東京モーターショーレポート 行き方から展示の内容まで

2年に一度の自動車業界のビッグイベント、東京モーターショー2015に行ってきました。「モーターショーって何なの?」という人のための簡単な豆知識から、まだ間に合うイベントの行き方、さらに執筆者個人のフィルターを通した展示レポートまで、簡単にまとめてみました。

目次

東京モーターショーって、どんなイベント?

東京ビッグサイトでは、あの“コミケ”に匹敵するビッグイベント

「第44回 東京モーターショー 2015」の開催期間は、2015年10月29日(木)から11月8日(日)の予定で、場所は東京、お台場の「東京ビッグサイト」です。広いビッグサイトの会場全体を使って開かれ、規模としてはあのコミケ(コミックマーケット)か、このモーターショーか、といわれるくらいのビッグイベントです。
会期中の入場者数は、前回の43回(2013年)で約90万人。ちなみにコミケは3日間の開催で約50万人を集め、動員数ではビッグサイトでナンバーワンといわれています。モーターショーはそれには敵わないものの、他の展示会などとは動員数も格段に多く、さらに華やかなコンパニオンやそれによる注目度も高いイベントです。

クルマのデザインや技術のトレンドが分かる

ファッションの世界でファッションショーがありますよね。パリやミラノ、ニューヨークといったファッションが盛んな主要都市で開かれ、そのショーには世界トップデザイナーによる最新のファッションが一望できます。また、その傾向を見れば、今後のファッションのトレンドをつかむことができます。
モーターショーは、その自動車版です。世界のトップメーカーがクルマの新しいデザインや最新技術を盛り込んだショーカーを展示し、発表する場となっています。以前はコンセプトカーといって、近い将来実現しそうな技術やデザインを盛り込んだ“夢のクルマ”を多く展示していましたが、最近は近日発売予定のクルマが多く発表され、私たちユーザーにとっては“もうすぐ買って乗れそうなクルマ”の展覧会といった意味合いが強くなってきています。

“東京”は、世界5大モーターショーのひとつ

モーターショーは現在、フランクフルトモーターショー(ドイツ)、パリサロン(フランス)、ジュネーヴ・モーターショー(スイス)、北米国際オートショー(アメリカ合衆国)などがあり、これらに東京を加えて「世界5大モーターショー」といわれています。
ただ近年は経済的に成長している中国の存在が高まっており、2009年に始まった「上海モーターショー」は出展社数でも入場者数でも東京をしのぐモーターショーとなっています。



今年の特徴は?

「Your heart will race.」をテーマに

東京モーターショーは隔年で開催されており、前回開催は2013年です。
今回のテーマは「Your heart will race. きっと、あなたのココロが走り出す。」です。
2009年の第41回のとき「Fun Driving for Us, Eco Driving for Earth クルマを楽しむ、地球と楽しむ。」をテーマにプラグインハイブリッド車やEV(電気自動車)などが多く展示され、モーターショーもエコの時代が到来しました。今回はその流れが少し変わって、自動車本来の機能である「走り」への回帰がテーマからうかがえます。

76台のワールドプレミアム、68台のジャパンプレミアム

主催の日本自動車工業会の発表によれば、この東京モーターショーでワールドプレミアモデル(世界初公開となるニューモデル)が76台(乗用車42台、商用車6台、2輪車18台、カロッツェリア5台、車体5台)、日本初公開となるジャパンプレミアモデルは68台(乗用車49台、商用車1台、2輪車15台、車体3台)になると発表されていました。要は、それだけのメーカーと車種が今後、日本市場に新たに投入されることが予想されるということです。
経済状況の変化などにより東京モーターショーへの出展企業が減るなど、世界5大モーターショーの中でもこの東京の存在感が薄くなっていることを指摘する声があります。しかし、このワールド/ジャパンプレミアの状況を見ると、日本の自動車市場もまだまだ世界から重要視されていると感じました。

出展企業は、世界11カ国から合計160社

日本国内からはトヨタや日産といった乗用車メーカーをはじめ、日野自動車やいすゞといった商用車メーカー、ヤマハやカワサキなど二輪車メーカーなどがすべて出展し、その数は14社15ブランドにのぼります。
海外メーカーは、乗用車、商用車、二輪車を含めて合計で16社26ブランドが出展。イタリアを代表する自動車メーカー、FCA(フィアット クライスラー オートモービルズ)グループの「アルファ ロメオ」「フィアット」「ジープ」「アバルト(初出展)」の各ブランドが8年ぶりに出展しているほか、メルセデス・ベンツ、BMW、アウディ、フォルクスワーゲンといったおなじみのドイツメーカーなども出展しています。

SMART MOBILITY CITY 2015」特設会場も

メーカー各社の展示のほかに、主催者テーマ事業として「SMART MOBILITY CITY 2015」をテーマとした特設会場も用意されていました。
次世代のモビリティ(移動体)の提案やクルマと社会の関わり方、クルマの電動化や知能化、ICT技術を駆使した移動体情報ネットワークづくりなど新しい提案が自動車メーカーや自動車関連メーカー、ITインフラ企業などにより行われていました。
また、屋外では最新モデル試乗のほか、自動ブレーキなど最新施術の体験コーナー、自動運転により操作なしに注射を行うデモンストレーションなども行われていました。

チケットの値段や買い方は?

プレビューデーと一般公開がある

2015年の東京モーターショーの開催は10月29日(木)から11月8日(日)となっていますが、29日はプレビューデーとして限定チケット(価格3,500円、中学生以上/小学生以下は無料)が発売されていました。限定チケットなので少ない人数でゆったりと見学できます。通常、人気の展示車は人ごみをかき分けないと見たり写真を撮ったりすることは難しいですが、このプレビューデーなら好きな角度からじっくりと眺めたり、アングルや露出にこだわって写真を撮ったり、またお気に入りのコンパニオンを探してとびきりの笑顔を写真に収めたり、さらに楽しく見学できそうです。もはや今年は買うことはできませんが、次回にチャンスがあったら狙い目かもしれません。
ちなみに10月28日と29日の14時まではプレスデーとなっており、テレビや新聞、雑誌などの取材者のための日程となっています。番組や雑誌で見かける東京モーターショーのニュースや記事は、このときに取材したり撮影されたものです。

チケットは前売り1400円、おトクな「アフター4」も

チケットは一般が当日1,600円(前売り1,400円、以下同)、高校生が500円(400円)、中学生以下は無料です。
また、ディズニーランドの「アフター6パスポート」のような、16時以降入場できる「アフター4」チケットも販売され、こちらは一般が700円、高校生200円(中学生以下は無料)とかなりおトクになっているので、会社や学校の帰りに気軽にいける人にとっては便利でしょう。
ちなみに、開催時間は10:00〜20:00となっていますので、アフター4チケットでもまだまだゆっくり見学することができます。

TSUTAYA T-TICKETなら、専用ゲートから入場できる

チケットは東京モーターショーのオンラインチケットサービス「e tix」や、TSUTAYA Tカードの「T-TICKET」、セブンイレブンの「セブンチケット」、スマホのチケットアプリ「tixee」などが利用できます。クレジットカード払いができたり、コンビニ決済ができたり、サービス会社でそれぞれ特徴がありますが、今回目をひいたのはT-TICKETでした。Tカードを持っていればそれが入場券として使え、しかも入場のための専用レーンも用意されているということでした。
T-TICKETは素まをを使ってオンラインで購入可能、ということでしたのでさっそく該当ページへアクセス、電車で移動中、ほんの2〜3駅移動している間にサクッとチケットを買うことができました。

専用ゲートからスムーズに入場

会場の国際展示場の最寄駅、ゆりかもめの「国際展示場正門」に着き、さっそく入口ゲートへ。ゲートに向かって左サイドにTカード入場者のゲートがありました。チケットがちゃんと買えているかどうか、少し不安を抱きながらそのゲートへ。係りの人に自分のTカードを渡し、バーコードリーダーでチェックしてもらうと、すぐに「OK」のサインが出て、あっけなく入場することができました。
一般入場初日、しかも平日とあって、それほど混雑はしていなかったのですが、それでも普通のチケットでの入場口は少しばかり列ができていました。それに対し、Tカードの入場ゲートに来る人はまばらで、このときは入場する人より待っている係員の数の方が多かったほど。
これが他の日にも当てはまるかどうかは分かりませんが、行列待ちが嫌い、という人はTカードで入場した方がスムーズな入場が期待できるかもしれません。



会場の雰囲気は?

一般公開初日、10月30日(金)に見学

執筆者が見学したのは一般公開初日の10月30日(金)でした。混んだ中では見学したくなかったのと、プレビューデーには用事があったため、この日に時間を作ってやってきました。平日なのでそれほど混んではいないだろうと思ったのですが、会場は思った以上に混んだ雰囲気。執筆者は他の業界の一般的なイベントも見学したことがあるのですが、やはりそれと比べると人は多いです。これが会期末の土日になったら、どれくらいの人が押し寄せるのでしょうか。とはいえ、コミケと比べたらまだ少し余裕はある感じですが。

やっぱり多い、クルマ好きな人たち

入場者はぱっと見た限りでは、次のようなタイプに分けられます。
まず、自動車関連企業の人たち。スーツを着て何人かの団体で行動しています。派手に展示されているショーカーよりも、タイヤや電子機器など関連部材の展示を食い入るように見つめたり、出展企業のスタッフに質問したりしています。
次はやはりクルマ好きの人たち。年配の人から若い人、中には中学・高校生くらいの若い人たちも。ひとりだったり、グループで来ていたりさまざまですが、ニューモデルのブースに陣取って眺めていたり、仲間と「ここはこんなふうにデザインされてるよ」などとやり取りしていたり、熱心に見ていました。

撮影目的の人や、取材スタッフも

そのほか目立ったのは、カメラを持った人たちです。クルマを撮ってる人はもちろん、コンパニオン目当ての人もけっこういます。そういう人たちは大きなストロボをつけたデジタル一眼で、コンパニオンの女性に声をかけ、次々と撮影しています。
また、本格的なデジタル一眼やムービー、マイクなどを抱えた取材クルーも見かけました。先にも書いたようにプレスデーが設けられていますので、テレビや新聞など主立ったメディアはこの日に取材を終わらせるのですが、自動車雑誌やウェブ系のメディアは出展各車の細かい情報を集めるために一般公開日も取材しているようです。中には展示されているクルマの舌に潜り込むようにして、サスペンションなど下回りの写真を撮っている取材スタッフも見かけました。また出展ブースで入場者に取材しているスタッフもいました。これらはメーカーやディーラーのパンフレットやWebページなどで、東京モーターショーのレポートなどとして発表されるのでしょう。

これから新車オーナーになる、そんな羨ましい人も

入場者の中で、実際に買いたいので見に来た、という人もけっこう見かけました。展示車を前に、日本発売の時期や売り出しの価格など、より具体的なやり取りをしていました。そういう人には、メーカーのスタッフが貼り付き、丁寧に質問に答えていました。また、そういう人たちのために、メーカーによっては商談コーナーを設け、その中でゆっくりと商談をしているようでした。
ポルシェのブースでは、一般入場者立ち入り禁止のエリアに展示されているクルマに、初老の夫婦が運転席と助手席で座り心地を確かめていました。きっと、購入予定の人なのでしょう。スーツをビシッと着こなしたセールスの人が隣に寄り添い、あれこれ説明をしていました。展示ブースの脇には、空港のラウンジのようなスペースが用意されていました。執筆者も、いつかはそんなところでポルシェのようなクルマの商談をしてみたいと思いました。

女性の入場者も思ったより多かった

会場では、思ったより女性を多く見かけました。会社や部署単位で見学に来た同僚や部下の女性のほかに、彼氏や旦那さんといっしょの彼女や奥さん、さらには女性どうしなども。いずれの女性もクルマ好きらしく「これ、カッコいいわね」「あの人が、これの前のクルマに乗ってたわよね」などと、同行の人と楽しそうに話していたのが印象的でした。山ガールや釣りガールならぬ、“クルマガール”も最近増えてきているのでしょうか。

小さな子どもを連れた、ママの姿も

また、子ども連れのママも多く見かけました。子どもがクルマを好きなので連れてきたという感じで、何人かのグループで来ているママたちもいました。いずれの子どももクルマならぬベビーカーに乗っているような年頃。F1などカッコいいレーシングカーの前で記念撮影したり、お目当てのクルマの運転席にママに座らせてもらったり、ハンドルを握ったりしていました。中には、お気に入りのクルマから降りたくなくなって、ママを困らせる子どもも。ママは次に運転席を試したい人が気になって「ほら、あっちのクルマも見に行こう」などと急かすのですが、子どもは「降りたくない」と最後には泣き出してしまいました。若者のクルマ離れが言われて久しいですが、こういう子どもが大きくなったら、そんなことも自然に解消していくことでしょう。

展示レポート 国産メーカー編

ここからは、執筆者が展示を見て感じたレポートです。執筆者のクルマの好みや興味で展示を見学し、その感想を述べていること、またすべてのメーカーは網羅できなかったことをあらかじめお断りしておきます。

ロータリー復活宣言、マツダ

マツダはいま、世界の中で最も勢いのある自動車メーカーなのではないでしょうか。それがそのままブースの人気にも現れていました。ちょうどこのブースに来たとき、話題の「RX-VISION」のプレゼンテーションステージが始まったばかりだったこともあり、多くの人が詰めかけ、まさにこれが“黒山の人だかり”だと思いました。

RX-VISIONは、マツダがこれまで手がけてきた「ローターリーエンジン」を復活させるべく企画されたコンセプトカーです。エンジンの具体的な発表はありませんが、その長く特徴的なボンネットの中にはローターリーエンジンが搭載されるはずです。ロータリーエンジンは滑らかな回転とふけ上がりでスポーツカー・ファンに根強い人気のエンジン。レースでも数多くの実績があり、ルマン24時間では優勝したこともある高性能エンジンです。しかし、燃費など環境性能の向上が見込めないことから販売が中止されていました。その名エンジンの復活とあって、多くのファンの注目を集めることになりました。またコンセプトカーのデザインも、堂々としたスポーツカーらしいプロポーションに、現在のマツダらしい流れるようなラインでまとめられ、ロータリーエンジンを知らない人でもその美しいデザインは強く印象に残るはずです。
そのブースの傍らには、マツダのロータリーエンジン第一号モデルの「コスモスポーツ」が置かれていました。過去の歴史を大切にしながら未来を切り拓こう、という姿勢がこうした展示からも受け取れました。マツダは、これからも楽しくて良いクルマを私たちに提案してくれることでしょう。

このマツダの展示で特徴的だったのは、外国人のスタッフが多かったことです。社名ロゴが入った黒いお揃いのポロシャツを着た外国人をブースのあちこちに見かけました。ヨーロッパや北米の現地スタッフなのでしょうか。マツダはもはや“広島の自動車屋さん”ではなく、ワールドワイドなメーカーなのだとあらためて感じました。 RX-VISION 

これからに期待! ホンダ

マツダの次に印象に残ったのが、ホンダです。天井から吊り下げられた「The Power of Dreams」「思いを超えろ」というスローガンの影響もあるかもしれませんが、絶好調を感じさせるマツダに対してまったく逆の強い危機感や、新たな時代を創る決意といったものが、全体の展示から感じられました。

その決意が凝縮されたのが、「Project 2&4 Powered by RC213V」です。ホンダ社内の2輪のデザイナーの提案によるもので、レース用の2輪エンジンをフレームに載せ、運転席と必要な機器だけを搭載したコンセプトカーです。運転性はおろか、アクセルやブレーキのペダルまでむき出しとなって、いまの時代では原始的ともいえるデザインですが、「走る」ためだけならこれほど面白そうなマシンはなさそうです。タイヤを見るとテスト走行したあとが残っており、現実的に走れそうです。クルマの本来的な機能である「走る」ことへの原点回帰を宣言するマシンとして、まさにうってつけと感じました。

また、ブースの中心には今年復帰したF1のマシン、「マクラーレンホンダ」と、2輪のグランプリ「モトGP」のマシンが並べて展示されていました。ご存じの方も多いでしょうが、F1ではなかなか思うような結果が残せていません。また2輪グランプリもチャンピオンを逃しています。思うような成績が上がらない中でも堂々と展示することで、かえって来年にかけるホンダの強い決意を感じました。
ホンダはモータースポーツだけでなく、本業である自動車販売で苦戦が伝えられています。そうしたネガティブなムードを一掃する機会としてこの東京モーターショーに望んだようにも感じられました。

その一方で、今年年内中に発売予定の「シビック R」の運転席を試す人たちが長い行列を作っていたり、アメリカで発表された新型の「NSX」に人だかりができていたりと、ホンダらしいモデルは人気を集めていました。強いホンダ、人気のホンダの復活は近いと強く感じました。 Project 2&4 Powered by RC213V 

「走り」のモデルを前面に トヨタ

「WHAT WOWS YOU?」をテーマに、“ワオ!”と感動するようなクルマを届けたい、とトヨタのブースで配っていたパンフレットに書いてありました。
燃料電池車として一般販売をはじめたばかりの「MIRAI」をはじめ、今年末に市販スタート予定の次世代ハイブリッド専用モデル「プリウス」、燃料電池自動車「FCV PLUS」のコンセプトモデルなど、環境に関する“ワオ!”はまだまだたくさんあるようです。

それにも増して“ワオ!”だったのが、スポーツ系のモデルです。世界初公開の新世代ライトウェイトスポーツコンセプト「S-FR」は、その象徴的なものでしょう。トヨタには過去に「トヨタ800」というスポーツカーがありましたが、その再来として大きな注目を集めています。ステージでは公開のほか、男女のカジュアルなモデルたちが軽やかにステップを踏みながらショーモデルを紹介し、走りだけでなく、これからのユーザーのライフスタイルにも溶け込む存在になることをアピールしていました。

さらに、トヨタは一般市販モデルの一部の内外装やサスペンションをチューンアップして「G's」というサブブランドで半場していますが、そのモデルをブース前面にずらりと並べていました。「アクア」「ヴィッツ」「マークX」「プリウスα」「ハリアー」の5モデルで、それぞれにエアロパーツや特製アルミホイールが装着され、エンジンやブレーキなどもチューンアップされたりもしているモデルです。これまで走りが好きな人のためのニッチなブランドとして展開していたのですが、このモーターショーでこれほどまで強くアピールしていたのは意外でした。
そのほかにも、来年から参戦予定の世界ラリー選手権用のテストカーを展示したりなど、「スポーツ」「走り」のイメージが印象に残りました。 S-FR 

技術は健在 日産

テアトロ for デイズ  長年にわたって使い続けているスローガン「技術の日産」のもと、今回の日産は自動運転カーやハイブリッド車など先進技術を凝縮したコンセプトカーを多く展示していました。
ワールドプレミアの「IDS コンセプト」には、自動運転技術「パイロットドライブ」を搭載し、AI(人工知能)によって安全で運転を実現するそうです。また、ジャパンプレミアとなった「グリップス コンセプト」には、日産独自のシリーズハイブリッドEVシステム「Pure Drive e-Power」を搭載。これは、モーターだけで走行し、ガソリンエンジンはそのための発電を担当するという、新発想のハイブリッドカーです。

さらに、EV軽自動車「テアトロ for デイズ」では、真っ白いダッシュボードやシートにプロジェクションマッピングのようにさまざまなシート柄が表示されたり、ダッシュボードにゲームやSNSの画面が表示されたりして、スマホ間隔の遊びゴコロを表現していました。

また、トヨタ同様、日産もスポーツを押し出していたのも印象に残りました。トヨタの「G's」と同じ立ち位置のブランドとして日産は「NISMO(ニスモ)」を展開していますが、そのモデルを並べたエリアをブースの一段高いスペースに一堂に展示していました。展示されていたのは「GT-R」「フェアレディZ」「ノート」のNISMOバージョンで、特にGT-Rはサーキット走行を考慮したエンジンチューンや空力パーツがセットアップされていました。

さらに、大きな注目を集めていたのが「コンセプト2020 ビジョン グランツーリスモ」です。その名の通り、人気ゲーム「グランツーリスモ」専用のマシンなのですが、それをフルサイズ化したショーモデルで、まさにバーチャルなマシンがリアルに現実のもとなったわけです。現在のクルマにはないようなデザイン、ディテールの凝った作りをひと目でも見ようと多くの人が行列を作っていました。日産は、グランツーリスモの大会の中から優秀者を選抜し、ゲームの達人を実際のレーサーとしてデビューさせる活動も行っています。コンセプト2020 ビジョン グランツーリスモは、そうした幅広い活動の一端がうかがえる展示といえます。 コンセプト2020 ビジョン グランツーリスモ 

展示レポート 輸入車メーカー編

メルセデス・ベンツなどドイツ車メーカー

メルセデス・ベンツはもはや、高級車だけのメーカーではありません。若い人からも幅広く人気を集めるドイツの総合カーメーカーとして脱皮しようとしています。その象徴としてスポーティな高性能モデルのシリーズ「AMG」の各モデルをラインアップし、若々しさを前面に押し出していました。さらにその脇にはことし大活躍中のF1マシンと、「AMG GT-S」をベースにしたレーシングマシン「AMG GT3」を展示し、最先端で高性能なイメージもあわせてアピールしていました。また、ワールドプレミアの「Vision Tokyo」や「F 015 Luxury in Motion」といったコンセプトカーも出品、自動運転など最新機能を備えた“都市型トランスフォーマー”らしいのですが、詳しい説明は見当たりませんでした。しかし、ぬめっとしたシルバーのデザインは近未来感とメルセデス・ベンツの革新性もうまくアピールしていたように思います。

スポーティなイメージの強いBMWは、ハイブリッドスポーツカー「i8」などの展示などで環境性能とスポーティな走りの両立を訴求していました。また、また4シリーズの高性能バージョンで500PSの最高出力を誇る「M4 GTS」もジャパンプレミアされ、こちらも人気でした。ただし、プラグインハイブリッド車やなど環境性能にフォーカスしたモデルの展示が多く、アグレッシブな印象を持ったメルセデス・ベンツとは対照的でした。

フォルクスワーゲンは、ジャパンプレミアのSUV「ティグアン」やミニバン「トゥーラン」などニューモデルを中心に展示していました。現行モデルを多く展示していたせいか、少しばかり落ち着いた印象でした。

アウディはブースの中心にルマン24時間など世界耐久選手権で活躍しているレーシングマシンを展示。実はこのマシン、ディーゼルエンジンと電気モーターのハイブリッドマシンで、ルマンでの優勝も過去に経験しているマシンです。これをイメージリーダーとして優れた環境性能と走行性能をさりげなく訴えていました。

スポーツカーメーカーとして唯一の出展となったポルシェは、レースマシンの「911 GT3カップ」をはじめ、アメリカで発表されたばかりの「911カブリオレ S ターボ」や50周年記念の限定モデル「911 50thアニバーサリーエディション」などの高性能なスポーツカーが人気でした。 メルセデス・ベンツ Vision Tokyo 

ルノーなど、フランス車メーカー

フランス車で目立ったのはルノーです。すでにヨーロッパでは発売ずみの新型スモール「トゥインゴ」をジャパンプレミア、その小さなボディに多くの人が吸い寄せられていました。このクルマの特徴は、何と言ってもボディの後方にエンジンを搭載した“リアドライブ”という点。ポルシェ911と同じエンジン搭載方式ですが、こちらは大衆車と言うこともあり、快適性や積載性といった実用的な面はどれほど練られているのでしょうか。新しい方式のベーシックカーということもあって、熱心に質問する来場者を多く見かけました。

さらに、シトロエン最新のSUV「C4 カクタス」も人気でした。どことなく動物のカピバラを思わせるデザインがユーモラスなモデルです。ボディの前後やサイドはゴムのクッションで覆われ、多少ぶつかる程度ならキズが付かないという作りになっており、執筆者も実際に押して確かめました。確かにソフトで、自然の中に分け入って木の枝や岩に多少呼するぐらいなら問題なさそうです。またこの構造は街中でも人や自転車にやさしい構造といえそうです。室内もフランス車らしく、デザインやシート地などもシンプルで洗練されており、外から見るだけでなく実際にシートに座って確かめている人が多くいました。

そのシトロエンから独立したブランドとして新たにスタートを切った「DS」も出展、SUVとラグジュアリーを兼ね備えた「DS4」やフラッグシップモデル「DS5」を展示していました。

プジョーはこれから日本導入予定の「508 GT」をジャパンプレミア。180PSの最高出力を誇る高性能ディーゼルターボと、プジョーらしい上品なデザインに関心が集まっていました。さらに、日本導入予定として大胆な2トーンカラーの「308 GTi by PEUGEOT SPORT」も出展、270PSのハイパワーがもたらす、スポーティな走りが期待されます。 シトロエン C4カクタス 

アルファロメオなど、イタリア車メーカー

イタリア系のメーカーといえば、アルファロメオ。ミッドシップスポーツカーとして高い人気の4Cをオープンカーとした「4C スパイダー」が人気を集めていました。

スポーティな走りで日本でも人気の高まっているアバルトが東京モーターショーに初出展、レースのムードがプンプンと漂う硬派マシン「695 ビポスト」などを展示していました。

フィアットからは人気の「500」のほか、デビューしたばかりのSUV「500X」も展示。さらにこの一角にはアメリカのSUVブランド、ジープも出展し、最新のコンパクトSUV「レネゲード」 を展示していました。
イタリアとアメリカのブランドが同じエリアに展示されているなんて、少し疑問に思う人もいるかもしれませんが、フィアットは現在、アメリカのクライスラーと資本提携してひとつの会社になっています。アルファロメオもジープも、いまやFCA(フィアット クライスラー オートモビルズ)というひとつの会社の傘下にあるブランドとなっています。実は500Xもレネゲードも、同じプラットフォームで作られた兄弟車です。こうした理由から“同じ屋根の下で”といった感じの展示となっているわけです。

それにしても、イタリア車の展示は小さいクルマばかりで、執筆者はフェラーリやマセラティなどの本格スポーツカーの展示も見たかったと思いました。 アバルト 695ビポスト 

全体的には「スポーツ」と「つながり」が印象に

総じて、国産車メーカーの展示はメッセージ性が強い印象がありました。対して輸入車の各メーカーは展示車両に現行車が多いということもあり、メッセージよりも販売などのビジネスが優先されている印象でした。
全体的には「スポーツ系のクルマが多かった」というのが、全体的な印象です。執筆者自身、スポーツカーが好きなので、どうしてもそういうクルマばかり目が向いてしまったのかもしれませんが。
それにしてもいまや世界トップクラスの販売台数を誇るトヨタや、ドイツの“雄”のメルセデス・ベンツなど、「走り」を展示の前面に押し出すメーカーの姿勢が印象に残りました。今回の東京モーターショーのテーマは「Your heart will race. きっと、あなたのココロが走り出す。」ですが、まさにそれに添った展示がされていると感じました。

そのほかで目立ったのは、「つながり」をテーマとしたコンセプトカーの出品です。自動運転やICTによる社会との「つながり」のほか、家族や仲間たちとの「つながり」の新しいあり方を提案するようなクルマで、日産の「テアトロ for デイズ」やメルセデス・ベンツの「Vision Tokyo」などはその象徴的な存在でしょう。トヨタは、このつながりをテーマに、コミュニケーションロボット「KIROBO MINI」を展示していましたが、クルマにとらわれない発想はさすがトヨタです。

燃料電池車の実用化が視野に入り、いわゆるエコカーの開発は一段落を迎えたようです。その先にある未来に向けて、その次のテーマを各メーカーでさまざまに模索しているように感じられました。
次の新たな方向性を見定めるためにも、各メーカーともクルマ本来の「走り」や、社会や人との「関係性」といったクルマ本来の機能や原点に立ち返っている。そんなふうに捉えることもできるかなと執筆者は思いました。 トラックや商業車、二輪車などの展示も数多くあり、できるなら2〜3日かけてじっくり見たい