【マツダルーチェ】RE搭載FRセダンは、高級サルーンモデル

「マツダ ルーチェ」は、「トヨタ クラウン」「日産 セド/グロ」同様の高級サルーンモデルでありながら、スポーツカー「RX-7」と同じロータリーエンジンをFR駆動で搭載する貴重なモデルでした。今回は、そのヒストリーに迫ってみたいと思います。

「マツダ ルーチェ(LUCE)」

「マツダ ルーチェ(LUCE)」は、「マツダ社」が生産した乗用モデルで「マツダ社」の最上グレードのセダンとして長年生産されました。一時期の「ルーチェ」は、ロータリーエンジン搭載車も設定されていました。
2thモデル以降の日本国外モデルは「マツダ 929」として販売されていました。
また2thモデル、3thモデルのロータリーエンジン搭載モデルは「マツダ RX-4」の名称で販売されました。名称の「ルーチェ(LUCE)」とは、イタリア語で「光」「輝き」を意味しています。



1thモデル(1966年-1971年)

1thモデルは、1966年に発表されました。
ボディスタイリングは、デザイナー界の巨匠「ジョルジェット・ジウジアーロ氏」です。
ピラー周辺をスリムに仕上げ、ルーフトップとノーズを低く抑えて曲面を多くし、流麗なボディデザインにしています。
ボディサイズは、一般的な2,000ccクラスのセダンでは5人乗りが主流でしたが、「ルーチェ」はフロントが3人掛けで6人乗りにしてありました。
CMでもアピールされ、初期モデルのCMは「子どもは法律上3人で(大人)2人と換算されるので、8人乗りも可能です」というフレーズが用いられていました。
「ルーチェ」の発表の2年後に発売される、「日産 ローレル」「トヨタ マークII」などの、「ハイオーナーカー」の先駆的なモデルでした。
1966年8月には、4ドアセダンの「1500」(営業車向けのSTDモデル)が発売されました。

ロータリーエンジン搭載

1967年には、10月26日の第14回東京モーターショーにおいて、「ファミリアロータリークーペ」となることが予想されていた「RX85」「RX87」の、2台のプロトタイプモデルが出品されていました。
「RX87」は後に「ルーチェ ロータリークーペ」として、1969年から1972年まで976台が生産されることになりました。
当時の東洋工業自慢の先進技術であるロータリーエンジンを搭載し、駆動方式を前輪駆動(FF駆動)に変更するなど、メカニズムは新設計でした。

1968年モデル

1968年モデルには、「1800」「1500」「1500 SS」が発表されています。
大きなボディに対し「1,500cc」エンジンがパワー不足なために追加されたモデルです。
エクステリアデザインは、ボンネット中央に大きなエアスクープが追加されていました。
しかしオリジナルデザインの美しさ、優雅さ、薄くなりました。



2thモデル(1972年-1978年)

2thモデルは、1972年に登場しました。
ボディデザインが、ヨーロッパ調だった1thモデルに対してアメリカ調に一新されました。

エクステリアデザイン

エクステリアデザインは、大幅に変更となりアメリカ調の強いデザインとなりました。
フロントノーズにプラスチック製パーツを使って複雑なフロントグリルのデザインとなり、ボディシルエットは、オーバーデコレートデザインになり複雑に曲線が描かれたデザインとなりました。
ボディタイプは4ドアセダン、2ドアハードトップ、4ドアセダンに2ドアのフロントマスク・インパネを装着した「カスタム」の3タイプを設定しています。
1973年モデルは「VC型」のレシプロエンジン搭載の「1800」が追加されています。
1973年モデルとして「50年 排ガス規制」に適応した「AP仕様」が発売され、1974年モデルには、燃費を改善した「REAPS4型」エンジン搭載モデルが発表されました。

2thモデル「ロータリーエンジン」搭載モデル

ロータリーエンジン搭載モデルは、「ロータリーエンジン(573cc×2・RE型」を搭載していました。
ロータリーエンジン搭載モデルのMT仕様には通常の乾式クラッチと「トルクグライド」と称する流体クラッチが採用されていました。
普通のレシプロエンジンに比べて低回転域のトルクが細く、低回転時の振動が多いロータリーエンジンのトルク増幅効果と振動軽減を狙い採用されたメカニズムで、通常の5速MTのパターンにATと同じ駐車用のPポジションが設けられていました。
1973年モデルには、「13B型」ロータリー搭載のグランツーリスモ、ワゴンが発表されました。
135PSを発生する高性能バージョンのロータリーエンジン「13B」型は、ロータリーエンジン特有の電気モーター的なレスポンスと加速感のあるスポーツグレードでした。

1975年 マツダのロゴマークが変更される

1975年10月にマイナーチェンジが行なわれました。そして、この時期にマツダのロゴマークが「m」から「Mazda」に変更されました。また4ドアセダンとカスタムがモデル統合されました。
1976年モデルは、「51年排ガス規制」適用に伴い、「VC型」エンジンに「FFCS(燃料流量制御装置)」が装着されました。

3thモデル(1977年-1988年)

3thモデルは1977年に登場しました。
エクステリアデザインは、縦置き角型4灯式のヘッドライトを採用し日本車では少ないインパクトあるフロントノーズデザインとなりました。
ボディは4ドアHT、4ドアセダンの2タイプでした。
サイドデザインは、セダンと4ドアハードトップともに、ほぼ同じでインテリアにおいては、デラックス志向になっていました。

「ルーチェ レガート」

1977年10月には、2thモデルの追加モデルとして高級バージョンの「ルーチェ レガート」が登場しました。
搭載ユニットは、「ロータリー(573×2RE/654×2RE)型」エンジン、「直列4気筒 2,000cc(MA型)」エンジン(110PS仕様)の2タイプが設定されていました。
1978年7月に運輸省への型式認定申請を「ルーチェ」で登録していたことから、「ルーチェ レガート」の名称が無許可使用と見なされ使用不能となり、サブネームが外れ元の「ルーチェ」となりました。
1978年に2thモデルの販売は終了しました。

3thモデルのMC

1978年9月にタクシー仕様モデル(2000LPG)が追加されました。
またこのタクシー仕様モデルには、「中型料金/6人乗り(コラムシフト)」と「小型料金/5人乗り(フロアシフト)」の2タイプの仕様が設定されていました。
タクシー仕様モデルのの「カスタムスペシャル(法人向け下級グレード)」は、「直列4気筒 2,000cc」の教習車仕様モデル(3速フロアシフト)同様に、丸型2灯式ヘッドライトが採用されていました。
1979年2月には、バン(1,800cc)をフルモデルチェンジしました。
1979年3月には、ロータリーエンジン搭載モデルが「53年排ガス規制適合」で「654cc×2ロータリー」の「13B型」のみとなり、1979年10月にマイナーチェンジが施され、フロントマスクがオーソドックスな角型2灯式ヘッドライトに変更されました。
1980年9月には、セダン「2200ディーゼル」とハードトップ「2000EGI」が追加されています。
1981年10月には、セダンとハードトップがフルモデルチェンジするものの、バンはマイナーチェンジのうえ継続生産され、「カペラカーゴ」が登場する1988年3月まで生産販売されました。

4thモデル(1981年-1986年)

1981年10月に4thモデルにフルモデルチェンジされ、「コスモ」とデザインを共通化することになりました。ボディは、4ドアハードトップと4ドアサルーンを設定しています。またプラットフォームにマツダの「HB」プラットフォームを採用しています。
搭載エンジンは、「2.0L 直列4気筒(MA型)」「1.8L 直列4気筒(VC型)」を搭載しています。
インパネデザインは、ハードトップモデルではメーターフードの左にエアコンとワイパースイッチがセットされ、右にライトスイッチを装備したサテライトスイッチを装備していました。
1981年11月には、省燃費対策が施された「12A型ロータリー6PI(6ポート・インダクション)」と「2,200ccディーゼル」を追加しています。
1982年3月には、「LPG」エンジンのタクシー仕様もフルモデルチェンジし「2.0L 直列4気筒(MA型)」でグレードは「DX(法人向けは、ビニールシート仕様)」「SG-L(部分布シート)」「SG-S(パワーウインド装備)」の3タイプでした。
そして、1982年10月には、「世界初ロータリーターボ(12A)」エンジン搭載モデルとセダン「2.0L EGI」を追加しています。

4thモデルのMC

4thモデルは、1983年10月にマイナーチェンジしています。
ハイパワー仕様モデルの「RE13B スーパーインジェクション(SI)」モデルを追加しています。
通常のレシプロエンジン搭載モデルは、「2,000cc 直列4気筒 EGI/キャブレター」仕様の「FE型」マグナムエンジンに統一されました。
ロータリーターボ搭載モデルに4ATモデルが追加されています。また最上グレードモデルの「LIMITED」に電子制御サスペンション「AAS」が装備されました。そして、上級グレードは、木目調のインテリアとなりました。
タクシー仕様モデルも直列4気筒のマグナムエンジンLPG仕様に変更され、4AT(コラム)が設定されました。
1985年5月にはレシプロエンジン搭載モデルに「GENTEEL(ジェンティール)」シリーズ(SG-X、SG-Sは廃止)が追加されました。

5thモデル(1986年-1995年)

1986年9月に5thモデルが登場しました。
姉妹車の「コスモ」とは分離され、マツダのフラッグシップモデルとしてボディサイズが大きくなり、「トヨタ クラウン」「日産 セドリック/グロリア」と同等の5ナンバーフルサイズとなりました。
プラットフォームにマツダの「HC」プラットフォームを採用し、ボディタイプは4ドアセダンとセンターピラーを持つ4ドアハードトップの2タイプが設定されていました。
エンジンは、廉価版に「2,000cc 直列4気筒 FE型 キャブレター仕様(ガソリン仕様82PSとLPG仕様64PS)」、マツダ初のV6エンジンの「JF型」で「V型6気筒 2,000cc EGI仕様/110PS」「V型6気筒 2,000cc EGI ターボ仕様/145PS」「654cc×2 RE(ターボ仕様/180PS)」が設定されていました。
「ルーチェ」及びマツダのセダンタイプのRE搭載モデルでは最後の設定車となりました。
V型6気筒搭載モデルとロータリー搭載モデルのリアサスペンションは、「E型マルチリンク式独立懸架」が採用されています。
1987年8月には、2,000ccの「JF型」を排気量アップし、160PSを発揮する「V型6気筒 3,000cc SOHC」の「JE型」を搭載する「V6-3000ロイヤルクラシック」を追加しています。
3ナンバーモデルとなるために前後に大型バンパーを装着しています。

5thモデルのMC

1988年9月にマイナーチェンジしています。
V型6気筒エンジンの3,000ccモデルは、DOHC化され、パワーは200PSとなりました。
V型6気筒の2,000ccは、ロッカーアームとAT制御の変更が行われ燃費が向上され、内外装の変更がなされました。
1990年2月には、各グレードでシート生地の変更、ボディカラー、内装色の見直し、HTモデルに「V6 3000 リミテッド グランツーリスモ」が追加され、ユーロチューンサスペンション、グランツーリスモ専用のメッシュタイプフロントグリル、鍛造アルミホイール、ビスカスLSDを装備していました。
1991年5月には、教習車・タクシー向け4ドアセダンのみとなり、自家用向けモデル生産終了となっています。
1995年12月に安全基準強化に適合しない理由で、タクシー・教習車向け4ドアセダンの生産を終了し、後継モデル「センティア」に引き継ぎ、29年間続いた「ルーチェ」の名称は消滅することとなりました。

まとめ

「マツダ ルーチェ」は、高級サルーンモデルでありながら、スポーツカー「RX-7」と同じロータリーエンジンをFR駆動で搭載するという貴重なクルマでした。ロータリーエンジンが復活すると共に、ロータリーエンジン搭載モデルの「ルーチェ」の復活も世界中のファンから待望されている貴重なモデルと言えるでしょう。