【アルファロメオ164】複雑なお家事情から生まれた最上級サルーン

アルファロメオが経営難にあえぎ産業復興公社の支配下にあるころ、フラッグシップモデルの開発が計画されましたが、すべてを自社で開発することは困難という判断から“Tipo4プロジェクト”へ参加します。FRレイアウトだった計画は修正され、FFレイアウトで進められることになりました。フィアット、サーブ、ランチアとの共同開発でしたが、ピニンファリーナの美しいボディを纏ったアルファロメオ164が誕生しました。

アルファロメオの暗い過去

出典: http://www.italiazakka.co.jp/shop/7499-0-ja.html
20世紀の初め、アルファロメオはグランプリでも名を馳せた有数のスポーツカーメーカーでした。このグランプリチームにエンツォ・フェラーリがいたのは有名な話ですよね。ところが、生産効率に左右されることなく、少数生産、超高価格販売政策のもとで理想の車づくりに邁進してきたツケが回るときがやってきます。1933年、世界恐慌に端を発する経営難からアルファロメオは国有化されてしまうのでした。以降、浮き沈みはあったものの独立にいたるヒットは生み出せず、1986年にフィアットに買い取られるまでの50年あまり、イタリア国有の持ち株会社であるフィンメッカニカの支配下にありました。



Tipo4プロジェクト

そんな国有化の歴史にピリオドを打つ直前のことです。アルファロメオはフラッグシップモデルとなりうるミドルサルーンの計画を進めていました。伝統として護り続けてきたFRレイアウトでの計画でしたが、深刻な経営不振から自社での開発続行を断念したのです。
選択したのは、フィアット、サーブ、ランチアとの共同開発の道でした。その名も“Tipo4プロジェクト”です。これにより、計画は大きく方向転換(FFレイアウト化)することを余儀なくされましたが、結果的にアルファロメオにとっては最善の道を歩むことが出来たのかもしれません。
Tipo4プロジェクトへの参加により、フィアットクロマ、ランチアテーマ、サーブ9000という兄弟車とともにアルファロメオ164が生まれました。厳密に言えば国有化時代に開発されましたが、発表できたのはフィアット傘下になってからの事です。つまり、このTipo4計画があったからこそ、フィアットとのパイプができあがったのです。

アルファロメオ164という車

出典: https://simple.wikipedia.org/wiki/Alfa_Romeo_164
スタイリングはピニンファリーナ(メインデザイナーはエンリコ・フミア)です。端正にまとめられたスタイリングデザインは高く評価され、1988年“トリノ・ピエモンテデザイン賞”を受賞しています。フィアットクロマとランチアテーマが兄弟と言われれば頷けるデザインなのですが、この164は従兄弟と言われてもピンときませんね。血筋が同じとは思えない美しさがあります。

●アルファロメオ164標準モデル
ボディタイプ:セダン
ドア数:4ドア
乗員定員:5名
全長×全幅×全高:4,555×1,760×1,400mm
ホイールベース:2,660mm
トレッド前/後:1,515/1,485mm
車両重量:1,420kg
最高出力:190ps/5,600rpm
最大トルク:25.0kgm/3,000rpm
種類:V型6気筒SOHC
総排気量:2,958cc
過給機:なし
燃料供給装置:モトロニック電子噴射
燃料タンク容量:70リットル
使用燃料:無鉛レギュラーガソリン
ステアリング形式:パワーアシスト付きラック&ピニオン
サスペンション形式(前):マクファーソン・ストラット
サスペンション形式(後):マクファーソン・ストラット
ブレーキ形式(前):ベンチレーテッドディスク
ブレーキ形式(後):ディスク
タイヤサイズ(前):205/55VR15
タイヤサイズ(後):205/55VR15



ハイパワーモデル クアドリフォリオ(QV)

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%AD%E3%83%A1%E3%82%AA%E3%83%BB164
1990年に台数限定で発売されたチューニングバージョンです。“四葉のクローバー”の名前は、ジュリア以来アルファロメオの高性能モデルに付けられている名称です。エンジンはチューニングを施され、ノーマル比15PS増の200PSになりました。
外観上の違いは、エアロパーツとスピードライン製の15インチ専用ホイールで、サイドミラーもボディ同色に塗装されています。内装にはレカロ製のレザーシートが装備され、メーターナセルに赤いステッチが付くなど専用装備があります。

4輪駆動のQ4

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%AD%E3%83%A1%E3%82%AA%E3%83%BB164
FFとしてデビューしたアルファ164ですが、1993年に四輪駆動化されたQ4が登場しました。これはシュタイヤープフ社と共同開発したビスコマティックと呼ばれるフルタイム4WDシステムと、ゲトラグ社製の6速M/Tを搭載しています。232PSを発揮する24Vエンジンと4WDシステムを搭載していて、ドライブシャフトを収めるためにトランクが狭くなり、そのために専用デザインのマフラーが与えられました。シートはQVと同様レカロ社製のレザーシートが付き、ホイールは専用のスピードライン社製の16インチを装着しています。

レース用車輌 プロカー4

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%AD%E3%83%A1%E3%82%AA%E3%83%BB164
1988年よりFISAが予定していたプロカー選手権用の競技車両として、アバルトとMRD(Motor Racing Developments Ltd)が製作しました。通称としてはアルファロメオとしての“164 Procar4”、MRD開発コード“BT57”、アバルト開発コード“SE046”の3つの名前があります。 車高の低い164のように見えますが、3.5リットルV型10気筒エンジンを縦置きミッドシップ、シャシは1975年ブラバム・BT45譲りのノーメックスアルミハニカムコアのカーボンパネルで構成されています。さらにカウルはセンターモノコックより前後3分割できる文字通りのレースカーです。最高速度340km/h、0-400mは僅か9.7秒、0-1,000mは17.5秒という記録を叩き出しました。数日後の1988年9月9日、イタリアGPの開催されるモンツァ・サーキットでデモランデビューしましたが、選手権が実施されることはありませんでした。

最後にまとめ

今では3リットル級の車でもFFレイアウトが多いですが、当時は3リットル超え、しかもV6エンジンを横置きFFレイアウトにした例はあまりありませんでしたので、ミドルサルーンのFF化を牽引する車だったのではないでしょうか。今見ても古さを感じないあたりは、さすがピニンファリーナと言いたいですね。