【トヨタスプリンター】家族の足に俊足を与えたスポーティー車

昭和の時代、男の子が父親に教わる自走車の描き方と言えば、適当に配置した二つの円の上に長細い長方形を乗せ、そらにその上部中央には台形をくっつけ、窓と2枚の扉を書き足すというものでした。これはまさにカローラのイメージそのものです。そんな絵を描いていた子も青年へ成長すれば、車は巨大な家財道具ではなくて個人の所有物だ、と考えるようになったはず。そこで彼らの前に登場したのが、トヨタ スプリンターでした。

カローラ スプリンターとして誕生の初代

ファッションの世界だと、例えば女性の間で短い丈のスカートが大流行した後、その反動なのかアンチテーゼが生まれて、(男性としてはやや残念ですが)やたらと長めのものがもてはやされる時期が訪れるとか、そんな現象が見られると思います。
しかし、こと自動車について言うなら、歴史上の変遷を後から見返してみても、一部の特例を除いて、さほどドラスティックな変化が見つかることはありません。日進月歩とは言え、その内部の仕組みや原理が、昨日と今日で逆転するなど不可能なことですし、外観デザインにしてみても、あまり大きく変更すると既存のファンを失う恐れの方が強くて、やっぱり凄い冒険はできないなぁ、と言う訳なのでしょう。かくして、時代の要求にあまり逆らわないよう気を付けながら、ある種、地味なモディフィケーションを積み重ねて成長してゆくのが、自動車という工業製品ということになります。
さて、1968年当時、すでにトヨタ自動車が持っていた、カローラという人気商品を、ひょっとしたら流行や需要を先読みするようにモディファイして生まれた、当時のスポーティーバージョンが、カローラ スプリンターです。カローラが日本の社会に構築していたモータリゼーションの文化に、ファッション性という豊かさを加えるため生まれ、その後長らく、二人三脚でトヨタの屋台骨を支えることになるブランドの誕生でした。

車体は低く流麗かつ豪華

1968年に発売された新車、カローラ スプリンター。カタログでは、ほんものだけの手応えを持つ情熱の車、とのコピーでアピールしてくるモデルでした。セダンより車高を35mm低くしたその車体には、当初、SL、デラックス、そして、標準仕様の3グレードが用意されています。そのエンジンは勿論、カローラで成功していた1,100ccOHVエンジンがそのまま継承され、最もスポーツ度合の高かったSLには、73ps/6,600rpmの出力に、9.0kgm/4,600rpmのトルクを発揮し、ほぼ1トンの車体を最高時速160kmまで引っ張るエンジンが搭載されて、100km/時での高速走行にも余裕を与えていました。標準仕様のエンジンは60ps/6,000rpmです。
サスペンションは、メンテナンス性を良くしたストラットタイプをフロントに、リアには、不愉快な振動を打ち消す吸振機能のあるリーフスプリングタイプが採用されました。ディスクブレーキは、SLグレードに標準装備、他のグレードには特別装置とし、標準仕様ではドラム式を使っています。
自動車の基本機能に、プラスアルファを求め生まれたスプリンターは、内装的にも充実していました。まず、その前席シートは、当時で言うところのフルリクライニング式、前後に120mmスライドが出来、背もたれは15段階に微調整か可能となっています。外観上、傾斜したリアのシェイプを持ちながら、後席に3人乗車の広さを確保したというボディデザインである、スイフトバックや、窓を閉め切っても換気可能だというフレッシュ・フローなどを含め、1人乗りのドライブフィールと、5人乗車時のレクリエーション機能も満たしてしまう、そんなコンセプトが感じられたのが、この初代スプリンターだと思います。

アメリカでの評価

当然の話ですが、高度経済成長期に入っていた日本からは、相当な量の工業製品がアメリカへ輸出されていた訳ですし、カローラ、そしてスプリンターも、その例に漏れません。そして、その当時からあちらでは、かなり緻密な批評眼を通して、自動車のインプレッションが行われていたようです。そんな頃の、ちょっと貴重な評論記事が、アメリカ版カー・アンド・ドライバーのアーカイブにあります。
それによりますと、まず気になるのが車体のサイズだそうです。競合他車と比べて全体に小さく、セダンから引き下げた全高は、特にヘッドルームに無視できない窮屈さを与えているとのこと。まぁ、アメリカ人の評価なので、こうなってしまうのは仕方のないことです。
しかし、このコンパクトさがあれば、半分の面積で駐車ができるし、ショッピングセンター内をそのまま移動したり、自分のレーンから絶対にはみださずに、一般道路でレースを競い合うこともできそうだ、なんて、ちょっと皮肉が込められた物言いも見られます。しかし、そういった遊び心が喚起されるのも、カローラから受け継いだ適度なアンダーステアのハンドリングがあってこそ、という良い評価もされています。
他にもいろいろ、例えば136km/時の高速走行なども試され、112km/時から4回連続の制動試験もあったようです。この時、加熱などによる性能低下はほぼ感じられなかったものの、72メートルを超える制動距離は、このクラスのエンジンパワーにしては不満だ、とか。
まぁ、こんな時代のインプレッションなんて、国内ではどこに行けば見つかるのかも分かりませんから、これが個人の感想だとしても、ちょっと面白い読み物だったと思います。 【基本情報】
名称:カローラ スプリンター
型式:KE15
エンジン排気量:1,077cc
エンジン出力:73ps / 6,600rpm
エンジントルク:9.0kgm / 4,600rpm
全長:3,845mm
全幅:1,485mm
全高:1345mm
重量:1,005kg
ホールベース:2,285mm
サスペンション:ストラット(前)/ リーフスプリング(後)



トヨタ スプリンターに独立した2代目

1970年になると、カローラ系列がフルモデルチェンジを受け、スプリンターは独立した車種へと生まれ変わります。そのボンネット中心には、フロントグリルへつながる曲線と一体化した、特徴的な膨らみのラインが縦に描かれ、初代に比べて全体のデザインも質感を向上しました。
グレードは、SLとデラックスの2本立てとなりましたが、エンジンは、排気量1,166ccで、出力77ps/6,600rpm、トルク9.6kgm/4,600rpmへとグレードアップ。さらに内装でも、短くモダンなデザインになったシフトレバー、木目調パネルに配置された3連メーター、前後160mmスライドと13段リクライニングを持つ大型化されたハイバック・シート、さらに加えて3点式シートベルトの標準化など、自動車として一気に充実したのが、このモデルチェンジでしょう。
1971年になると、1.4Lエンジンに5速マニュアルギアを組み合わせた、1400SRという高性能タイプが追加されたり、さらに1973年には、1.6Lにまで拡張され、1600SLというグレードが登場します。このエンジンの追加としては、もう一つ、1.6LでDOHC8バルブの2T-G型エンジンが、カローラ&スプリンター系のクーペに導入され、レビン、トレノというホットバージョンを生み出したのも、この世代(1972年)です。 【基本情報】
名称:スプリンター クーペ
型式:KE25
エンジン排気量:1,166cc
エンジン出力:77ps / 6,600rpm
エンジントルク:9.6kgm / 4,600rpm
全長:3,945mm
全幅:1,505mm
全高:1,345mm
重量:1,035kg
ホールベース:2,335mm
サスペンション:ストラット(前)/ リーフスプリング(後)

3代目スプリンター、セダンの追加とクーペの拡充

自動車について、その変遷と歴史を振り返る時に浮かび上がってくるのは、誕生、成長、熟成、消滅、そして復活という5つのキーワードだと思います。そして、3代目スプリンターが登場した1974年以降は、排気ガス規制なども厳しくなり、自動車産業全体に成熟度合が問われた季節だったでしょう。
とにかく、この代のトヨタ スプリンターは、カローラ セダンの車体をそのまま使う4ドアと、最上級ホットモデルのトレノとデザインを旧友する2ドアタイプへと、車種体系が分化したのが特徴でしす。本来、カローラにスポーティ感を加えるために生まれ、そこから、隣り合ってはいるものの別の道を歩みはじめたスプリンターに、再び、カローラに通じる保守的なボディが復活した、というのは、方向性のブレも感じなくないのですが、昔からこういう芸当が得意なのが、トヨタという会社なのかもしれません。先代よりホイールベースで35mm、トレッドで40mm大きくされた(車幅は+95mm、車高は逆にー35mm)のは、排気ガスや安全性に関係する規制をクリアするため、スペースが必要だったという理由もあるそうです。
外観的には、大きい長方形をしたフロントのセンターグリルが、どこか、偉い人のヒゲのような印象を与えるセダンタイプと対象的に、クーペには、格好良く未来的かつスポーティなヘッドライトと、流れるようなボディラインが用意されて、その意味では、本当のスプリンターは2ドアクーペの方だったと言うべきでしょう。1975年になると、そのクーペのリアを大きなハッチに変更した、スプリンター リフトバックも登場してきます。また、1977年にはセダン系のフロントデザインに2ドア仕様とした、ハードトップが誕生しました。
トレノの1.6リッター・ツインカムエンジンはそのまま継承され、他には、同じ排気量のOHVバージョン(100ps/6,000rpm)を搭載した、1600SR、GS、XLというタイプと、OHVで1.4リッター・エンジンを搭載した、1400ST、XL、DXのグレードが用意されていました。ちなみに、このモデルの期間中、DOHCツインキャブのトレノは一度製造が停止され、電子制御燃料噴射を2T-Gエンジンに再装備してから復活を遂げています。
「世界中のクーペに問いかけ、生み出した」というモダンなデザインを誇示した、このスプリンター クーペですが、リアのサスペンションには非対称半楕円リーフスプリング式を、そのブレーキにはリーディングトレーリングを継承という、まだ古風な部分もありました。 【基本情報】
名称:スプリンター セダン
型式:TE41
エンジン排気量:1,588cc
エンジン出力:100ps / 6,000rpm
エンジントルク:13.9kgm / 4,200rpm
全長:3,995mm
全幅:1,570mm
全高:1,350mm
重量:920kg
ホールベース:2,370mm
サスペンション:ストラット(前)/ リーフスプリング(後)



4代目、実質最後のFRスプリンター

1979年に、4ドアセダン、2ドアハードトップ、クーペ、リフトバックの4タイプをそろえて登場したのが、4代目のトヨタ スプリンターで、外観上、一番大きな特徴はクーペ系に与えられた、ドライでシャープなデザインでしょう。もし、原子力エンジンに換装したらタイプトリップさえできそう、見方によればそんなことも言いたくなるボディシェイプでした。しかし、もっと本質的に進化したのは、実はリア・サスペンションです。それには、この代からラテラルロッド付4リンク/コイルが採用され、さらに乗り心地と走行安定性を高めています。
そして、もう一つの大きな変化はエンジンで、それまでホットモデルだけに限定されていた2T-Gが、全てのボディタイプでチョイスできるようになり、それらにはGTのグレード名称が与えられました。また、1.8リッターのガソリン&ディーゼルが追加されたり、このモデル期間の後半では、全エンジンを新型のレーザーエンジンへと交換するという、大改良も行われています。
この代では、セダンのデザインにもかなり変更が加えられ、どちらかというと、やぼったいとも言えた3代目に比べて、再びすっきりとした外観を取り戻したのも特徴です。また、次期スプリンターが登場する直前に、RV車のスプリンターカリブ、という派生車種も生み出されていますが、これはターセルをベースとしていました。 【基本情報】
名称:スプリンター クーペ
型式:TE71
エンジン排気量:1,588cc
エンジン出力:115ps / 6,000rpm
エンジントルク:15.0kgm / 4,800rpm
全長:4,255mm
全幅:1,625mm
全高:1,325mm
重量:1,250kg
ホールベース:2,400mm
サスペンション:ストラット(前)/ ラテラルロッド付4リンク/コイル(後)

5代目、FF化の波

そして、カローラ&スプリンターにも、とうとうこの日がやってきました。1983年5月、トヨタは、時代の趨勢に合わせるように、このカテゴリー車両のFF化を開始したのです。同時に、スプリンターに託されていたスペシャルティ色の見直しも図られたようで、4代目に生まれたハードトップ系を廃止しつつ、リフトバックはセダンベースの5ドアに生まれ変わり、より実用性を押し出すように変わっています。このFF系では、シャーシも大幅な設計の見直しが行われ、サスペンションは前後ともストラット式独立懸架へ進化しています。
エンジンとしては、1.3リッター、1.5リッター、EFI付1.6リッター、そして1.8リッター・ディーゼルのラインアップでスタートし、1.3のエンジンは、後に12バルブ化されました。
【基本情報】
名称:スプリンター セダン
型式:AE81
エンジン排気量:1,452cc
エンジン出力:83ps / 5,600rpm
全長:4,155mm
全幅:1,635mm
全高:1,380mm
ホールベース:2,430mm
サスペンション:ストラット(前後)

トレノ クーペ、86伝説の誕生

本来は、多様化した自動車ユーザーの需要を満たすため、大衆車クラスの中で、スポーティ&スペシャルティの演出を施し生まれたのが、トヨタ スプリンター系列の車だった訳で、したがって、スプリンターを代表するボディは、やはりクーペだったはずです。しかし、この時代になってくると、エンジンが、1.3リッターから始まる車格では、お洒落とゆとりを表現するのが難しくなってきたのも事実かもしれません。
基本路線のFF化とともにクーペ路線は本流から切り離され、その代わりにFRを存続、1.6リッターDOHC16バルブのレーザーエンジンを搭載した小型スポーツカーになりました。そう、伝説のAE86、がこの時期のスプリンター トレノであり、現在の、86&BRZにつながる原点がここだったのですね。この、86トレノには個性的で格好の良い、フルリトラクタブル式ヘッドライトが与えられ、ファンの心を惹きつけました。

スプリンターにも効率と実用の時代

人々に個人としての幸福感や満足感を提供しようと生まれたのが、トヨタ スプリンターという自動車ですが、日本の社会が成熟・拡大してくると、車に対する価値観も変化してきて、それ以上に、エネルギーなどの浪費は許されい時代へ入ってきます。それは、FFの普及という形をとって、各メーカーによる自動車作りに大幅な変革を要求しました。20世紀も終盤にかかる時代は、その意味で言うとすれば、自動車史上でも数少ない大きな変化が見られた時期だったかもしれません。
もちろん、日本メーカーの筆頭であるトヨタ自動車も、1980年代後半にかけて製品コンセプトの改革を行い、それを大いに惜しむ声を耳にしながらも、スプリンターをもっと作りやすく売りやすい、普通の自動車へと変えてゆきます。

6代目、大きなアイコンにも大変革

1987年5月になると、トヨタ スプリンターは、再びカローラと同時のフルモデルチェンジを受けます。この時の最大の事件は、長らくカーマニアから絶大な支持を受けてきた、FR系のクーペ、トレノが、他のタイプとプラットフォームを共用した、いわば普通のFFスポーティ乗用車に生まれ変わらされた、ということでしょう。
とは言え、新時代の技術による効率化は、このクラスのトヨタ車にあらたなステップを用意してもいます。それが、DOHCエンジンの大幅な導入です。このモデルでは、1.5リッターと1.6リッターエンジンの全てをツインカム16バルブとしました。他には、1.3リッターのガソリン、1.8リッターのディーゼルも選択できました。また、クーペのトレノには、機械式過給機を備えた1.6リッターDOHC16バルブ、という強力なバージョンも用意されました。
古くから、そのスタイリングによって、スプリンターの人気を支えてきたリフトバック仕様は、先代ですでに5ドア化されていましたが、この段になってとうとうその名称も消滅し、新たに、スプリンター シエロと命名されます。また、完全なFF化の埋め合わせと言うべきか、1987年の10月になると、フルタイム4WDを導入した4ドアセダンが市場に投入されています。この4WDで言うと、約6年前から生産し続けていた、スプリンター カリブも、この代で新設計となり基本機構をスプリンターと共用する車に進化、発売当初は切替式のパートタイム4WDであった駆動方式も、後に、セダンからフルタイム方式を移植されています。
この時代のサスペンションは、ストラット式の4輪独立懸架を継承していましたが、トレノの最上級グレードであるGTアペックスには、TEMSと名付けられた電子制御サスペンションが登場しています。 【基本情報】
名称:スプリンター セダン
型式:AE92
エンジン排気量:1,587cc
エンジン出力:120ps / 6,600rpm
エンジントルク:14.5kgm / 5,200rpm
全長:4,215mm
全幅:1,655mm
全高:1,360mm
重量:1.295kg
ホールベース:2,430mm
サスペンション:ストラット(前後)

7代目、乗っても恥ずかしくない一台へ

時代が1990年代に入ると、日本の世の中には一通りの商品が充実、というより、溢れかえるようになりましたから、おそらく自動車への志向も変わり、ある程度の高級感を演出しなければ売れなくなってきたと思われます。1991年6月に登場した7代目トヨタ スプリンターは、3〜4代目の頃に同じブランドが追い求めていた、あのスタイリング性とは、ある種かけ離れたコンセプトの自動車になりました。
この代では、カローラと共にセダン系の市場性開拓に大きな力がそそがれました。4ドアのそのルックスは、基本的には保守的なものでしたが、外装・内装の仕上げは、大衆車に対する既成概念を変えてしまう程だったと思います。それは、より上級のマークIIやクラウンなどへ、このクラスのユーザーを誘導するという、トヨタの商業戦略だったのかもしれません。デザインの作りこみは保守性を増したとはいえ、この時代になるとエンジン技術は相当進歩して、7代目スプリンター セダンには、ハイメカツインカムと呼ばれた1.5リッターDOHCだけでなく、1.6リッターDOHCで20バルブの、スポーツツインカムというものまで搭載されています。
また、ある意味で流行に対する感度が高かったのが、この頃の自動車産業界だったでしょう。スタイリング的な話でいうと、セダンより70mm低い1,315mmの車高に設定された、4ドアハードトップのスプリンターマリノというモデルが、後にラインアップへと追加されています。ハードトップとは言ってもルーフを支えるピラーはちゃんと存在していて、それをサッシレスのドアガラスが覆い隠すことで、4枚扉とは思えないような綺麗さを生み出すという試みです。パワーソースを、トレノと共通にし、6速MTまで用意されていたマリノは、この時代ならではの一台でもあり、最近の国産車ではあまり見かけないタイプの一台だと思います。
クーペのトレノは、86時代からの財産であった、あのリトラクタブル・ヘッドライトを廃止したかわりに、エンジンには機械式過給の1.6リッターDODCを、フロントサスペンションには、ロール時のキャンバー角変化を相殺する機能をもつ、スーパーストラットサスペンションが投入されて、スポーツ性を増していました。
一方で、3ドアの時代から長い歴史を守っていたリフトバック車、シエロが、この時のフルモデルチェンジで消滅してもいます。 【基本情報】
名称:スプリンター セダンGT
型式:AE101
エンジン排気量:1,587cc
エンジン出力:160ps / 7,400rpm
エンジントルク:16.5kgm / 5,200rpm
全長:4,290mm
全幅:1,685mm
全高:1,370mm
重量:1,355kg
ホールベース:2,465mm
サスペンション:ストラット(前後)

集大成の8代目スプリンター

1968年から2002年まで、という長い期間、生産され続けてきたトヨタ スプリンターですが、1995年に登場したこの8代目が最後のモデルとなりました。そして、キャリアを終えるこの時期になると、大昔のチャレンジングなスプリンター像とは、まったく違う車に進化しています。そのラインアップの全体を見渡しても、セダン系が主力の車種になっていたのが判ります。また、同年の8月になると、RVタイプのスプリンター カリブにも新型が登場します。
よりおとなしくしていることを求められた、そんなイメージのあるこの世代では、ボディーサイズなどへ大きな改良を行うより、手持ちの技術や部品を活用しつつ、最大で50kgという軽量化を果たすという、効率化に力がそそがれました。エンジンでは可変バルブタイミングの技術が1.6リッター20バルブのDOHCに導入され、加給なしで165PSを発揮するという、より現代的な環境性能を満たすものになっています。
トヨタ スプリンターは、長い時間の中で、多くの人を楽しませ、その足となってきました。その進化と成熟、変貌の歴史は2002年、その全車種生産終了をもって幕を下ろします。 【基本情報】
名称:スプリンター セダン
型式:AE111
エンジン排気量:1587cc
エンジン出力:115ps / 6,000rpm
エンジントルク:15.0kgm / 4,800rpm
全長:4,310mm
全幅:1,690mm
全高:1,385mm
重量:1,010kg
ホールベース:2,465mm
サスペンション:ストラット(前後)

まとめ

今どきの、エスクァイアとかプリウス、あるいは86、などに載っておられる方々は、こんなことを書くと、ご気分を害されるかもしれませんが、ちょと前の時代まで、トヨタの商売は60点主義とか言われていたんです。その製品を購入したとても、デザインや機能の面で大して挑戦もしていなく、従って人目に付きにくく可もなく不可もない、長所がないのが最大の長所だと解釈されていたんですね。
トヨタ スプリンターの歴史を見ると、それは変わり身・生まれ変わり、の歴史だと思えてきます。誰もが所有できるスペシャルティカーとして誕生したはずのブランドは、とても要領良くいつの間にか、トヨタオート店で売るためのカローラセダンに変身しているんです。一時期は、複数のフラットフォームを使って複数のマーケットをカバーしたりしていて、大きく広げた風呂敷は節操がなく見えたと言えばそうですが、やはり、生産者・販売者としての、その時のトヨタの器用さというのは、見て取れる部分でもあります。
あの、スプリンター クーペのように、適度なサイズのFRスペシャルは、もう21世紀の現代には生まれることはないのでしょうか? 私としては、ショーモデルのS-FRに期待しているんですけど、ね。

トヨタ企業サイト|トヨタ自動車75年史|車両系統図
車種名称からスプリンターを選択すると、歴代モデルのルックスとスペックを調べることができます。