バイクにこそETCって話、です。

カードを挿して専用ゲートをくぐれば料金の支払いができるETC。停車して料金を支払うのが面倒なバイクにこそ取り付けたいアイテムです。ところがなんだかいまひとつ装着率が高くないとのこと。なんで?そこのところが気になってしまいましたので、あれやこれやと探ってみようと思います。

バイクにこそ、だと思うのですが

もちろん車に付けても便利なんです。私の車にも付けてます。もはやETC無しのカーライフは考えられません。私はバイクにも付けています。正直言うと、バイクで高速道路にはあまり乗らないんです。でも、料金所で停まって、グローブ外して、財布を取り出して、お代を払って、おつりをしまって・・・。を考えると、頻度は低くても必須だと思うのです。



全車平均を10%も下回るという現実

2015年5月、国土交通省高速道路課がバイクETCサービス開始以来初めてとなる「バイクETCの利用状況サンプル調査」を実施しました。高速道路を利用するすべての二輪車を対象に、車載器を搭載しETCサービスを利用している車両の割合(利用率)を調査。その結果、全車平均を10%ほど下回ることが判明したそうです。

なぜバイクにETCは普及しないのか

なぜバイクのETCはこんなに普及しないのでしょうか。考えられる要因をみてみましょう。

コストパフォーマンスが低い?

どんな商品でもそうですが、価格と内容のバランスが悪ければ売れません。もしかしたらバイク用のETCは、“コスパがいまいち“なのでしょうか。車載器の定価は20,000円台~40,000円台です。4輪用と比べて高額なのは間違いないですね。さらに実売価格はと言うと、少なからず割り引きの上販売されている4輪用に対して、ほぼ定価で販売されています。コスパはかなり低そうです。

タフさが求められる

車の場合、室内のどこか、概ねドライバーの手の届くところに取り付けます。室内ですから、その環境はきわめて良好です。ところがバイクは基本的に室外です。雨が降ればベタベタになりますし、風が吹けば砂ぼこりにもさらされます。製品には、防水、防塵の性能を求められます。さらに、耐震性能も必要になります。おのずと生産コストは高騰しますよね。定価が4輪用よりも高いのはこのあたりが要因なのでしょう。

市場が狭い?

平成25年2月時点のデータによれば、車全体の登録台数は8,000万台を超えています。ですが、そのうち二輪車(原付を除きます)は、わずか357万台しかありません。割合にすると4.5%という状況です。これでは市場が賑わいませんよね。同じETC車載器を作るなら、よりたくさん売れる4輪用を作りたくなるのは当然です。数を見込めない2輪用をわざわざ生産するメリットがありません。

大きさに問題有り?

カードを挿入して使う以上、カードサイズよりも小さくはできません。4輪用には、カードが飛び出すことが前提の、カードよりも小さい商品がありますが、上述したとおり全天候対応が必須の2輪用では無理な話です。車にとってETC車載器はさほど大きなパーツではなく、取り付け位置に困るようなことはありませんが、バイクにとってあのサイズは切実な問題です。取り付け場所に苦心させられます。

つまり・・・

全天候に対応するためタフさを求められるので、生産コストアップ。その割には需要が少なく価格競争にいたらないので、いっこうに価格は下がらない。いざ取り付けようにも大きくてしまう場所に困る。と、悪い要素の3拍子じゃないですか!これでは装着率はあがらないですよね。いや、あがるはずがありません。



対策はあるのか

では、なにがどうなれば変化がおきるのでしょうか。考えてみましょう。

助成金制度

国土交通省高速道路課では、バイクETCの利用率アップを目指した施策を検討しているそうです。8月19日のバイクの日には、日本自動車工業会二輪車特別委員会に所属する国内4メーカーの二輪車部門の責任者がそろって会見。駐車場整備や免許制度改革と共に、車載器の購入助成を求めていた。また、自民党オートバイ議員連盟(逢沢一郎会長)をはじめとした各党の議連でも、同様の要望が掲げられています。二輪車関係団体と関係自治体や経済産業省では、2020年に国内市場100万台の目標を掲げ、国内二輪車市場の活性化に取り組むとのこと。そのためには二輪車を巡る環境改善が必要だと訴えています。

本当にそうか?

政府のすることにチャチャをいれるつもりはありませんが、本当にそうでしょうか。過去にも助成金が用意された時期がありました。ETC車載器の購入者には、5,250円を負担してくれるというものでした。4輪用の場合、この金額は車載器代金のほぼ満額にあたります。ユーザーは取り付け工賃とセットアップ料金を負担するだけです。でも2輪用の場合は少々勝手がちがいますよね。負担してくれるのはありがたいのですが、同じ金額ではユーザーには2万円以上の負担が残ります。前回の助成金制度実施時には、予算を使い切って完売状態になりました。はたして柳の下に2匹目のどじょうがいれば良いのですが・・・。

根本的に見直す必要があるのでは?

金額だけでライダーたちは動くのでしょうか。どんな製品の市場にもいえることですが、初期需要は必ずあります。つまり、価格や出来映えに関わらず購入する人がいます。始まったばかりの制度をすでに利用しているという優越感や、数量が限られているものを所有しているという独占欲を満たすためでしょう。もし前回の助成金制度でこのような人たちの欲求を満たしてしまっていたら、2度目の成功は難しいでしょう。さらなる予算を投じて、“半額助成”や“7割助成”などの必要がありそうです。いや、持ち出しをしてまで取り付けたいという市場がなければ、いくら助成しても成功はないでしょう。

なにができるのか

今こそ価格以外の障害も見直すべきではないでしょうか。需要の伸び悩み→生産量は上がらず→コスパが上がらず→販売低迷→最初に戻る、という悪いスパイラルから脱出しなければ、次のステージはないように思えます。

“タフさ”は必要

バイクに取り付けて使用する以上、全天候対応は外せませんね。これは必須です。

サイズを見直してみる

私感ですが、あの大きさが一番のネックではないかと思います。あれだけのサイズのものをハンドルまわりに付けたくありません。かといってシートの下にそんなスペースはなし。仮にしまえたとしても、アンテナ別体となりさらにコストアップしてしまいます。もっと小さくてどこにでも取り付けられるサイズのものが必要だと思います。

小型化は可能?

先に書いた通り、カードを差し込んでつかう以上、カードサイズよりも小さくする事はできません。カードサイズを全天候対応にすると、おのずとあの大きさになります。いや、むしろコンパクトにできているとさえ思えます。

コロンブスの卵は立つのか

“カードを差し込んで使う以上、現在の大きさが限界“なのであれば、カードを差し込まなければ良いのではないでしょうか。「何を言ってるの?」と言われてしまいそうですが、机上の空論では可能だと思っています。携帯電話やスマートフォンに搭載されている“フェリカ”機能。これって代金を支払う機能ですよね。ETC車載器本体にフェリカ機能を搭載すれば、ETCカードを差し込む必要が無くなるはずです。今の技術でしたら、そうとう小さく作れる気がします。たとえば小さなマッチ箱(最近見ませんね)サイズ程度でしたらどうでしょう。メーターまわりのどこにでも取り付け出来そうじゃないですか。接続するのは電源ケーブルのみ。自宅のPCにつないでカード情報を書き込み・書き換えできれば何も問題はありません。あ、問題がありました。バイクを友だちに貸したりした場合、利用料金が持ち主に請求されてしまいますね。この方法だと“バイクの共有”ができませんね。

カードを小型化

フェリカの採用には問題がありました。では、せめてカードサイズを小さくできないでしょうか。たとえばSIMカード。携帯電話やスマートフォンに入っているあれです。実際、あの中に利用者の個人情報と支払いに関する情報も書いてあるハズですから、ETCにも転用できると思います。これなら個人情報を書き込み・書き換えする必要がありませんし、車輌を乗り換える際もカードを差し替えることが出来ますね。つまり“バイクの共用”が可能になりました。ちょっと現実味を帯びてきましたよ。

ライダーに装着すれば

先ほど、フェリカ機能をバイクに載せてしまうと、バイクの共有が出来ないことに気がつきました。ならばライダー本人に載せればいいですよね。ETCゲートとのやりとりを考えると、ヘルメットが良いのではないかと思います。ヘルメットの頭頂部にアンテナと本体機能、フェリカを仕込んでしまえば、バイクを乗り換えても問題ありません。ヘルメットメーカーさん、ぜひご一考いただきたいと思います。あ、ヘルメットだと電源の問題がありますね。充電可能なバッテリーも入れなくては。

理想は標準装備ですけど

今更な話ですけど、ホントは初めからバイクに装備してほしいと思っています。なぜなら、その方がだんぜんかっこいいから。たとえばアンテナ別体の車載器にしても、小さいとはいえ“アンテナです”っていう部品を見えるところに取り付ける必要があります。一体型に至っては“俺、ここにいるよ”っていうくらい主張してきます。これがはじめから装着できれば、見えないところにしまうことができるはずです。カウルを装着している車輌でしたら、どこにでも隠せますよね。表から見えるのはカードスロットのみ。作動状況を確認するためのインジケーターはメーターの中でOKです。ネイキッドバイクでも基本的には同じことで、メーター本体の背中にアンテナや車載器機能を入れてしまえば、後付けの部品は一切不要です。メーターパネルのどこかにカードスロットとインジケーターがあれば問題なしです。新車価格が2万円程度あがることになりますが、“ETC標準装備“でしたら受け入れられると思います。バイクメーカーさん、よろしくお願いします。

ひろがる未来

出典: https://www.go-etc.jp/etc2/etc2/service.html
なぜこんなにETCについて熱く語るのかと言いますと、ETCには無限の可能性が秘められているからなんです。そもそもETCは、代金授受のためだけにつくられたわけではないんです。ITS(Intelligent Transport Systems)ってご存知ですか?日本語にすると、高度道路交通システムとなります。走行中の車輌情報を集約して、効率よく円滑に交通網が利用できるように活用することです。たとえば、同じポイントに複数の車が停滞しているという信号を受け取れば、そこで渋滞が発生しているというサインですよね。近くを走る車にピンポイントの渋滞情報を配信することができますし、すいている迂回路の情報まで提供することが可能です。だれかのワイパーの作動状況を受け取って、局所的な雨情報を配信することもできます。自家用車ばかりではありません。乗り合いバスの位置情報をバス停のモニターやスマートフォンで確認できれば、どこでどのバスに乗るべきか、どれくらい待ち時間があるのかを把握できます。また、エアバッグの作動や衝突信号を受け取ったら、レスキューを向かわせることだってできます。これがITS構想です。これは日本だけでなく、世界中で統一規格として考えられていることなのです。

ETCも進化します

出典: https://www.go-etc.jp/etc2/etc2/service.html
最近、にわかに聞こえてくる“ETC2.0”。ETCの第二世代と言っても良いでしょう。新しいETC2.0システムでは、道路側のアンテナであるITSスポットとの高速・大容量、双方向通信により、世界初の路車協調システムによる運転支援サービスを受けることができるようになります。特定の時間や場所に車輌が集中するのを減らしたり、事故を未然に防いだり、道路の劣化を緩和することも可能になります。その結果、限られた道路ネットワークでも、より効率的に長期的に使える「賢い使い方」ができるようになるのです。たとえば、今走っている道路の合流地点情報や出口情報など、タイムリーに知ることができたら便利ですよね。路上の落下物や合流地点、先の見えない急カーブなどを事前に図形と音声で案内できればドライブ中のヒヤリをなくすことが可能です。災害発生と同時に、災害発生状況と併せて支援情報も提供できるようになります。現在のETCレーンにはゲートバーが設置されていますし、時速20km以下という制限もかかっていますが、シームレスな料金体系の導入時期に合わせ 新設計料金所の設置も計画されています。一定速度で通過できる新設計料金所を設置する計画です。ETCの活用シーンは、高速道路から街中へと広がります。 有料道路の料金支払いだけではなく、街中での駐車場料金支払いや車両の入庫の管理など、ETCの多目的利用が推進されています。さらに安全で便利な車社会が到来します。