クーラントってご存知ですか?エンジンの冷却水のことです。

ロング・ライフ・クーラント(LLC)と呼ばれるようになって久しいですので、LLCと言った方がピンとくるかもしれませんね。冷却水っていうくらいだから水なんでしょ? っていう声もあるのですが、実はちょっと違います。“冷やす”仕事だけでしたら水で良いのですが、クーラントには他にもいろいろな役割があるのです。

冷却水って何でしょう?

“そりゃ、エンジンを冷やすための水でしょ?”ってなりますよね。その通りです。名前の通り、エンジンを冷やすための水なんです。
では、なぜエンジンを冷やさなければいけないのでようか。
また、どうやって冷やしているのでしょうか。
実はそこまで考えたことがないという方がほとんどだと思いますので、冷却水の必要性や実際の冷却方法などを理解しながら、クーラントがどうあるべきかを考えてみたいと思います。

冷却水の必要性

“エンジンを冷やさなければいけない”というのは、なんとなくイメージ出来ますよね。でも、“なぜ?”って聞かれると困っちゃいます。もっと言うと、水で冷やす必要があるの?ってなりますよね。だって、空冷のエンジンも存在するのですから。
エンジンを冷やす理由と、水を使う理由。まずはそのあたりを探ってみましょう。



エンジンってどれくらい熱いの?

エンジンが稼働すると熱を発します。内部で混合気を爆発させていますから当然のことです。この爆発時の燃焼温度は、エコエンジンや希薄燃焼など色々なタイプのエンジンがありますのでひとくくりには出来ないのですが、一般的なガソリンエンジンで2,300℃程度といわれています。ディーゼルエンジンはもっと高く、2,800℃程度とも言われています。エンジンは、とてつもない熱に晒されているんですね。

自己冷却の効果

燃焼温度は2,000℃を超えますが、爆発・膨張の過程でエネルギー消費しますので、燃焼後の温度は1,200~1,300℃程度に下がります。“下がります”って言う温度ではないですね。十分高温です。
この燃焼ガスを排出しますから、排気バルブ~排気ポートは結構な熱に晒されることになります。
排気が終わるとシリンダ内にはすぐに新しい混合気が入ってきますが、実はこの新しい空気がシリンダの中の熱を奪ってくれますので、この段階で250℃くらいまで冷えるのです。

強制冷却の方法

“ずいぶん冷えたなぁ”って思ってしまいますが、それでも調理が終わった直後のフライパンの底くらいの温度です。

空冷方式

ここまで冷えてくれれば、空冷でも大丈夫です。
エンジンのまわりにたくさんのフィンを設けることで表面積を増やして、風を切ることで冷却するのが空冷です。オートバイのエンジンには、いまだにたくさん使われている冷却方法ですね。車と違ってエンジンにしっかり風が当たりますので、十分(時には過剰に)冷えます。
車でも、一昔前までは空冷エンジンがありました。そのほとんどが、大きなファンを回して強制的にエンジンに風を当てて冷却するタイプです。

空冷のデメリット

ではなぜ水冷方式が主流になったのでしょう?
実は、そこにはたくさんの要因がありました。
1.冷却のムラ。空冷エンジンの場合は、走行速度によって冷却効率が変動してしまいます。ファンで強制的に風を送るタイプでも、走行風も加わりますのでムラができます。
一見すると、アイドリング時に比べて走行時の方が熱量が多いので、理にかなっているように思うのですが、夏場の渋滞時などは排熱仕切れなくなってしまいますし、高速巡航中などは冷えすぎてしまいます。
2.部位によるムラも深刻な問題です。
たとえば、直列4気筒エンジンの場合、両端のシリンダに比べて中央のシリンダは冷えにくくなります。便宜上、端から1~4と番号を付けるなら、2番と3番は両隣りがいますが、1番と4番は片方が空いています。これでは冷却効率がまったく違ってきてしまいます。
3.燃焼温度と排気ガスの関係
一般的に燃焼温度が高いほど窒素酸化物と呼ばれる有害物質が多くなります。少しでも燃焼温度が低く、安定している方が排気ガスの浄化コントロールがしやすくなります。
4.カーエアコンの普及
これは意外な話かもしれませんね。“エンジンの冷却とどんな関係があるの?”と言われそうですが、直接は関係ないんです。でも、大いに関係があるのです。
エアコンが冷える原理も話さなくてはなりませんが、ここではちょっと大変なので割愛します。ただ、エアコンにも冷却が必要なのです。水冷エンジンのラジエターに相当するほど大きなものに風を当てて、さらに強制的にファンを使ってまで冷やさないといけないんです。
だったら…となりますよね。



水冷方式による冷却

いろいろと、水冷の方が都合がよさそうですね。

水を使って冷やす

ひとくちに“水冷”って呼んでいますが、いったいどうやって冷やしているのでしょうか。さきほど、調理終わりのフライパンと書きましたが、その温度では水をかけてもあっという間に蒸発してしまいます。しばらくジャブジャブと掛け続ければ、そのうち冷えてきますけど…。
そもそも、エンジンに向かって水をかけているわけではありません。走行中の車は水を垂れ流していませんし、なによりもそれでは補充が追いつきませんよね。大きなトレーで回収できれば良いですが、現実的ではありません。

包み込んで奪い取る

エンジンの冷却は、“水でくるんで奪い取る”という方法なんです。
お菓子作りがお好きな方は思い出してください。生クリームをホイップするとき、ボウルを氷水につけて泡立てますよね。熱で垂れてしまわないようにという理由だと思いますが、まったく同じ事です。熱が出たときの水まくらも同じですね。
エンジンのシリンダのまわりに“ウォータージャケット”と呼ばれる水の通り道があって、そこに冷却水を満たすことでエンジン内部で発生する熱を奪い取っているんです。
ただ、エンジンの場合は水が受け取る熱量が多いので、その水をさらに冷やしてあげないと追いつかなくなってしまいます。温まった冷却水は、ウォータージャケットからラジエターへ運ばれ、風で冷やされます。走行風も使いますが、高速で回転する大きなファンによって強制的に冷やします。冷やされた冷却水はエンジンへ戻り、またエンジンの熱を奪い取ります。

実は冷やすだけじゃないんです

ここまでエンジンを冷却すること以外には触れませんでしたが、実はエンジンは冷やせばいいってもんでもないんです。ちょっとややこしい話になってしまいましたが、なんでも冷えすぎは良くないですよね。“ちょうど良い”ことが大切なのです。
実はエンジン、熱くなりすぎても調子が出ないのですが、冷えていても調子が悪いんです。なんだか人の身体のような話ですが、ウォーミングアップが終わるまでは本調子ではないんです。
そのため、エンジンが速く温まるように工夫されています。
“サーモスタット”って聞いたことがありますか? ウォータージャケットからラジエターへ行く水路に付いている部品です。何をしているかというと、“そろそろ冷却水を冷やした方がいいぞ”っていう温度になるまで水路を塞いでいるんですね。このおかげでエンジンはスムーズに温まり、熱くなりすぎる前に冷却水に冷やしてもらえるというわけです。

水冷による副産物

実はこの構造を利用して、車内を快適にしている機構があります。それは、“ヒーター”です。エンジンに暖められた冷却水を室内に引き込み、その熱を使って車内を暖めているのです。これからの季節は必需品ですよね。もちろん、1番はやく温まる部分の冷却水が車内を回るように設計されていますので、そんなに長く待たなくてもヒーターが効くようになっています。
“ヒーターの効きがいまひとつだなぁ”って感じたら、サーモスタッドの作動を確認して見てください。寿命を迎えて“開きっぱなし”になっている可能性“大”ですので。もちろん、閉じっぱなしになるとエンジンが冷却できなくなってしまいますので、こちらも大問題です。

ちなみに空冷の車のヒーターは、マフラーのエンジン側の付け根、つまり排気ガスのエンジン出口部分の熱を集めて車内に送っています。冷却水を使うよりも熱効率が悪いですし、排気漏れやオイル漏れなどが起きていると車内に異臭が充満してしまうというトラブルも考えられます。

冷却水に求められるモノ

エンジンを冷却する上で、冷却水がどのように働いているかをご理解いただけたでしょうか。これからは、そのために冷却水がどうあるべきかを考えてみましょう。

吸熱・放熱

エンジンから熱を奪い取るのが仕事ですから、熱を吸収する性能が高いに超したことはありません。そして、取り込んだ熱を放出して、また吸熱にむかわなければなりませんから、放熱性能も大切です。実は一般的にこの2つは表裏一体で、ほとんどの物質は吸熱性能が高い=放熱性能も高いと言えます。
では、水よりも吸熱性能の高いものはないのでしょうか。
そんなことはありませんよね。世の中にはもっと冷たいものがあります。同じ水でも氷にするとか、ドライアイスとか。水よりもずいぶん冷たそうですよ。これらをエンジンの冷却に用いたら、とても効率良く冷える気がするのですがいかがでしょうか。
残念ながら、どちらも復元が難しいので利用できそうにありません。仮に氷でエンジンの熱を奪い取ったとして、その代償として氷は溶けてしまいます(=水になる)。再度氷にするには冷凍庫が必要ですので、車上では困難ですね。
ドライアイスも同様で、溶けてしまったドライアイスを固形に戻す方法すらわかりません。

流動性

さきほど例に挙げた氷やドライアイスは固体(=固形)です。これも使い勝手がよくありません。仮にエンジン本体がピシっと真四角だったとしましょう。氷にしろドライアイスにしろ、何かしらの固体でもぴったりと寄り添うことができます。一見冷却効率はよく見えますが、そう簡単でもないのです。
最初の方で書いた通り、エンジンの中でも特に冷やしたいのは燃焼室回りです。シリンダとシリンダの間とか、燃焼室回りまで冷却剤が入り込めないと、効率良く冷やすことは困難です。
つまり、“流動性のある液体”に絞られてくるのです。
さらに言えば、その状態が温度に左右されないことも大切な要素です。例えば、調理用の油を思い出して下さい。常温ではトロッとしていて、ボトルから鍋に移すのには結構時間がかかりますが、揚げ調理が終わったときにはサラサラで、ポットに戻すのにも時間はかかりません(漉していると時間がかかりますけど)。
上述したとおり、細かな隙間へ入り込んで熱を奪い取ってきてくれないといけませんので、温度など回りの状況で粘度(=流動性)が変わるものは使い勝手が良くありません。

安全性

車で使う材料ですから、安全性はとても重要です。事故は無いに超したことはありませんが、万一の場合に漏れ出すことは容易に考えられますし、故障で漏れ出すこともあり得ることでしょう。
極端な例ですが、テレビドラマでときどき登場する“液体窒素”なんてどうでしょう。とても冷えそうです(というか凍ってしまいます)が、触れるだけで凍傷になってしまうそうですし、急激に気化すると酸素欠乏症を招くことになるそうです。
自然界に存在し、人体に悪影響のないということが必須です。

容易に入手できること

一般財団法人自動車検査登録情報協会によれば、平成27年8月末現在の自動車登録台数は81,027,326台とのことです。こんなにたくさんの車のほぼすべてが使うものですから、容易に手に入るものでなくては困ります。“1年で車100台分しか採れません”なんてものでは使えませんよね。希少性から、あまり高額なものも困ります。容易に手に入り、安定供給が可能なこと。そして安価なことも大切な要素です。

水がベスト!

色々と書きましたが、こうして考え合わせると水で冷やすのが一番良さそうですね。実は、内燃機関が発明された当初から水冷の概念はあったといわれていますから、150年くらいの歴史があることになります。
もっとも、初期の水冷は循環式ではなかったそうです。エンジンの上に大きなタンクを置いて、エンジンを冷やした水は蒸発する方式でした。走行距離から逆算して大量の水を持ち運ぶという、なんとも非効率な方法だったのです。
いつしか循環させることを思いつき、さらには循環の途中で水自体を冷やすラジエター方式が生まれたのです。

冷却水に求められるモノ、その2

先ほどは冷却水に求められる資質の話でしたが、今度は働きについて考えてみましょう。
“冷却以外にあるの?”って話ですよね。

不凍性能

水が凍ると体積が増えるっていうのはご存知ですよね。学校で“なぜ氷は浮くのか”ってやりましたよね。一般的に、物質は固体になると密度が上がって重くなるのですが、水だけは逆なんですよね。固体になる(=凍る)と軽くなるので、氷は水に浮くんです。
軽くなる=体積が増えるですから、水は凍ると膨れます。
缶ジュースを冷凍庫で凍らせて、缶が膨らんだ経験はありませんか? 場合によっては破裂してしまいます。氷の比重は、4℃の水を1とした場合で0.92といわれていますから、体積は約8.7%増える計算になります。
エンジン内部やラジエター内に満たされた水が凍ると…おわかりですよね。最悪の場合、エンジン本体が割れることもあります。ラジエターはかなりの確率で破裂します。
ですから、凍らない性能=“不凍性能”はとても重要なんです。

防錆性能

エンジン内部は様々な金属を使用しています。その大多数が、放っておくと錆びる金属です。鉄は言うまでもありませんが、アルミだって錆びます。“アルマイト”と呼ばれる酸化被膜処理をすることで錆を抑制していますが、何もしていないアルミは錆びるんです。鉄ほどではないのですがじわじわと…。
エンジンオイルが潤滑と同時に防錆の仕事もしていますが、冷却経路には及びません。冷却経路の防錆は冷却水の仕事なのです。
水で満たされていれば“空気(酸素)に触れないので酸化しない”という意見を聞くことがありますが、水中にも空気が溶け込んでいて、その中にはわずかに酸素もありますから錆は発生します。
海底に沈んでいる船だって錆びていますから、水中でも錆が発生するということですね。
冷却経路には細い穴や小さな隙間のような路が少なくないので、錆が発生すると経路をふさいでしまう恐れがありますし、錆は金属の強度を落とすのでエンジン自体の性能低下にもなりかねません。

耐電性能

これは耳馴染みのない言葉かもしれませんが、実はとても重要な話なのでぜひしっかりと読んでください。現代の車にはさまざまな電磁石が利用されています。たとえば、ガソリンを霧状に噴射する“インジェクター”という部品。1/100秒単位でノズルの開閉をコントロールするのは、電磁石の原理で動く小さなバルブです。
電磁石は、鉄心に巻き付けたコイルに電気を流すと磁化するという特性を利用しています。瞬間的に磁石になっているわけですから、そのまわりには磁場が発生します。すると、先ほどの電磁石の逆の現象がまわりの金属に発生してしまいます。
金属のまわりに電気が流れると磁石になる=磁界に金属を入れると帯電するということです。
このようにして、エンジンの至るところで帯電作用が起きているのです。
とりわけ発電機(オルタネータ)は強電力を発生していますので、比較的強い磁場をつくり出します。水は電気を流す特性がありますので、エンジンが帯びた電気を受け取ってしまいます。
冷却水が帯電するとどのようなことが起きるのでしょうか。
電子制御インジェクションシステムでは、冷却水温度をモニタリングしながらエンジンの内部状況を擬似的に観測しています。冷却水が帯電すると、この冷却水をモニターするためのセンサーから誤信号が発せられることがあり、正しい温度をモニタリングできなくなります。
その結果、実は十分に温まっているのに“まだ冷えている”という信号を受け取ったコントロールユニットは、本来必要な分量以上のガソリンを供給してしまうかもしれません。つまり、正しい制御ができなくなる可能性があるのです。

また、水が帯びている電気はアルミを溶かす力を持っています。帯電した水に囲まれていると、アルミはイオン化しようとして溶け出してしまうのです。この作用を電食(電蝕とも書きます)と呼びます。

ですから、電気を帯びない(もしくは帯びにくい)という性能はとても重要なことです。

理想の冷却水とは

これまで冷却水に求められる性質や性能をみてきました。真水ではいけない理由もご理解いただけたと思います。その上で、理想的な冷却水とは何なのかを考えてみましょう。

クーラントの歴史と歩み

やっときました! “クーラント”の文字。広義では、何かを冷やすモノ、“冷却材”という意味ですが、ここでは水冷エンジンの冷却液という解釈で話をすすめていきます。

不凍液の誕生

冷却水が凍るといろいろと不都合があることは、水冷エンジンが誕生した頃からわかっていたことでした。そこで氷点を下げる目的で、考案されたのが不凍液です。
主成分はエチレングリコールなどで、水との混合濃度によって耐低温性能を調節できます。ただし、エチレングリコールは毒性がありますので、交換した廃液を河川や下水に流すことは禁物です(一部では毒性のないグリセリンも使用されます)。
寒冷地仕様車では、水に対する不凍液濃度を高くすることで、寒冷地での使用に適正化させています。
ただし、エンジン冷却の場合も暖房の場合も濃度管理は適切に行う必要があります。エンジン冷却では、濃度が高すぎると高負荷時にオーバーヒートの原因になってしまいます。暖房時でも、濃度が濃くなりすぎると流動性を損ないますので、適切に調整する必要があります。
メンテナンス時は、水などで薄めてしまうと凍結や性能低下の原因になりますので、マニュアルなどにしたがって補充することが必須です。ただ、濃度が低い方が熱伝導率は高いので、夏季は濃度を低めて使用するケースもあります。

不凍液の色

エチレングリコール自体は無色透明の液体ですが、一般的な市販の不凍液には着色されています。これは、誤飲防止と不凍液確認用(濃度の目安にもなる)としての配慮です。特に決まり事はありませんので、製品によってバラツキがあります。主に赤と緑のものが多く流通していますが、他にも薄い青やピンク、黄などもあります。メーカーの違いや不凍液を使用する機材の違いなどの理由により色が異なっているだけで、不凍液の性能を示しているものではありません。

LLCの誕生

Long Life Coolant(ロングライフクーラント)です。初期の不凍液は短命で、一冬限りで交換しなければいけないものでした。エチレングリコールの劣化を抑えるための添加剤や、錆を防ぐ防食剤、あわせて冷却効率を高める消泡剤など、他の機能を発揮する成分を混合することで、2~3年程度交換しなくても済むようにしたのがLLCです。

最近は、さらに劣化を抑えることで10年間以上交換の必要がないスーパーLLCが誕生しています。

加圧式の誕生

クーラントとは直接関係ない話なのですが、水冷の歴史として外せない技術ですので紹介します。水を加圧すると100℃になっても沸騰しないってご存知ですか? 実は、水が100℃で沸騰するのは1気圧(=1,013.25hPa)の環境下においての話です。
有名な話としては、“富士山の頂上でカップ麺を作ると美味しくない”と言う話。実戦したことがないので定かではありませんが、理論上はうなずける内容です。海抜3,776mですから、計算上の気圧は630hPa程度のはず。水は90℃くらいで沸騰してしまいます。うーん、確かにカップ麺は美味しくないかもしれませんね。
脱線してしまいました。この原理から、最近(と言ってもすでに40年くらい前からですが)の車は冷却系統を加圧することで沸点をあげています。
“ラジエターキャップ”と呼ばれる部品で圧力を制御している場合がほとんどで、この部品が不調になるとオーバーヒートにつながる危険性があります。
また、エンジン停止後すぐには内部の圧力が高くなっていますので、不用意にキャップを外すと熱湯が噴き出して危険ですので注意が必要です。

メンテナンス

いかがでしょうか。クーラントの必要性について、ご理解いただけましたか。充填された状態では姿形は見えませんが、みなさんの愛車をまもってくれている“縁の下の力持ち”的な良い奴なんです。
上述したとおり正しく使う事がとても重要で、メンテナンスフリーになりつつあるとは言え正常に働いているかどうかの確認・点検は必要です。
そこで、クーラントの点検及び交換についてお話しします。

点検のしかた

まずは点検してみましょう。
ボンネットを開けて、冷却水のリザーブタンクを探しましょう。ほとんどの車が半透明の樹脂製のタンクです。エンジンルームの片隅にありませんか?最近の車は“フルカバード”と呼ばれるほぼ全面カバーされているものもありますので、リザーブタンクを探すのも大変ですが、取扱説明書などを参照して見つけてみましょう。
タンクが見つかったら、じっくり眺めてみましょう。
中に色の付いた液体が見えますか? 見えていれば液面の高さをチェックしましょう。たいていの場合は、タンクの中程にラインが引いてあります。冷却水が冷えた状態で、Low~Highの間にあればひとまずOKです。
多すぎても少なすぎても良くないのですが、少々のことは大丈夫です。リザーブタンクが空っぽになっているような極端に少ない場合は、液漏れの可能性がありますので精密検査が必要です。

次に色の確認です。赤や緑などできれいに透き通っていれば大丈夫です。ほぼ無色になってしまっている場合は、濃度が落ちている可能性が高いです。
色はあっても濁っている場合も真価を発揮できない可能性が高いので、交換を視野に入れて精密検査を受けましょう。

交換のしかた

できればプロに任せましょう。どうしても自分でやってみたいという方もいらっしゃると思いますので、手順を確認しましょう。
※クーラントは毒性がありますので、かならず回収して産業廃棄物として処理しなければなりません。捨てる術がない方は自分で交換することを諦めてください。

まず、エンジン及び冷却系統が十分冷えていることを確認してください。温度が高く内圧が上がっている場合は、吹き出す危険がありますのでNGです。
ラジエターに“ドレンコック”が付いていますので、探してみてください。中にはドレンコックが付いていない車もあります。その場合はなるべく低い位置にあるラジエターホースを外すことになります。
大きめの器(車種にもよりますが、多い車は5リットル以上出てきます)を用意して、ドレンコックを開放します。この状態ではたいして出てこないはずです。次にラジエターキャップを開放します。すると、勢いよく流れ出てくるはずです。

抜けきったらドレンコックを閉めてください。残念ながらすべての冷却水が出たわけではありません。ヒーターの中身や、エンジンの奥の方にいる水は残ったままなのです。
ラジエターキャップを外した口から水道水を注ぎます。リザーブタンクの中にも入れてください。レベルラインよりも多くても大丈夫です。
エンジンをかけてしばらくそのままアイドリングで放置します。サーモスタッドが開いてクーリングファンが回れば、冷却水が循環されたサインです。エンジンを停めて危険が無い程度まで冷ましてください。
もう一度抜き取って水道水を注入します。
そうです。これを何回か繰り返してほぼ真水になるまで繰り返します。
ドレンコックから出てくる水がきれいになったら終了です。新しいクーラントを注入します。原液タイプはそのまま入れれば良いですが、希釈タイプの場合は地域に合わせて濃度が適正になるように計算しましょう。

重要な注意点

プロに任せて欲しい1番の理由は、冷却経路に残った空気を取り除くことが難しいからなんです。空気が残っていると、オーバーヒートの原因になりますし、場合によってはエンジンを壊してしまう危険さえあるのです。
一昔前の車は、いっぱいに水を入れてエンジンをかけておけば、勝手にエア抜きができることが多かったのですが、最近の車は冷却効率を上げるために複雑な冷却経路になっていることが多く、エンジン始動前にエア抜きをしなければいけなかったり、特別な装置をつかってエア抜きをしなければいけないことが多いのです。

最後にまとめ

自分で交換するかどうかは別にして、知識をもっていることはとても大切だと思います。重篤な場合は別ですが、軽微なトラブルの場合はこのような知識が生きてきます。構造と働きを理解していれば、症状から何が起きているのかが想像できますし、あわてることもありませんよね。
ときどきボンネットを開けてみて、点検してください。冷却効率を高く保っていれば、理想的な環境でエンジンが稼働できますが、冷却効率が下がれば燃費にも影響してきます。電食が起きていれば、液漏れにつながるかもしれませんし、大きなトラブルにつながる前に芽を摘むためにも点検はとても重要なんです。
もちろん、気になることがあれば専門医に相談してくださいね。