日本向きの小粋なパリジェンヌ ルノールーテシアを斬る

2014年の4代目デビューから好調な売れ行きを見せるルノールーテシア。“すぐ壊れる”の代名詞であるフランス車。その代表格であるルノーの看板娘であるルーテシアが、なぜ日本で売れるのか。実はちょっと気になっていた、あなたの“怖いもの見たさ“を満足させるべく、ばっさりと斬り込んでみましょう。2015年11月更新

激動の歴史を持つルノー

まずはルノーというメーカーについておさらいします。創業は1898年と言いますから、自動車産業創業期にあたります。いわゆる“FR”、フロントエンジン・リアドライブを発明したのはルノーです。FRを採用した小型自動車が大成功を収め、さらに第一次大戦中は戦車やタクシーの製造も手掛け、順調に生産規模を拡大します。ところが第二次大戦に大敗したフランスはドイツの占領下に。ルノーは会社と従業員をまもるためにドイツ軍に協力しますが、後にそれがきっかけで創業者ルイ・ルノーは投獄され、獄中死を遂げます。終戦後の1945年、シャルル・ド・ゴール将軍によりルノーは国営化され、ルノー公団となります。以降は小型車を中心に業績を高め、1986年に念願の民営化を果たしました。1999年、日産自動車を傘下に収めたのはご存知の通りです。モータースポーツにも造詣が深く、F-1はもとよりラリーやツーリングカー選手権にも参加しています。フランス国内では、自社モデルで行うワンメイクレースもありますし、フォーミュラルノーはF-3への登竜門として、最高峰クラスを目指す者が集まります。

数字からの脱却

80年代まで、ルノーの車種名は、他のヨーロッパメーカーたちの慣習にならい数字で構成されていました。ルノー4(キャトル)、ルノー21(ヴァン・テ・アン)、ルノー25(ヴァン・サンク)など。今でもBMWに代表されるように、この伝統を継承しているメーカーも少なくありませんが、90年代に入り数字以外の車種名を採用するメーカーが出始め、ルノーも数字からの脱却を決意します。その初めの一歩がルーテシアでした。先代は、元祖“小粋なパリジェンヌ”と称されたルノー5(サンク)です。

いわく付きの命名

さてこの“ルーテシア”という名前、実は本名ではありません。“ルーテシア”は日本でのみ使われている名前です。ヨーロッパでは“クリオ”と呼ばれています。サンクの後継者としてクリオがデビューしたわけですが、すでに日本には“クリオ”という名前が商標登録されていました。当時はホンダの販売チャンネルが“クリオ・プリモ・ベルノ”だったのです。クリオの名前が使えないことが発覚し、日本だけで使う名前を考えなくてはならなくなりました。そうして決まったのが“ルーテシア”という名前だったわけです。これはパリの古名である“ルテティア”に由来しているそうです。

どんな車?

では、ルーテシアってどんな車なんでしょう。ヨーロッパには自動車を車格で分類する“セグメント”という呼び方があります。ルーテシア(クリオ)は“Bセグメント”に分類されます。Bセグメントは、おおむね全長が3750mmから4200mmまでの車種で、排気量が1Lから1.5Lのガソリンエンジンを搭載しています。ただし、車両サイズ、全長、価格、車両の装備や車両の持ち合わせるイメージなどの複数要件に因る分類ですので明確な数値基準はありません。日本でいうところの“コンパクトカー“がまさにBセグメントにあたります。ただ、パッソ/ブーン、マーチ、ミラージュなどのエントリークラスは、“Aセグメント“に分類されますので、1ランク上の車格であるヴィッツ、ノート、フィット、デミオなどがルーテシアと同じBセグメントに分類されます。ただし同じBセグメントでも、フランス車の場合は大きな違いがあります。古い歴史ゆえに、今も石畳の残る街並み。そんな街中を快適に走るためには、足回りに独特の設定を施さなくてはなりません。これが旧来、“フランス車は乗り心地がよい”と称されてきた答えです。ただソフトにするだけではふわふわと落ち着かないのですが、柔らかいバネとしっかり目の減衰設定のバランスが合うと、素晴らしい乗り心地が誕生するのです。

小型・軽量・コンパクトの代名詞

ルーテシアのルーツであるサンクもそうでしたが、FF&モノコック設計により、小型・軽量・コンパクトを実現しています。家族や友人と、4人で乗るのに必要十分なサイズと動力性能を持ち合わせています。と、ここまではいわゆるコンパクトカーならすべてに通じますね。ルーテシアの最大の魅力は、洗練されたそのデザインではないでしょうか。ファッションの中心地であるパリの血統を、正当に引き継いでいるルーテシアは、パリジェンヌにはもちろんのこと、ミラノやロンドンでも若者達に大人気なのです。

もちろん、乗って欲しいのは・・・

もともと、パリやミラノは日本と道路事情が似ています。狭い道路が碁盤の目状に走り、その中を住居やビルが埋め尽くしています。加えて石畳の道路を快適に走るためには、しっかり動く足回りとソフトな乗り心地は必要不可欠。そんな街を乗り回すためにつくられたルーテシアが、日本の街に合わないはずがありません。加えてこの洗練されたデザインです。初めての車を卒業する20~30代の女性たちに乗って欲しいですね。運転操作に慣れてきてもっと車を楽しみたい、乗っていて楽しい車が欲しい!という、お洒落で運転を楽しめる方にオススメです。日産との技術提携により信頼性も高いので、輸入車初心者にもチャレンジして欲しい1台です。



センセーショナルデビューの初代モデル

出典: http://www.netcarshow.com/
1990年のパリサロンで、サンクの後継車としてデビューした初代クリオ(ルーテシア)。同年秋に発売されるやいなや爆発的な売れ行きを見せ、翌年にはヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーを獲得してしまいます。なによりもその洗練されたデザインは、実用性を重要視した当時のコンパクトカーには存在しなかったため、大絶賛されたのです。

モンスターマシンの登場

出典: https://ja.wikipedia.org/
最上位グレードであるホットハッチのクリオ16S(日本ではルーテシア16V)をベースに、ラリーでのホモロゲーションを獲得するために生産した限定モデル、クリオ・ウィリアムズです。初回限定の3,800台は即完売し、生産中止に至るまでに更に1,617台を生産し、総生産量は5,417台に達した人気モデルです。ただ16Sをリメイクしただけでなく、兄貴分のルノー19(ディズヌフ)の足回りを移植し、150馬力を発生する2.0LDOHCエンジンをおごられたモンスターマシンでした。多くのユーザーの要望に応えて、ウィリアムズ2とウィリアムズ3の特別仕様車も販売され、結果としてクリオ・ウィリアムズは12,100台が生産されました。“ウィリアムズ“の名前は、もちろんF-1コンストラクターであるチームウィリアムズに由来しますが、クリオウィリアムズの設計やデザインには一切関与していません。クリオウィリアムズを生み出したのは、ルノーのスポーツ部門であるルノー・スポールです。

ラリーでの成功

出典: http://www.tuning-forum.org/
時を同じくして、WRC・ワールドラリーチャンピオンシップでは、“キットカークラス”が新設されました。4WD及びターボエンジン搭載以外の市販車(ノンターボの2WD車)をベースにしていれば、エンジン以外はどんな改造をしても良いというカテゴリーです。小型軽量なボディに1クラス上のエンジンと足回りを移植していたクリオウィリアムズにとって、この上ないステージだったのです。同郷のプジョー205やフォルクスワーゲンポロ、セアトイビーザなどの強豪を押さえ込み、キットカークラスの初代王者に輝きました。

完成度を高めた2代目

出典: http://www.netcarshow.com/
全体に丸みを帯びた2代目ルーテシアは、1998年3月に世界戦略を目標に発売されました。部品を組み替えるだけで右ハンドル仕様にできる設計になっています。イギリス・日本・オーストラリアなどの左側通行の国にも積極的に対応しようという試みです。実際、右ハンドル化のために余分なコストが不要なため、日本では初代モデルよりもお値打ちな価格設定が実現できました。その甲斐あって、大人気を博した初代モデル以上に販路が拡大されていきます。

大がかりなマイナーチェンジ

出典: http://www.netcarshow.com/
2001年6月、内外装に大掛かりなマイナーチェンジを実施してフェイズ2がデビューします。外装では丸みを帯びていたヘッドランプが三角形状となり、フロントグリル周辺も大きく意匠変更されています。テールランプも形状こそ同じものの内部点灯部の配置やレンズ意匠が変更されており、見た目の印象はフルモデルチェンジと言えるほど変更されています。

ルノースポールの台頭

出典: http://blogs.yahoo.co.jp/f_f_anex_morioka/
フレンチ-フレンチ・アネックス-モリオカさんのブログより 初代のウィリアムズバージョンの成功と、さらなるモータースポーツへの傾倒により、RS(RenaultSport・ルノースポール)バージョンが登場します。もはや限定生産ではなく、カタログラインナップに加えられました。専用設計の2.0LDOHCエンジンを搭載し、足回りや内装、外装をルノースポールがデザインしています。ノルマンディー地方の港町“ディエップ”にあるルノースポール工場(かつてのアルピーヌ工場)で、33台/日のみ生産されるスペシャルモデルです。メカクローム社によって加工されるシリンダーヘッドの吸気ポート、ノモニック製バルブ、大型化されたディスクブレーキ、OZ製15インチアルミホイールなど、当時のレーシングテクノロジーが惜しげもなく注ぎ込まれています。フランス本国で行われるワンメイク用に、レース仕様のバージョンクープも用意されていました。

まさにモンスター!V6バージョンの登場

出典: https://ja.wikipedia.org/
外見こそクリオの3ドアハッチバックを基にしていますが、左右に大きなFRP製のフレアフェンダーを備えた外観はまったくの別次元。後席スペースをつぶしてV型6気筒エンジンを横置き搭載・後輪駆動とした2人乗りスポーツカーです。3.0リッターのV型6気筒DOHC24バルブのエンジンが搭載されています。前期型Ph(フェーズ)1(230Ps/6000rpm)と、後期型Ph2(255ps/7150rpm)が存在し、日本でも正規輸入が行われていました。またワンメイクレース用のレース専用モデル、クリオ トロフィーもあります。その成り立ちから、栄光のラリーマシンである“5ターボ”の再来と言われることもあります。Ph1はTWR(トムウォーキンショーレーシング)、Ph2はルノー・スポールで生産されました。見た目に反して乗り味は意外にも大味でGT的です。ミッドシップエンジンに特有の旋回性能とトラクションを生かせば、登りでは結構速く走れます。しかし、極端なショートホイールベースと高重心のために、下り坂などでは時としてピーキーな挙動を示します。

日産との共同作業の3代目

出典: http://www.netcarshow.com/
2005年9月、クリオの3代目の販売が開始されました。傘下に収めている日産自動車のコンパクトカーであるマーチやノートとプラットフォームを共用しています。3代目からは車名の文字体が小文字の「Clio」(日本名Lutécia)から大文字の「CLIO」(日本名LUTECIA)に変更されました。ボディサイズは多少大型化しましたが、ユーロNCAPの5つ星を獲得するなど安全性が飛躍的に向上しています。安全性とパッケージングが評価されて、発売直後の2005年11月に2006年度のヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞しました。

もちろんRSも

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2006年春、ヨーロッパで発売された3代目クリオ・ルノー・スポールは、197馬力の高性能エンジンの搭載にあわせてトレッドを50mmも拡幅し、ロードホールディングを向上、さらにブレンボ製ブレーキや18インチホイールを採用しました。2009年10月からの日本市場にも導入されましたが、新しく施行される法規に対応できなくなったことから2010年8月をもって販売終了しました。



デジールの世界観を具現化した4代目

おっと、失礼。こちらは4代目ルーテシアではなく、2010年のモンディアル・ド・ロトモビルでワールドプレミアを行ったルノーのコンセプトカー“デジール”。日本でも、2013年の東京モーターショー’13にて初披露されました。ルノーの新デザイン戦略となる“サイクル・オブ・ライフ”、人生を「LOVE」「EXPLORE」「FAMILY」「WORK」「PLAY」「WISDOM」という6つのステージに分け、それぞれのステージに合ったモデルをデザインし、ユーザーとブランドの結びつきを深めることを目指しています。その1番目のステージである「LOVE」をテーマに、ローレンス・ヴァン・デン・アッカーがデザインしました。

テーマは“LOVE”

出典: http://www.netcarshow.com/
2012年7月3日に発表された4代目。マツダから転籍したローレンス・ヴァン・デン・アッカーがデザインを担当しました。2010年に発表されたコンセプトカー「デジール」のエッセンスを受け継いだ大型のCIマークが特徴で、従来型と比べて大胆なエクステリアデザインになりました。先代にあたるルノー5時代から続いていた3ドアが廃止され5ドアのみですが、リアドアのハンドルはCピラーに同化するようなデザインとされ、一見3ドアにも見えるようになっています。ホイールベースは約130mm延長されて、居住性が大幅に向上しました。エンジンはガソリンとディーゼル(dCi)が設定され、ガソリンは直列3気筒0.9Lポート噴射ターボ、直列4気筒1.2L 16V、直列4気筒1.2L直噴ターボ、そしてルノースポール用として200PSを誇る1.6L直列4気筒直噴ターボエンジン(M5M)も設定されています(1.2Lターボと1.6Lターボは各国仕様共通で6速EDCのみの設定)。

日本での販売設定

出典: http://clicccar.com/
2013年6月25日、ルノージャポンにより7月下旬に日本仕様を正式発表することがアナウンスされました。車名は“ルーテシア“を踏襲しています。同時に、ルノージャポンHP内にもルーテシア専用特設ページが登場。大々的にアナウンスが行われました。2013年7月25日に日本仕様が発表され、9月24日より発売が開始されました。装備内容の違いにより「ACTIF(アクティフ、注文生産)」「ZEN(ゼン、日本語の禅に由来)」「INTENS(インテンス)」の3グレードが用意されています。全車1.2L直噴ターボ+EDC+右ハンドルの組み合わせのみ。ボディーカラーは基本的に全7色が設定されています(アクティフは3色のみ)。最上級グレードのインテンスは標準設定内装色(パッククルール)「ノワール(黒)」のほか、オプションでボディカラーとの組み合わせにより内装色が変更できる「ルージュ(赤)」「ブルー」「マロン」も選べるようになっていて、同時に、アルミホイールの一部も各色でコーディネイトされます。また同日日本デビュー記念として、内外装にブルーのアクセントを加えた「フレンチクールリミテッド」を限定30台で販売することも発表されました。

RSの登場

出典: http://www.netcarshow.com/
5ドアのみの設定であることから、「RSの設定は無いのでは?」と言われていましたが、2013年10月14日、モータースポーツジャパン2013の会場で「ルノースポール(R.S.)」を発表しました。エンジンは先代の2.0Lから1.6L直噴ターボのM5Mに置き換えられ、6速EDCと組み合わせています。走行モードを切り替えられる「R.S.ドライブ」と「ローンチコントロール」と呼ばれるパドルシフト、「R.S.デフ」を装備しています。グレードは、ベースになる「シャシースポール」と強化サス&ローダウン、18インチタイヤ&ホイール等が備わる「シャシーカップ」の2種の設定があります。シャシーカップのボディーカラーは通常色4色に加えて、台数限定で「ジョン シリウスM」(画像の色)も用意されています。

ボトムレンジを追加

出典: http://www.renault.jp/
2014年12月25日、本国において人気が高い直列3気筒0.9Lターボエンジン+5MTを搭載した「ZEN 0.9L」が追加されました。ベースとなった「ZEN」と基本的な装備はほぼ同じですが、各部にメッキパーツ等の装飾を増やして、ホイールも同形状ながら表面の一部をブラックアウトするなど、一部「INTENS」の要素も取り込まれています。また、4気筒から3気筒へ減ることで不利となる静粛性をカバーするために、新たにボンネット内に遮音材が追加されています。尚、「ZEN 0.9L」の登場にあわせて、従来の「ZEN」は「ZEN 1.2L」に改称されました。2015年6月11日、「ZEN 1.2L」を一部改良しました。外装の装飾を「ZEN 0.9L」と同仕様としました。同時に「ACTIF」の掲載が終了されました。

魅力的な限定車

出典: https://renault.jp
画像は現在販売されている限定車の“ガナッシュ”です。名前の通り、ほんのりビターなルーテシアです。

「LOVE」をテーマにデザインされたルーテシア。
男女が恋に落ちる瞬間は、
いつもチョコレートのように甘く、時にほろ苦い。
そんな恋の始まりをイメージした限定モデルが、
「ルーテシア ガナッシュ(GANACHE)」です。
恋人たちを魅惑する上質でエレガントなインテリアと、
ほんのりビターなカラーリングのルーテシア ガナッシュを
100台限定で発売します。

出典:

www.renault.jp

ルーテシアという車

史上初!2度のヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤー受賞

いかにルーテシアという車が素晴らしいかの証明がここにあります。初代ルーテシアが1991年度にヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したほか、3台目ルーテシアも2006年度にも受賞しています。なんと同名車種が2回受賞したのは史上初のことなのです。評価の厳しいヨーロッパにおいての2度の受賞。とくに、強豪達がたくさんいる、この“Bセグメント”における2度の受賞は、いかにルーテシアが素晴らしい車なのかを物語っています。

不安はないの?

長らくフランス車には“すぐに壊れる”というレッテルが貼られていました。確かに自動車に対する文化の違いから、日本では受け入れがたい側面もありましたが、日本の道路事情に合わせた小変更で十分対応できています。ルーテシアがデビューして15年、3度のメジャーアップデートを経て現行モデルに至ります。日産との技術提携のおかげで信頼性は格段に上がり、もう不安はありませんね。部品供給についても、同じ部品をたくさんの車種で共有するなど、コストダウンの進化がみられます。“輸入車は部品が高い”というのも、もう過去のことです。販売拠点も整備工場も増えていますので、普段使いに選んでも問題ないでしょう。

おすすめは?

上述したとおり、不安が少なくなった分、市場での人気は上がっています。もともとフランスのしゃれたデザインのために人気が高い車です。不安から二の足を踏んでいたケースが少なくなかったのです。そんな車の信頼性が高くなったわけですから、当然のことですよね。そんな中でもオススメしたいルーテシアをご紹介します。

少々ディープな世界

出典: http://www.saxperience.com/
初代ルーテシアに登場した限定車、ウィリアムズです。スポーツモデルである16Sをベースに、さらにスポーツ性能を高めたプレミアムホットハッチモデルです。 ベースとなった16Sからの変更点は、外装ではスピードライン製のゴールドのスポーク型ホイールとハッチゲート、左右のリアフェンダーに貼られた「Williams」のステッカーのみですが、内容は“超”がつく豪華さです。まず、足回りは1クラス上のルノー19のものに変更されていて、トレッドの拡大化が図られています。 直列4気筒の2.0LDOHCエンジンは150PSを発生、最高速は215km/hにまで達します。 ウィリアムズに用いられている2.0リットル16Vエンジンは、単に16Sの1.8リットル16V(F7R)エンジンをボアアップしたものではなく、バルブサイズ、カムプロフィール、クランクストローク、オイルクーラーと多岐にわたって変更が行われています。つまり、レース屋さんが本気でつくったエンジンです。さらに4in1エキゾーストマニホールドまでおごられています。また、ギアボックスやサスペンションも変更されています。ウィリアムズの3つのバージョンの違いは、安全機能の補強や外観の変更など、クリオ自体のフェイズ更新によるものです。 それ以外では、最終型のウィリアムズ3になってサンルーフが採用されました。 塗装にも違いがあり、ウィリアムズ1と2は449(ブルースポーツ)で塗られているのに対して、ウィリアムズ3ではわずかに明るい432(メチルブルー)で塗られています。内装においてもフロアカーペット、シートベルト、メーター類、シフトノブが専用色である青に変更されると同時に、シートがルノー19のものに変えられています。総生産台数は12,100台しかなく最終モデルでも1993年ですので、すでに22年が経過しています。中古市場ではまず見かけませんが、もしあればなかなかのプレミアものですよ。あの操る楽しさは、一度体験して頂きたいです。

本気のミドシップ2シーター

出典: http://www.netcarshow.com/
市販車でここまでやらかしたモデルを他に知りません。小型のハッチバックモデルをベースに、リヤシートを殺してミドシップ化してしまったスポーツモデルです。しかも搭載するのは3.0LV6DOHCエンジンなんです。意外にも乗り心地が良いので、オーナーの中には街乗りに使っている人も少なくありません。ひとたびサーキットへ持ち込めば、テールスライドさせながら最高に楽しい時間が過ごせることでしょう。こちらもクリオ自体のフェーズ更新に合わせて前期モデルと後期モデルがありますが、トムウォーキンショーレーシングが手掛けた前期モデルよりも、ルノースポールが手掛けた後期モデルがオススメです。中古相場も300万円を下回り始めましたので、手が出せるところにあります。くれぐれも言っておきますが、2人しか乗れませんのでお間違いなく。

無難な選択ならこれ

出典: http://www.netcarshow.com/
少々遊びが過ぎましたね。やはりオススメは、日産の技術が投入されている2000年以降のモデルです。中でもトランスミッションの信頼性が向上した、現行モデルがイチオシです。装備の良さと安心感で言えばインテンスがベストチョイスですね。マニュアルトランスミッションをベースに、2つのクラッチを駆使して自動でシフトチェンジを行うEDC搭載車は、オートマチックを上回る乗り心地を実現しています。装備面でも、オートエアコンやバックソナーなどの安全&便利装備満載です。もちろん、ツーペダルですので、A/T限定免許でも運転可能です。対して、必要以上の装備は要らないという向きにはゼンがオススメです。インテンスとの違いは、オートエアコンとバックソナー、ホイールサイズが16インチになることです。さらに、小排気量エンジンをブイブイ回して、マニュアルトランスミッションで乗りたい方には、ゼン0.9Lも面白いのでは? 900ccのエンジンにトルクアップターボの組み合わせは、日本の道路事情にぴったりだと思います。高速道路を巡航するには不向きですが、通勤を含めて街中をスイスイ走りたいなら、この選択肢もアリでしょう。

やはりスポーツグレードは人気

出典: http://www.netcarshow.com/
やはり、スポーツグレードであるRSも人気です。専用1.6Lターボエンジンはとてもパワフルで、その走りは乗る者を魅了します。専用設定の6速EDCとの組み合わせですので、ホットハッチながらA/T限定免許でも大丈夫です。足回りの設定はずいぶんスポーツモードですので、乗り心地の面では普段の街乗りにはいかがなものかと思いますが、操る楽しさは捨てがたいものがありますね。デビューして間もないので、中古市場では300万円程度を推移しています。

イチオシはこれ

出典: http://www.renault.jp/
他の車種を含めて、最近のルノーが1番ちからを入れているのがこの“GT”グレードです。ひとくちに言えば、インテンスとRSのいいとこ取りという感じですね。モータースポーツに力を注ぐルノー・スポールが専用シャーシをチューニングしています。RS同様、パドルシフトを駆使するソリッドな走りと、全身で主張するスポーツスピリットに魅せられることは間違いありません。加えて、インテンスの快適&安全装備はすべて踏襲していますので、お買い得感はこの上ないことでしょう。デビューして間もないこのモデル、まだまだ中古市場には出回りませんが、そろそろ展示車輌やデモ落ち車輌が出始めるころでしょう。選択肢のひとつに加えてみてはいかがでしょうか。

最後にまとめてみましょう

我が家の愛車です ルノーという自動車メーカーは、革新的な発明から始まり戦争という激動の時代に飲み込まれながらも、衰えることなく自動車の未来を見据えて進歩を続けてきた老舗メーカーです。モータースポーツに注力するのも、技術の進歩を促すためです。そんなルノーの代表的なコンパクトカー、それがルーテシア(本名:クリオ)なのです。歴史の中で培われてきた数々のアイデアが投入されているこの車には、価格以上の価値が見てとれます。普段の移動の足として、週末のレジャーのために家族の移動手段として、モータースポーツを楽しむための相棒として。こんなにオールマイティで、魅力的な車はそうそう見つかるものではないと思います。