【滋賀・日吉大社】比叡山麓に鎮座する全国3,800余の総本宮を徹底分析!

比叡山の麓に鎮座する日吉大社は、およそ2,100年前に創祀された、全国3,800余の日吉・日枝・山王神社の総本宮です。平安京に都があった時代は、この地がちょうど表鬼門に当たることから、都の魔除・災難除の社として崇敬を受けました。また、神社内には3,000本のもみじがあって、関西屈指の紅葉名所としても知られています。 今回は、日吉神社の魅力に迫るおすすめのスポットをご紹介します。

日吉大社に祀られている神様と歴史

See this Instagram 滋賀県大津市にある「日吉大社」は、八王子山(牛尾山)を含む13万坪の大きさを持っており、全国に3,000以上ある日吉・日枝・山王神社の総本宮です。また、平安京から見ると鬼門の方角に位置することから、方除けや厄除けの御利益で信仰を集めています。

カエデやスギに覆われた境内には西本宮・東本宮を中心に多数の社殿が建っています。全盛期には境内108社、境外108社の神社がありました。現在は約40の社があって、中でも特に大きな7つの社(西本宮・東本宮・宇佐宮・白山宮・三宮宮・牛尾宮・樹下宮)を「山王七社」といいます。東本宮本殿と西本宮本殿は国宝に、17棟が重要文化財に指定されています。

山王七社1「西本宮」について

See this Instagram 西本宮は、都の守り神と崇められる大己貴神(おおなむちのかみ)を祀った神社です。天正14年(1586年)の造営で、本殿は「日吉造(ひえづくり)」と呼ばれる、前面と両側面にのみ庇がつけられた独特な形をしています。本殿の正面には1間の向拝(屋根の一部が前方に突き出し礼拝に使用される部分)と浜床(向拝の下に用いられる低い床)があって、縁高欄がそのまわりをめぐっています。屋根は檜の皮を原料とした檜皮葺(ひわだぶき)で、本殿に狛犬が乗っている珍しい様式となっています。昭和36年(1961年)国宝に指定されました。

なお、山王七社すべての本殿床下には「下殿」と呼ばれる部屋が設けられています。これは祭祀のための空間で、神仏分離が行われるまではここに仏像を安置して、仏事が営まれていたと言われています。下殿の存在は、神仏を融合した山王信仰の総本宮である日吉大社の社殿ならではといえるでしょう。

山王七社2「東本宮」について

See this Instagram 東本宮は、大山咋神(おおやまくいのかみ)を祭神として祀っていて、西本宮と対を成しています。信仰の祖である山の神だけではなく、五穀豊穣や家内安全の神様としても知られています。東本宮の本殿は西本宮と同じく日吉造ですが、社殿後方の中央3間部分の床が一段高く造られている点が西本宮と異なっています。文禄4年(1595年)の造立で、こちらも昭和36年(1961年)国宝に指定されました。なお、東本宮の檜皮葺は平成25年(2013年)に新しく葺き替えられました。

山王七社3「宇佐宮」について

See this Instagram 宇佐宮の本殿には、御祭神の田心姫大神(たごりひめのかみ)が祀られています。宇佐八幡宮の御祭神を勧請したもので、天武3年(675年)に鎮座されました。現在の社殿は慶長3年(1598年)に建て直されたものです。西本宮・東本宮と同じ日吉造ですが、向拝の階段前に吹寄格子(縦の間隔に変化を持たせた格子)によって障壁を設けているのが特徴です。なお、西本宮と東本宮、宇佐宮は「日吉三聖」と呼ばれており、山王七社の中で社格が高くなっています。

山王七社4「白山宮」について

See this Instagram 白山宮は石川県にある白山比咋(しらやまひめ)神社から勧請した「菊理姫神(くくりひめのかみ)」を御祭神として祀られた神社で、天安2年(西暦858年)に鎮座されました。本殿は正面側の屋根(前流れ)が延びた形式で、桁行が3間ある「三間社流造」の檜皮葺となっています。現在の社殿は慶長3年(1598年)に造営されたものです。なお、本殿の左側にある岩は、御祭様を祀ったとき、真夏であるのに大雪がこの丈まで降り積もったため「雪丈岩(ゆきたけいわ)」と呼ばれています。

山王七社5「三宮宮」について

See this Instagram 標高378メートルの八王子山(牛尾山)の頂上付近に2つの社殿が建っています。参道から向かって左側が三宮宮、右側が牛尾宮です。三宮宮は、鴨玉依姫神(かもたまよりひめのかみ)の荒魂を祀っています。三間社流造で檜皮葺の本殿は、慶長4年(1599年)に建てられました。

山王七社6「牛尾宮」について

See this Instagram 標高378メートルの八王子山(牛尾山)の頂上付近、参道から見て右側に建っているのが牛尾宮です。牛尾宮には大山咋神の荒魂を祀っています。三間社流造で檜皮葺の本殿は、文禄4年(1595年)に建てられました。三宮宮本殿と合わせて、この建物が舞台造の祖と言われています。4月に行われる山王祭では、本殿前の急坂を氏子衆が神輿を担いで勢いよく駆け下りる光景を見ることができます。

山王七社7「樹下宮」について

See this Instagram 東本宮の楼門を入ってすぐの場所に見えるのが樹下宮です。ここでは、東本宮の大山咋神の御妃神である鴨玉依姫神(かもたまよりひめのかみ)を御祭神として祀っています。安産や子育て、健康長寿の御利益があるとされています。本殿は文禄4年(1595年)に建てられた三間社流造で、建物には山王七社の中でも最も豪華な飾り金具がつけられています。また、御神座の真下には霊泉があって、以前はこの場所で御神水を採っていました。

樹下宮の向かい側には、雌雄で対となった2本の梛(なぎ)の木があります。雄梛の木は女性が男性の幸せを、雌梛の木は男性が女性の幸せを祈る木とされてます。

日吉大社の歴史

日吉大社の歴史は、素朴な山岳信仰から始まったとされています。古墳時代の終わりごろから、日枝山(現在の比叡山)に宿る大山咋神(おおやまくいのかみ)を御神体として崇拝していたと考えられています。この神は比叡山と尾根続きの八王子山(牛尾山)山頂に降り立ったとされ、その山麓に作られた里宮が現在の日吉大社東本宮になったとされています。なお、西本宮は天智7年(668年)に天智天皇が近江大津宮の鎮守のため、大和国の大神神社を勧請して創建されたと言われています。比叡山延暦寺が創建されると日吉大社はその鎮守社となり、唐の天台山国清寺の地主神「山王弼真君」にちなんで神仏習合の神「山王権現」と呼ばれました。元亀2年(1571年)織田信長の比叡山焼き討ちで日吉大社も全焼しましたが、豊臣秀吉によって再建されました。慶応4年(1868年)には、神仏分離令によって延暦寺から独立しています。



日吉大社の基本情報

See this Instagram 住所:滋賀県大津市坂本5-1-1
参拝時間:9:00~16:30
入苑協賛料:大人300円 小人150円
アクセス:
電車の場合
JR湖西線「比叡山坂本駅」から徒歩20分
京阪石山坂本線「坂本駅」から徒歩10分
車の場合
名神高速道路「京都東IC」から国道161号線経由で約20分
駐車場:無料(約50台)

日吉大社 | 平安京の表鬼門鎮座 方除・厄除の大社 神仏霊場 滋賀県17番

日吉大社のパワースポット&おすすめスポット

日吉大社は、方除け・厄除け・縁結び・家内安全・夫婦和合・商売繁盛などのご利益があると言われています。また、江戸城の鬼門である比叡山を守るために日吉大社周りの風水が整備されたので、浄化のパワーが強いことでも有名です。境内に約40ある神社では、それぞれ神様から御利益をいただくことができます。

「山王鳥居」神仏習合を表した鳥居

See this Instagram 山王鳥居は、よく見かける明神(みょうじん)鳥居の上に三角形の破風(屋根)が乗った独特のかたちをしています。比叡山の守護神として鎮座していた日吉大神を山王権現と称する「神仏習合」の信仰を表したものと言われています。 また、延暦寺の開祖である最澄が日吉大社を護法神とされたため、かつては延暦寺の参拝者もこの道を通ったことから明神鳥居の上に合掌の形をつけた、とも言われています。

「金大巌(こがねのおおいわ)」運気を大きく育てる

See this Instagram 八王子山の山頂に屹立する金大巖(こがねのおおいわ)は、三宮宮と牛尾宮の間に挟まれた石段奥にある高さ10メートルほどの巨石です。神が降臨する聖なる磐座(いわくら)で、日吉大社の信仰の根源にあたる聖地です。現在、東本宮に祀られている大山咋神は、元々は金大巌にて祀られていました。小さな運気を短期間で大きく育ててくれると言われているパワースポットです。

魔除けの象徴「神猿(まさる)」さん

See this Instagram 古来より日吉といえば猿といわれ、いつの頃からか魔除けの象徴として大切に扱われるようになりました。「まさる」は「魔が去る」「勝る」に通じているので、大変縁起のよいお猿さんです。そのため、日吉大社には猿にちなんだパワースポットが数多く存在しています。 See this Instagram 「神猿舎(まさるしゃ)」では、本当の猿が飼育されています。境内では昔から猿が飼われていて、室町時代の記録にも登場していました。江戸時代の絵図などには「猿飼所」や「猿厩」が記されています。記録によると、昔は年1石(大人1人が1年間に食べる米の量)の俸禄を貰っていたそうです。 See this Instagram 東本宮の参道脇にある霊石を正面から見ると、凹凸の加減が座り込む猿の形に似ていることから「猿の霊石」と呼ばれています。 See this Instagram 西本宮楼門軒下の四隅には、「棟持猿(むなもちさる)」と呼ばれる神猿がいます。それぞれ違ったポーズで屋根を支えながら、参拝者を見守っています。



日吉大社の例大祭

See this Instagram 湖国三大祭の1つである「山王祭」は、延歴10年(791年)に桓武天皇が2基の神輿を寄進されてから1,200年以上の歴史を有しています。期間は3月の第1日曜日から4月14日までの約1ヵ月半です。4月12日から14日には、西本宮の大己貴神と東本宮の大山咋神の由来をたどりながら、天下泰平・五穀豊穣を祈願する神事が執り行われます。見どころは、山王七社の神輿7基が満開の桜並木や琵琶湖を渡る神輿行列で、スケールの大きさに感動を覚えます。

日吉大社の初詣の混み具合

See this Instagram 12月31日の23時から1月1日の19時まで、年末年始の特別参拝時間が設けられています。元旦の5時からは、篝火が焚かれた厳粛な雰囲気の中、西本宮で能「翁」、東本宮で謡曲「四海波」を奉納する「大戸開神事」が行われます。参拝者数は約10万人で、混雑のピークは元日の10時から14時くらいです。なお、本年は申年だったこともあって、猿にゆかりのある日吉大社は例年にも増して多くの参拝客でにぎわいました。

日吉大社の御朱印

See this Instagram 日吉大社では、16種類の御朱印をいただくことができます。日吉大社境内全ての社の総称である「日吉大社」、山王七社(西本宮・東本宮・宇佐宮・牛尾宮・白山宮・樹下宮・三宮)とそれぞれの権現名の御朱印、最後に金の御朱印(日吉大社のみ、御朱印紙のみ)です。初穂料は300円(金の御朱印は500円)、西本宮の授与所にていただくことができます。東本宮のみ東授与所でもいただくことが可能です。 See this Instagram オリジナルの御朱印帳は初穂料1,200円で購入することができます。山王鳥居をモチーフにしたものと、巫女さんがデザインした山王七社の社紋を取り入れた桃色の御朱印帳があります。

日吉大社周辺の観光・グルメ情報

「日吉東照宮」日光東照宮のひな型となった神社

See this Instagram 日吉大社から徒歩10分の場所にある日吉東照宮は、徳川家康公の没後に彼を大権現(だいごんげん)と讃えて天海上人が縁の地に建てた東照宮のうちの1つです。現在の社殿は寛永11年(1634年)に完成しました。本殿と拝殿を石の間で繋ぐ「権現造り」という建築様式で造られた社殿は、総黒漆塗りで極彩色と大変豪華なもので、この様式を基に栃木県の日光東照宮を再建したと言われています。

もともとは比叡山延暦寺が管理をしていましたが、明治時代に神仏分離令が出されると共に日吉大社の末社となりました。昭和25年(1950年)に社殿、同31年(1956年)に唐門と透塀が国指定重要文化財に指定されています。

【基本情報】
住所:滋賀県大津市坂本4-2-12
営業時間:
殿内拝観は9:00~16:00、金土日・祝日のみ
※唐門の手前からは常時参拝可能
殿内拝観料:
大人200円 子供100円
※日吉大社も参拝の場合150円
駐車場:有

日吉東照宮 | 日吉大社

「旧竹林院」門前町坂本にある高僧の隠居処

See this Instagram 旧竹林院は、比叡山延暦寺の門前町として栄えた坂本に数多く残された里坊(高僧の隠居所)の1つです。邸内にある広さ約3,300平方メートルの庭園は、八王子山を借景に地形をたくみに利用しながら滝組と築山を美しく配置、四季折々の風情を楽しむことができます。主屋のほかに、大正年間に建てられた2棟の茶室や四阿(あずまや)などがあります。平成5年(1993年)に茶室と四阿が大津市の指定文化財、平成10年(1998年)には庭園が国の名勝に指定されています。

【基本情報】
住所:滋賀県大津市坂本5-2-13
営業時間:9:00~17:00
定休日:
月曜日(祝休日は開園)
祝日の翌日
12月26日~12月31日
料金:大人320円、小学生160円
駐車場:有

旧竹林院公式サイト

「本家 鶴喜そば 本店」300年の歴史を持つ本格手打ちそば

See this Instagram 比叡山麓の門前町である坂本において300年の歴史を持つ本格手打ちそばです。過去には比叡山で断食の修行を終えた仏教僧が胃腸を慣らすためにここの蕎麦を食べたと言われています。本店は築130年の入母屋造の建物で、平成9年(1997年)には国の登録有形文化財にも指定されました。「折鶴の庭」という名前の中庭は、比叡山と琵琶湖を模した築山枯山水となっていて、庭の中心には創業当時から据えられた風情のある春日燈籠が置かれています。おすすめは「ざるそば」(950円)で、創業以来手打ちにこだわった蕎麦はさっぱりみずみずしく、しっかりとした香りも感じられます。さば、うるめ、めじか、鰹などの魚介と昆布で作られた蕎麦汁は、やや甘めでまろやかな口当たりです。

【基本情報】
住所:滋賀県大津市坂本4-11-40
営業時間:10:00~18:00
定休日:第3金曜日
駐車場:有

比叡山延暦寺ご用達手打ち蕎麦【本家鶴喜そば】
観光で滋賀県坂本にある世界遺産比叡山延暦寺を訪れた際は本格手打ちそばの本家鶴喜そば本店へお越しください。日吉大社や坂本ケーブル駅からも徒歩圏内で登録有形文化財にも指定された母屋もご内観頂けます。

買っておきたい!お守り&お土産

「神猿(まさる)みくじ」魔除けのお守りにもなる

See this Instagram 日吉大社では、比叡山に生息していた猿を神の使い「神猿(まさる)」と呼び、魔除けの象徴として大切にしてきました。「まさる」という名前は「魔が去る」「勝る」の意味があるので、縁起がいいとされてます。その神猿をおみくじにしたのが「神猿みくじ」です。茶色(平成28年は申年なので銀色になっています)の神猿(300円)は魔除け・厄除けに、金色の神猿(500円)は魔除け・厄除けに加えて金運アップのご利益があるとのことです。赤い紐を引っ張ると内部からおみくじが出てきて、本体はお守りとして神棚や玄関に飾ることができます。

「梛守(なぎまもり)」男女の円満を祈る御神木の葉

See this Instagram 日吉大社の御神木である梛(なぎ)の葉が、雄雌一対で入っているお守りです。初穂料は500円です。男性が雌梛(めすなぎ)、女性が雄梛(おすなぎ)を持つことで、お互いの円満を祈ります。

「恵美寿守」美や寿に恵まれる

See this Instagram 日吉大社の境内社「えびす社」で頒布しているお守りです。初穂料は1,000円です。えびす社は事代主神(ことしろぬしのかみ=えべっさん)を祀る神社で、「えびす」の文字に「恵美寿」をあてることで、「美や寿」に恵まれるように祈念されています。

おわりに

日吉大社の魅力に迫るたび、いかがでしたでしょうか? 日吉・日枝・山王神社の総本宮として栄えた神社には、やはり個性的で興味深いスポットが集まっていますね。滋賀県を訪れた際には、ぜひの比叡山の麓で心やすらぐひとときを楽しんでみてください。