないけれども、四輪駆動だから雨の日でも安心だし、だからSUVを買おう…と考えている人には、不向きな選択肢となります。加えて横幅1.9m超と大柄なFJクルーザーの悪路走破性を活用出来る機会も、日本では滅多にないでしょう。

そういう部分も全部踏まえた上で、デザインが気に入ったんだ!と割り切ることが出来る方にはおすすめのモデルです。

実は本格派の四輪駆動:ラッシュ

2006年に発売されたラッシュは、ダイハツ・ビーゴの兄弟車。前身となるトヨタ・キャミならびにダイハツ・テリオスの後継車として販売され、またキャミと異なりトヨタが主体となって開発されたモデルです。(製造はダイハツ)

販売から年数が経ち、最近では忘れられがちな存在となっていますが、蓋を開けるとなかなか硬派なSUVです。

トヨタ Rush | トヨタ自動車WEBサイト
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センターデフとデフロックを装備した本格派フルタイム4WD

ラッシュにRAV4、ヴァンガードにハリアー…いろいろなSUVがラインアップされているトヨタですが、実はこの中ではラッシュは異色な存在です。

その要となるのがデフロック機構付きの機械式のセンターデフを持つ四輪駆動。常に出力を前後に5割ずつ振り分けるフルタイム方式で、また必要に応じて全後輪を直結するデフロックで、スタックからの脱出なども容易にします。常に四輪駆動を活用出来るという点や取り回しの良さなど、FJクルーザーとは対極の存在です。

流石に古い4AT、気付けば廃止されてしまった5MT

ラッシュの難点は設計の古い4ATしか選べないことです。登場時の2006年当時は小型車では4ATが沢山残っていましたが、今となっては流石に見劣りします。もちろん変速段数の少ないATでも、CVTなどに比べて運転感覚が良かったり、カタログ燃費ほどは実燃費はそれほど変わらなかったりということはあるので、一概には欠点ではないのかもしれませんが…

ラッシュには、当初は他に5MTの設定がありました。悪路走行を考えるとコントロールしやすい5MTに優位性があったのですが、これは廃止。他にも横滑り防止装置と排他装備だったセンターデフロックがあったのですが、これも廃止。

本格的な四輪駆動の割に、街乗りSUVに近付いてしまったのがラッシュの難点です。とはいえ、美点も沢山残されていますし、特に雪道スペシャルを探されている方には、おすすめしたいモデルです。

まとめ:マイナーなのには理由があるが、条件が合えば…

以上5車種をご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?

アベンシスはさておき、他の車種は忘れられつつある今日この頃。しかしそれぞれ、他のトヨタの人気モデルには持っていない代え難い個性を持っているのも確かです。ですからその個性を求めている方には、是非おすすめしたいモデルです。

また、この手のマイナー車種はモデルチェンジされなかったり、モデルチェンジされても結局日本では販売されなかったりということがしばしば。手に入らなくなる前に、自分にぴったりのモデルがないか、チェックされてみてはいかがでしょうか。