ロータスエリーゼ 経営危機からロータスを救った傑作ロードスター

1982年にチャプマンが死去し、経営状況が悪化。1986年にはGM(ゼネラルモーターズ)傘下に入り、もっぱら他社のエンジン設計や開発を主な生業に。1993年にブガッティに買い取られるも1995年にブガッティが破産しマレーシアのプロトン傘下に。そんな経営状況を打開したのがエリーゼの大成功でした。2015年11月更新

まずはエリーゼについて

出典: http://www.lotus-cars.jp/our-cars/current-range/elise-20th-anniversary-special-edition.html
エリーゼは、現代ロータスカーズが生み出す車の中ではエントリーモデルです。ロータスというメーカーは、“ライトウェイトスポーツ”と呼ばれる車作りを得意としています。50年代のエリート、60年代のエランなど、小排気量ながら軽量なボディ特性を活かして、格上の大排気量車を打ち負かすのがロータスでした。
その血筋はしっかりと受け継がれ、エリーゼは運転することの快感を提供してくれる生粋のスポーツカーとして生まれたのです。エンジンレイアウトの違いこそあれ、まさにエランの再来と言うべき車なのです。
新しい技術によってエランよりも格段に進化したフレーム構造を持ち、トヨタとの協力により開発された新たなエンジンは、1.6L直列4気筒・136psの出力を誇ります。
そこに、ロータスの伝統的な経験と知識を詰め込んだチューニングがなされ、この上ないロードゴーイングスポーツができあがったのでした。
トヨタと開発したパワフルなエンジンと専用に設定されたギアレシオの6速マニュアルトランスミッションとの組み合わせで、わずか900kgのボディを面白いように押し出してくれるのです。
エンジン性能と優れた燃費のバランスは、デュアルVVT-iを備えた可変バルブ機構とバルブマチックシステムによるものです。
このエンジンは継続的にバルブのタイミングとエア・フローのボリュームを調節するようにバルブリフトをコントロールし、すべてのシチュエーションで最大のパフォーマンスを発揮できるようにセッティングされています。
以前のスポーツカーのように、街中を我慢する必要はありません。ゴーストップの多い街乗りからサーキットまで、どんな状況下でも快適にドライビングを楽しむことができます。



ロータスの歩み

出典: http://www.lotus-cars.jp/
ロータスのエンブレムの中に書かれたACBCの文字。アンソニー・コーリン・ブルース・チャプマンの頭文字です。創業者であるコリン・チャプマンが仏教に傾倒していたため、蓮の葉(=LOTUS)と名付けたと言われています。
チャプマンが自動車メーカーを立ち上げるまでの道のりはどんなものだったのでしょう。
彼は、学生業のかたわら中古車販売を手掛けるという、なかなかのキレモノであったと言われています。売れ残った車を改造してレースに参戦し始めたチャプマンは、何度も改造を重ねた後、なんとシルバーストンサーキットでの大舞台で優勝してしまうのでした。しかも相手は、型落ちだったとはいえGPレースマシンだったのですから大変なことでした。優勝車輌はその場で買い手がついたと言います。
これを機にチャプマンはレーシングカーをつくる事を生業にする決意をしたようです。

GTカー(市販車)も手掛ける自動車メーカーに

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%82%B9_(%E8%87%AA%E5%8B%95%E8%BB%8A)
LOTUS14(ELITE) レース活動の資金を得るために、市販車の販売にも乗り出しました。FRP製のモノコックボディにGPレーサー譲りのサスペンション。消防車に積むポンプエンジンを車用にチューニングした“コベントリー・クライマックス(世界最速の消防ポンプと呼ばれた)”を搭載したエリートをリリースしました。ロータス初のGTカーでした。

次々とリリースされるGTカーたち

エリートの問題点を解消すべく、Y型バックボーンフレーム+FRPボディにロータス製ツインカムエンジンを搭載したエラン、フォード・コーティナをベースにロータスチューンで仕立てたコーティナ・ロータス、GPマシンで常識になりつつあったミドシップレイアウトを採用したヨーロッパ。
そして高級路線を狙ったエスプリと、続々と市販車をリリースしました。
技術協力の分野では、1972年発表のジェンセン・ヒーレー用エンジンの開発、タルボット・サンビーム・ロータスの開発、デロリアン・DMC-12の開発、セリカXXの開発協力や、ランドクルーザーとハイラックスサーフ用ハードトップの真空成形FRPに関する技術供与など、資金になりうる仕事は精力的にこなしました。
特にトヨタとに間では資本関係をもち、チャップマン自らがセリカXXのテレビCMに出演していました。 出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%82%B9_(%E8%87%AA%E5%8B%95%E8%BB%8A)
LOTUS ELAN 出典: http://www.thetruthaboutcars.com/tag/lotus-cortina/
LOTUS CORTINA 出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%82%B9_(%E8%87%AA%E5%8B%95%E8%BB%8A)
LOTUS EUROPE 出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%82%B9_(%E8%87%AA%E5%8B%95%E8%BB%8A)
LOTUS ESPRIT

チャプマン時代の終焉

しかしチャプマンは、1982年の末に心臓発作でこの世を去ってしまうのでした。デロリアンの生産立ち上げに難航したため、英国政府との板挟みとなったことが心労を招いたと言われています。
経営はチャプマン家から事業家のデビッド・ウィッケンスに移りました。この時期にエンブレムからACBCの文字は削除されています。トヨタは株主として関係を深め、ロータス・エクラ&エクセルにはトヨタ製の部品が供給されました。
1986年にゼネラルモーターズ(GM)の傘下に入り、エンブレムにACBCのイニシャルが復活しています。グループ内のスポーツカーメーカーとして、シボレー・コルベットZR-1のエンジン設計、オペル・オメガ、いすゞ・ピアッツァ、いすゞ・ジェミニ、いすゞ・ビッグホーンなどのチューニングを担当しました。
1989年に発売された2代目エラン(タイプM100)では、GMグループ内のメーカーからエンジン&トランスミッション(いすゞ)、パーツ(ACデルコなど)を調達していました。
1993年には、ブガッティを所有するロマーノ・アルティオーリに売却されその傘下に入りますが、そのブガッティは1995年に破産してしまい、1996年よりマレーシアの国営自動車メーカーであるプロトンの傘下となりました。

エリーゼの開発

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%A8%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BC
プロトンという会社は日本ではあまりなじみがありませんね。三菱自動車のノックダウンから始まったマレーシアの会社ですが、ロータスグループを傘下に納めてからは、そのノウハウを活かして自社開発車の生産をしています。
2000年代前半にはマレーシア経済の急成長もあり、英国サッカークラブのスポンサーをしている時期もありました。
ブガッティ傘下の最終期、ロータスは新規車種を開発する機会に恵まれ、プロトンもその継続を許したのでした。かくしてエリーゼの開発が始まるのですが、過去に例を見ない独創的なアイデアによる軽量化に挑戦したのでした。
アルミ合金製の材料を航空機にも利用される接着剤で組み立てたフレームに、ロータスお得意のFRP製ボディ。この組み合わせによってとんでもなく軽量な車体が実現されたのでした。
アルミニウムシャシの組み立てには、ボルト・ナットはもちろん、リベットも使用していません。航空機製造用のエポキシ系の接着剤により、剛性の確保と組立て精度を向上しながらシャシー単体で68kgと軽量化を実現しています。
初期ロットのエリーゼは、エンジンベイ・リヤハブキャリアまでアルミで作られています。ブレーキローターにも量産車初のアルミ(メタルマトリックス)ディスクを使っていました。アルミディスク供給会社の倒産により、1998年以降は通常のスチールディスクに変更されています。
その他のアルミ部品もスチール製に変更されて少なからず重量が増加していますが、“フェイズ1”もしくは“シリーズ1”と通称されている最初期のモデルでは、エアコン、パワーステアリング、ブレーキブースターなどを省略することで車重は690kg程度しかありません。
現行モデルでは、エアコンやカーオーディオ、エアバッグなどの衝突安全装備などを搭載して、900kg程度になっています。
ホイールベース2,300mm、トレッド1,455mm/1,505mmのスクエアなタイや配置に加え、軽量なアルミ製シャシーがもたらすタイトな走りは、レーシングカーさながらのハンドリングを楽しむことができます。
エンジンが横置きに搭載されてはいるものの、ミッドシップレイアウト&フロント、リアともにダブルウィッシュボーンサスペンションを採用するなど、ストックのままサーキットに持ち込めるスペックです。
キャビン後ろのFRPボディ内部に4点式のロールバーが内蔵されていて、脱着可能な布製の幌屋根が与えられています。
大量生産に向かない量産効果が期待できない車体構成ながら、販売価格は600万円~800万円程度。ここまでつくりの良い本格ロードスターとしては比較的安価な設定で、ヒットモデルだったエスプリの生産が終了した後のロータスの主力モデルとなっています。

“E”で始まるロータス伝統の名前が付けられていますが、それは、当時のロータスの株主であったブガッティ会長の孫娘の名前“エリーザ”に由来します。ただ、“エリーザ”はイタリア系を連想させることから、“エリーゼ”になったと言われています。

モデルチェンジ

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%A8%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BC
2001年、エンジンバリエーションとモデル展開はそのままに、フェイスリフトを受けました。オプションでエアコンが装備できるようになりました。
2004年に、トヨタ・2ZZ-GEエンジンを搭載した111Rが追加されました。
トヨタ製エンジンを搭載するためにサブ・フレームを大幅に変更していることから、形式番号はタイプ111からタイプ120へ変更されました。ABSも装備しています。
ベーシックグレードの搭載エンジンもローバー製からトヨタ製に変更され、スタンダードは“エリーゼS”と改名されました。型式番号は119。同時にエアバッグやパワーウィンドウ、ブレーキブースターが搭載されました。
スタンダードがエリーゼSになったのに合わせて、111Rは“エリーゼR”に。カタログでは0-100km/h加速は5.2秒、最高速は241km/hとされています。これはポルシェの911にも対抗できる加速性能です。
2007年10月開催の東京モーターショーで、エリーゼのハイパフォーマンスグレードである“エリーゼSC”を発表しました。トヨタ2ZZ-GEエンジンにロータスが設計したイートン製ローター(M45ユニット)のスーパーチャージャーを追加し、220psを発揮すると謳われていました。
クーペボディの兄弟車・エキシージにはインタークーラーが装備され、そのレイアウトが後方視界を妨げていましたが、エリーゼSCはインタークーラーを装備せず、ほかのモデルと同様にタルガトップのボディ形式のままです。
外観上の違いは、新設計されたリアスポイラーとアロイホイールで、リアタイヤは8Jへとサイズアップされました。カタログスペックで、車重は903kg、0-100km/h加速は4.6秒であり、最高速度は242km/hとのことです。

再度モデルチェンジして現行モデルへ

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%A8%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BC
2011年モデルで再度フェイスリフトを受け、ウインカーがヘッドライトユニットと一体化されるなど、外装デザインがリファインされました。
搭載エンジンが新しくなり、トヨタ・1ZR-FAEに変更されました。ベーシックグレードのエリーゼは車重900kg、最高速度は204km/h。
ベーシックグレードに特別色を含むエクステリアカラーに加え、独自の特徴的なインテリアデザインが施されたエリーゼCR。専用のブラック軽量鍛造アルミホイールが装着されます。
2012年に追加された、1.8Lスーパーチャージャー付き2ZR-FEを搭載するエリーゼS。車重は924kg、最高速度は234km/h。



さすがロータス!な乗り味

出典: http://www.lotus-cars.jp/our-cars/current-range/lotus-elise-s.html
所有したことはありませんが、メカニック時代に超初期のシリーズ1をお持ちのお客様がいらしたので、ドライブする機会を何度もいただいていました。
正直、“アルミを接着剤で貼り合わせたフレーム”というものに、ずいぶんと偏見の眼をもっていたのは事実です。
みなさんもそうじゃないですか? だって、接着剤ですよ。いくら魔法の一滴がすぐれているからとは言え、車の車重やトルクを受け止められるのか?? と思っていました。
でもいざ乗ってみると、アルミ製のフレームからもFRPのボディからも、まったくきしみがありません。素晴らしい出来映えです。
後に飛行機の製造過程を見る機会に恵まれたのですが、本当に飛行機の骨格も接着剤で固定するんですね。それを見たときに、“エリーゼの車重だったら楽勝なんだな”と合点がいきました。
実際、路面の轍や駐車場の入り口などでボディがよじれるシチュエーションになっても、全く不安を感じません。それどころか、いっさいよじれを感じることなく、難なく内側のリアタイヤが浮かび上がります。それほどフレームの剛性がしっかりしているのです。
そして、ロータスお得意の軽量ボディとキビキビ回る小排気量エンジンの組み合わせは、抜群に楽しくドライブできます。“カチッ”と硬めのシフトフィーリングが、これまたやる気にさせてくれるんです。レーシングカーさながらの前後ダブルウィッシュボーンサスペンションは実に良く動く設定で、街乗りでもなんら苦にならない乗り心地です。しかも、サーキットで本気モードで攻め込んでも、しっかりと路面を掴んで放さない根性の持ち主でもありました。
エアコンレスでしたから、正直なところ「夏は勘弁して欲しいなぁ」と思いながらも、通勤から週末のドライブ、サーキット走行まで使える車です。

シリーズ2は、トヨタエンジンに変更を受けたときに、ディーラーで試乗させてもらいました。
少し重くなったとは言え十分軽量なボディと、パワー・トルクともに向上したエンジンがさらにエリーゼを楽しい車にしてくれていました。
エアコン・パワーステアリング・パワーウィンド・ABSなどの安全・快適装備も充実していて、ますます普段履きでも快適に使える車になりました。

VVT-iを搭載した現行モデルにはまだ乗ったことがありませんが、あのシリーズ2からさらにエンジン性能が向上しているわけですから想像に難くありませんね。

マイナスポイント

べた褒めしているエリーゼですが、ちょっと気になる点ももちろんあります。
そもそも論になりますが、2シーターであること。カップルからまだ子供がいない夫婦までという限定になりますよね。それでなくとも手荷物を置くスペースすらありませんから、お出かけ先で衝動買いしてしまった荷物は、宅急便を利用することになります。まぁ、“奥様の膝の上に載せる”がOKでしたら問題はありません。というか荷物の大きさ次第ですね。
それから、ルーフの素材です。ごくごく一般的な布製の幌素材でできています。つくりはしっかりしていますし固定方法も文句の付けようがありません。風切り音は気になるレベルではありませんし、雨の侵入もなく水密性も確保されています。
なんですが…個人的にはこの大きさ(小ささ)でしたら、メタルトップにして欲しかったですね。折り畳む必要がないほど小さいのですから、たためる素材にする必要がないと思うのです。永く乗ることを考えると、耐候性も考慮すべきだと思います。
脱着できるハードトップがアフターパーツとしてたくさんリリースされていますので、換装することはできますが、ストックで容易されていればなお良いのではないかと思います。

他には、思い当たることがありません。
もちろん、豪華装備を望めばきりがありません。でも、エリーゼはそういうカテゴリーの車ではありません。純粋にスポーツドライビングを楽しむために生まれてきた車です。もっと偏屈で乗りにくくても仕方がない部類の車が“ハードルを下げて歩み寄ってくれた”、そんな印象すら持っています。
シートや内装の革質、むき出しのアルミ部分の表面処理などは実に丁寧につくられています。“速く走ればいいんでしょ?”的な感覚は一切ないところが、エリーゼの最大の魅力かもしれません。

手に入れるには

出典: http://www.lotus-cars.jp/our-cars/current-range/lotus-elise-s.html

新車で購入できますので、まずはメーカーサイトへ行ってみましょう。

ロータスカーズのホームページへ
新車価格は.-とのことですから、強豪他車に比べればお値打ち感もあります。とは言え、すぐに手が出せる金額ではないこともこれまた事実です。
そんな時は優良中古車を探してみましょう。

Gooworld中古車検索
11月25日現在、64台のエリーゼがヒットしますね。現行モデルは新車もしくは試乗車だったであろう走行距離の車輌がほとんどです。以前は“新古車”などと表記されていましたが、この試乗車上がりを狙うのはお値打ちに購入する手段として良い選択だと思います。
車種にもよりますが、この手の車を試乗するのにそんなに無茶な運転は出来ませんよね。しかも、たいていの場合はディーラーのスタッフが同乗しますので、酷い扱いを受けることはありません。逆に、追加注文を取るためにオプションパーツが付いていることが多く、自分の好みに合う設定になっていればかなりお買い得になるはずです。
それから、もはや常識になっていますが、やはり狙い目は3年落ちです。
よほど雑な使い方をしなければ程度に差が出る期間ではありませんし、各部の“ならし”が終わっていよいよこれから本領発揮というタイミングかもしれません。ただ、ちょうど初回の車検が切れる年式ですので、試乗させてもらえない可能性もあります。
2012年モデル走行10,000キロ以下の車輌が500万円を切っていますね。しっかりと眺めてみて、できれば試乗してみて、納得できるなら良い選択ではないでしょうか。

ありがちな“初期型偏向”

これはエリーゼに限ったことではありませんが、初期型がもてはやされる傾向は少なくありません。
芸人さんや歌手でもそうですが、センセーショナルなデビューを果たしたことで、その印象が強すぎてその後がヒットしないと言うケース。いわゆる“一発屋”です。車の世界でも同じ事が言えるようです。初代のインパクトが強いほど2代目の売れ行きが悪いことが多いように思います。
モデルチェンジすると“前のデザインの方が良かった”などと囁かれるアレですね。実はエリーゼにも同じように初代モデルが高騰した時期がありました。
ただ、エリーゼの場合はちょっと理由が違うのかもしれません。それは、初期型だけが劇的に軽量だからです。なにしろ、エリーゼにとってその存在価値の半分は“軽量であること”なわけですから。
シリーズ1とシリーズ2を比べると、100kg程度増量しています。これは車重の1割以上にあたりますから、“これくらい”といえるものではありません。
そんなわけでシリーズ2になったころは、シリーズ1を求める声が多かったのです。中古市場では新車価格とかわらないほどになったこともありました。
転機はトヨタエンジンの採用だったのではないでしょうか。これにより信頼性を優先する向きが増え、シリーズ2のデリバリー数が格段に増え始めました。100キロの増量も、トヨタエンジンというブランドと快適装備が採用された代償だと認知されたのでしょう。
今では、一部の限定モデルを除いては300万円前後を推移しています。一番お手軽な価格の車輌は249万円でした。
シリーズ1~シリーズ2の初期まではローバー製のエンジンを採用しています。ご存じの通り、すでに消滅してしまったメーカーですので、今後のメンテナンスに対する不安は当然のことでしょう。加えて超初期モデルはすでに18年程度経過していますので、エンジンに限らず多方面での不安が多いのかも知れません。

維持できる?

これはなかなか難しい問題ですね。上述したように、ローバー製のエンジンに関しては、今後の対応がどうなるのかは定かではありません。ロータスカーズで部品の供給はあるようですが、すでに製造中止から10年以上経っていますから、いつまでも期待はできないと思います。
トヨタエンジンでさえ初期のモデルは10年を超えていますから、いつまで部品供給が続くのかは疑問です。これまでの経緯から、“10年経ったからもうやーめた”とは言わないのがトヨタだと思いたいのですが。
ボディーワークに至っても同様です。基本的にはロータスのオリジナル車種ですから、各部の部品供給はロータスを頼らざるを得ません。“もう15年経ったし、エリーゼシリーズ1の部品は作るのをやめよう”なんてことになったら大変です。
他にも懸念はあります。やはり軽量を求めてつくられた車ですから、各部の耐久性が気になるところです。頑丈が持ち分だから重くてもしかたがないというレベルの量販車に比べると、あらゆるところが貧弱です。
ダブルウィッシュボーンのサスペンションを効率良く働かせるためには、アーム類を軽量にすることが必須です。重たい足周りでは運動性能が上がりません。
重たいブーツと軽量なランニングシューズでは、どちらが速く走れるかは火を見るよりも明らかでしょう。アルミ製の華奢なアームと鉄製の厳ついアームでは、強度・耐久性のどちらをとっても結果は疑いようがありません。
例えば、攻めすぎて縁石などにホイールをぶつけてしまった場合など、事と次第ではフレームにまで影響が及ぶかもしれません。サスペンションアームの付け根は、アルミでできたフレームなのですから。

信頼できるショップを見つける

ロータスカーズのディーラーは、日本中に20軒あります。他にサービスポイントと呼ばれる講習を受けた拠点が13ヵ所。合わせても1軒/1都道府県に満たない状況です。
立ち往生している場合に、県内に頼る先が無いのでは話になりませんね。いくらロードサービスが充実していても、他府県まで運んでもらうのは大変なことです。自分の行動範囲内に駆け込める先を見つけておきましょう。
これはエリーゼやロータス車に限ったことではありませんが、“かかりつけ医”のようなショップを見つけることが一番の早道です。規模の問題ではなく、質問に対して的確な返答が帰ってくることが大切です。話をそらそうとしたり、うやむやにしようとする行為は疑うべきです。

FRPとアルミは修復可能

エリーゼのボディはFRPで出来ています。FRPとは、ファーバー・リインフォースド・プラスチックの頭文字で、プラスチックの仲間です。グラスファイバーと呼ばれるガラス繊維の網を骨にしたプラスチックということです。ガラス繊維が入っていますので、プラスチックだけよりも引っ張り強度に長けています。また通常のプラスチックは、ぶつけて割れるとバラバラになってしまいますが、FRPの場合はガラス繊維が網状になっていますので、プラスチックが割れてしまっても形をとどめています。つまり、修復が可能なんです。
最近の技術では、アルミニウムの修復もできるようになりました。一般的に鉄のパネルを修復する場合、火を使います。火で炙って柔らかくなったところを、たたく、引っ張る、伸ばすを利用して形を整えていきます。アルミの場合、鉄よりも融点が低いため同じ方法だと溶けてしまいます。
従来はアルミの修復は困難とされてきましたが、最近では低温でアルミを修復する技術が確立されて可能になったのです。
フレームとボディに関しては、よほどひどい状態でなければ修復可能だと考えて良いでしょう。
やはり不安は部品供給体制ですね。
ロータスカーズを信じるしかありませんが、オーナーとして出来ることはまだまだあります。
一番のオススメは、オーナーズクラブに加入することです。同じ車のオーナー同士で情報を共有できますので、より効果的に情報収集することができます。
「シリーズ2のあの部品は、どこそこのなんとかっていう車と同じ部品なんだよ。」といった会話が、貴方のカーライフをサポートしてくれるに違いありません。
そのような知識に長けたショップ探しも重要ですね。

最後にまとめ

存続さえも危ぶまれたロータスがブガッティ傘下時代に開発したエリーゼは、1995年のフランクフルトショーでデビューしたのでした。翌1996年から販売が開始されましたから、いかにショーモデルの完成度が高かったかが伺えます。
以降、エンジンのバリエーションや派生車種の追加などを受けながら、2001年にモデルチェンジされました。このモデルチェンジを境にフェイズ1/フェイズ2、あるいはマーク1(Mk1)/マーク2(Mk2)、シリーズ1(S1)/シリーズ2(S2)など、様々な方法で呼び分けられています。それだけ初期型への敬意が強いのでしょう。
ローバー製のエンジンを載せていたため、次期エンジンの動向が危ぶまれましたが、2004年にはトヨタからエンジンの受給が受けられ、動力性能と信頼性の向上とともにモデルバリエーションが増やされました。
2010年に再びフェイスリフトが行われ、さらに進化したエンジンやトランスミッションを搭載しています。
1950年代のコリン・チャプマンの思想をしっかりと受け継ぎ、現代版ロータスエランとも言うべきエリーゼは、スポーツ性能だけでなく安全性・快適性までも手に入れています。
昨今では希有な存在と言えるでしょう。ロータスの真骨頂である“ライトウェイトスポーツ”を、最新技術で実現したエリーゼは、きっと貴方のカーライフに大きな衝撃を与えてくれます。