四日市を輝かせる夜景!?無機的に心に響く工場夜景

四日市の夜景が話題になっています。名前が物語るように東海道の宿場として古くから発展していた街で戦後にいち早く重工業に転換した石油コンビナートの街として著名です。三重県に位置していますが、県都の津よりも人口が多い街なのが四日市。その伊勢湾岸に拡がる中京圏一といわれる工業地帯の夜景を見てみます。

四日市の夜景ポイントに迫る

夜が輝く四日市へは大都市名古屋とを結ぶ快適なルートが約束されています。第2東名と第2名阪をつなぐ伊勢湾岸道路で運河にかかる壮大ないくつかの橋を渡り三重川越インターを降りるか、高速を使うまでもなく、名四国道と呼ばれる快適な国道23号線もあります。三重川越インターからはその国道23号線に合流して、まもなく四日市の街が現れます。
日本初の石油コンビナートは1958年に稼働した岩国のものですが、同年の新居浜に続く翌1959年の四日市、川崎の四つが先駆けで、これによってエチレン・ポリエチレンを国産できるようになったのです。日本の高度成長に大きな役割を果たした歴史的な風景でもあります。
こうしてできた湾岸地帯の迫力は昼間に見ても息を呑むものがあります。特に高くそそり立つ煙突は特徴的です。戦争でターゲットになって焼き尽くされた海軍燃料庫跡地を払い下げられたこともあり一帯の密集度が高くなっています。このためのきらめき度の高さもこのエリアを有名にしている理由です。
この景色は訳あって当初計画の通りに日本中に広まることはありませんでした。石油もしくは石油化学コンビナートといわれる地域は全国に15カ所あるといわれています。
その中で四日市は背景に近畿と東海地方を隔てる西の天下の険、鈴鹿山脈がそびえています。鈴鹿山脈も山裾を持っていますからこの工場夜景を含めたきらめきを眺める好適地が見つかるのです。
この夜景は四日市の観光協会でいち推ししていて、夜景ポイントを紹介しています。湾岸地帯を見渡す展望ビルもありますし、昼間ならなんともさりげない場所もあります。
四日市市は三重県の県都の津を人口や商圏で上回る都市です。眼下に見下ろすスポットも都市とともに見渡すスポットもあるなかなかの夜景ポイントになっているのです。

そんなポイントをいくつかご紹介しましょう。

水沢浄水場近辺

四日市を始めとして、鈴鹿山脈の山裾は伊勢茶の名産地です。鈴鹿、亀山にまで拡がりますが、中でも四日市の水沢地区にはお茶専門の農協があったりする生産地、伊勢茶のなかでも特に水沢(すいざわ)茶として著名で、かぶせ茶の有数な産地となっています。かぶせ茶とは新芽の生育中に日光を遮る栽培法で作られたお茶で玉露もかぶせ茶ではありますが、玉露でなくかぶせ茶という場合には遮っている期間が短くなります。玉露で分かる通りこの方法ではお茶のうまみが増して苦味、渋みは抑えられます。また水沢地区は伊勢茶の発祥の地でもあります。

この水沢地区は県道44号線を鈴鹿山脈方面に進み湯の山温泉郷の南側のあたりになります。茶畑の拡がる丘陵は市街地を含めた夜景を観賞する絶好の場所です。水沢浄水場付近を目指すのがよいでしょう。
おいしい水沢茶を手に入れる丘陵地のドライブのクライマックスにいかがでしょうか。最後に温泉も楽しめるルートです。

水沢浄水場
住所:三重県四日市市水沢町252-62 

宮妻峡

水沢浄水場付近には藩主がわざわざもみじだけを残していったという紅葉の名所もみじ谷がありますが、そのあたりが末端となる県道44号線からちょっと狭くなりますが宮妻峡に進む道があります。渓谷にレジャー施設がありますが、この辺りまで進むと星空がひときわ輝く人里離れたエリアになります。
施設からほんの少し登ると夜景を眺めるのにちょうどよい駐車場があって車内から夜景を眺められます。

宮妻峡ヒュッテ
住所:三重県四日市市水沢町28
宮妻峡の駐車場はこの先

南部丘陵公園

塩浜地区の第一コンビナートの西、市街地を跨いだ丘陵地は四日市最大の公園、南部丘陵公園になっていて街越しの工場夜景が眺められるポイントになっています。郊外のお茶畑エリアと違い市街地の隣の住宅エリアに位置しています。公園は北ゾーンと南ゾーンに分かれています。目指すのは北ゾーンの展望台です。駐車場が50台ほど用意されていてもちろん無料で利用できます。ただし公園内にはいくつも駐車場がありますからご注意を。

南部丘陵公園
住所:三重県四日市市大字日永

うみてらす14(四日市港ポートビル)

霞ヶ浦地区の人工島、第3コンビナートエリアの隣は四日市港となっていますが、ここに三重県で一番高い建物があって、それが四日市港ポートビルです。うみてらす14は最上階に設置された展望台。1999年の完成以来、四日市の工場夜景を象徴するスポットになっています。高さは100メートル、直近の天空から見下ろす風景はなかなかないものです。

うみてらす14
住所:三重県四日市市霞二丁目1-1
開館時間:午前9時30分~午後5時 土曜、7~11月の金曜は午後9時まで
休館日:水曜(祝日の場合は開館)、12月29日~1月3日
入場料:一般 300円 小中学生 150円 小学生未満無料

四日市ドーム前(霞ヶ浦緑地公園)

第3コンビナートのある人工島に対面した、霞ヶ浦緑地公園は隔てる運河沿いにコンビナートを眺めるロケーションです。ここの特徴は目の前の運河に明かりが映し出されることです。
メジャーな公園で遊具と水遊びの広場、霞ゆめくじら、サッカー、野球、体育館などの施設、さらには競輪場、人工芝の屋根付き競技場四日市ドームなどがあります。夜でも安心のスポットとなります。
この四日市ドーム前が運河沿いの通路になっているので見やすく分かりやすいポイントです。
たくさんの車を止められる無料の駐車場があります。駐車場に困ることはないはずです。

住所:三重県四日市大字羽津甲

大正橋

国道23号線の大正橋の歩道は第2コンビナートをすぐ目の前に眺めるポイントで、こちらも川面に映る光がきれいです。距離も近く撮影に最適といえますが、その場合は国道23号線に停車するのはよろしくありません。近くの民間駐車場を探して訪れることになります。

場所:三重県四日市牛起と浜町の間に架かる国道23号線の橋

磯津堤防

国道23号線を進むと鈴鹿川を越えて隣の鈴鹿市になります。サーキットとF1開催で有名な街です。
この鈴鹿市との境になっている鈴鹿川ですが国道23号線の海側の境界はすぐ先で分岐している支流のような鈴鹿川派川となっていて鈴鹿市との境はこちら沿い。本流は北側に向きを変えて内部川と合流するまで国道23号線の海側を並行して流れます。この三角州には磯津漁港があって隣の本流の河口付近は塩浜という住宅街になっています。
河岸の堤防の道路には一段高くなった歩道があって対岸は第一コンビナートとなっています。河口までいけば車を止めて眺めるスペースもあります。河口手前の橋から対岸へもいけます。

場所:三重県四日市塩浜付近



いわくにあふれた四日市の夜景

四日市の工場夜景が貴重なものになったのは地勢に恵まれていること、最初の塩浜地区は軍用地の払い下げ、さらには海浜の埋め立てと計画性が高く、立地の密度が高いこともありますが、そもそもここがコンビナートの先駆けなことも影響しています。
南側の塩浜地区の第1コンビナートから牛起地区の第2、霞ヶ浦地区の第3コンビナートまで繊維産業から重工業へ転換して、発展するために一気に開発が進みました。牛起地区や霞ヶ浦地区では海水浴場などもあった沿岸は埋め立てられて工場と港へ転換されたのです。
そもそもコンビナートとはなんなのでしょうか。もとになった言葉はロシア語でいまは無くなったソビエト連邦で作られた言葉で、必要なものを組合せて効率的に計画された工業地帯を指す言葉でした。
石油化学工業では原油は基本的に輸入ですから船で運び込み、貯蔵して、精製し、加工するという作業が必要です。この産業から生み出されているものは何かというと合成樹脂(いわゆるプラスチック製品の原料)やその糸となる化学繊維、合成ゴムなどです。
どれだけ今の生活に欠かせないものなのかは、簡単に理解できると思いますが、この産業はコンビナートから始まっています。
第2次世界大戦の敗戦で財閥が解体された日本では、国が主導していくつかの企業が協力して石油化学のコンビナートが計画されることになり、コンビナートといえば石油化学工業のものを指すことが多いのです。

欠くべかざる石油コンビナートは絶対必要なものだった反面、当初はノウハウの欠如によって大問題を引き起こすことになるのです。
最初の塩浜地区が稼働を始めると異変はすぐに起こりました。当時も今も日本の石油の輸入先は圧倒的に中東が多く、中東産の原油は硫黄分が多いことで知られています。硫黄が燃えることで発生する二酸化硫黄は亜硫酸ガスといわれるもので硫酸の原料になる物質です。酸性雨の原因にもなっています。石油などを燃やしたり、自動車などでも対策をしなければ、これをたれ流すことになって重大な健康被害を生むのです。
塩浜地区では後に四日市ぜんそくと呼ばれる疾患が蔓延してしまいました。二酸化硫黄は呼吸器の障害を引き起こします。状況からしてコンビナートが原因なのは明らかだったのですが、時の通産省肝入りで地元行政も主導したプロジェクトです。
特にいけいけの時代ですから周辺住民の体がおかしくなったくらいでは問題化することはありませんでした。それでも煙突を高くしようということにはなりましたが、そのためにますます被害地域が拡大するというありさまだったのです。
煙突の目立つ四日市の工場夜景にはそんな背景もあります。出元での根本的な対策しか解決策はなく、対策されているならば煙突をやたらに高くする必要などないのです。
あまりの悲惨な状況に加えて海にも有害物質を捨てていたことで漁業被害も出るに至って、四日市の公害として知られるところとなり、コンビナートが富をもたらすものとして単純にありがたがられるものではなくなってしまいました。四日市でも第3コンビナートの稼働の頃には対策がされるようになって大きな問題にはならずに済みましたし、既にしっかりした対策が取られて今ではこんな問題は起こりません。

ただし、日本の石油化学工業の未来はバラ色ではありません。石油化学コンビナートを稼働させる原料は日本ではナフサが主流です。ところがもっと効率のよい方法があってエタンを使うことです。
エタンは原油採掘の時に一緒に出てきます。ナフサは原油を精製しているのです。
原料の問題だけではなく、例えばU.A.Eのドバイのコンビナートなどは税制も優遇されているのみならず加工に必要なエネルギーのコストたるや雲泥の差です。石油がある限りだろなんていってられません。例えば太陽光で発電するにせよ砂漠の国の効率の良さは圧倒的です。生産に電力を沢山必要とすることで有名なアルミニウムなどはすでにまったく敵わない状態です。そもそもドバイは連合を組む隣のアブダビと違って石油はあまり出ないため産業立国を目指していることもあります。
最新設備を揃えるドバイのコンビナートに対抗する手段はもはやありません。距離が遠いことだけは幸いなのでしょう。すでに一般国民の生活も日本人はU.A.Eなどの国に劣っていることは案外知られていません。落日の産業という意味でも、これから四日市を越える工場夜景が次々に生まれるということは考えにくいのです。

四日市はこんなところ

四日市はかつては悪名を馳せてしまって悪い意味で有名になってしまいましたが、実際には湾岸の日本有数の工業地帯だけでなく、鈴鹿山脈に端を発する美麗な風景のある自然に恵まれた土地でもあります。
険しいながら東海道のショートカットになっているかつての有料道路鈴鹿スカイラインが武平峠下をトンネルで越えるルートはお膝元の湯の山温泉から御在所岳へのルートとなっています。ロープウェイが山頂との間を結び苦労なく絶景を手に入れられます。鈴鹿山脈は三重県側が急峻で圧倒的な展望を誇ります。
山と温泉郷は行政上は隣の町ですが、ルート途中の四日市市域となる山裾にも温泉の恵みもあり、健康ランドや日帰り入浴施設もあります。お茶のうまみを凝縮するかぶせ茶で名高い茶畑が拡がる美しい景色とともにリラックスを求めて訪れる価値は充分です。
宿場町で紡績業が発展し、重工業へと転換してきた街です。となれば商業も盛んで、中には日本の代表的な小売業に発展したケースも。イオングループの創業は実は四日市です。創業者の家の家業、岡田屋スーパーから発展した企業です。



四日市工場夜景を楽しんで

日本のかつての高度成長の繁栄を偲ぶ歴史的な風景が生んだ話題の夜景、無機質な工場の景色が宝石のようなきらめきをみせる四日市の工場夜景と自然の恵みを一度味わいにお出掛けになることをおすすめします。