【日産ルネッサ】車のルネッサンスを目指したEV自動車の副産物

日産自動車(以下、日産)が製造・販売していた「ルネッサ」はわずか1997年から2001年までのわずか4年間という短い歴史の車です。一体どんな車だったのか、概要や歴史を見ていきましょう。

「ルネッサ」とはどんな車なの?

ルネッサ 4WD 2400 ルネッサは栃木工場で作られた純日本車です。このクルマは、日産では「マルチ アメニティー ビークル(MAV)」と呼ばれていました。コンセプトは「人間中心」。キャッチフレーズは「パッケージ ルネッサンス、車輪の上の自由空間。」とされていました。このキャッチフレーズからわかるように、車名は「ルネッサンス」という単語から来ています。

日産は「ルネッサ」を”ステーションワゴン”としていますが、各種メディアは、ミニバンやSUV・ハッチバック・トールワゴンといったようにそれぞれのメディアで独自の分類されることもあります。特徴は、フロントとリアドアの後ろの両サイドに、ルネッサの「R」をモチーフにしたエンブレムが装着されています。また、フロントグリルは「ダイアゴナルメッシュタイプ」とされ、ファミリー向けステーションワゴンという設定ですが、かなりアグレッシブな顔つきとなっています。



ルネッサは副産物だった!?

ルネッサ 4WD 2400 実はルネッサは、もともとアメリカ・カリフォルニア州向けの電気自動車である、「アルトラEV(Altra EV)」の”副産物”という車種で、2,800mmにも及ぶとても長いホイールベースや、二重構造の高床なども、全て電池の搭載を考慮したものとなっています。ちなみに、このホイールベースはセドリックなどと同じ数値であることから、ステーションワゴンにしてはかなり大きな車だといえるでしょう。二重底かつ高床方式のため、室内床面は非常に高いものの、室内高は低いため、「寝かされた」「足を投げ出す」といった体制を余儀なくされていました。このため、乗降性は決して良いとはいえない車となっています。また、後席には570mmものロングスライドとなっていて、前席とのヒップポイント寸法は、最大で1mを超えるという変わった自動車でした。しかし、この前後長のでメリットを生かし、一部グレードでは前席は回転対座式となっているため、「リムジンシート」と評されていました。これにより、その突出した居住空間に目をつけた、東京都内の複数のタクシー業者が「タクシー」として採用していたこともあるというから驚きです。

アルトラEVと、1998年に日本国内で販売されたルネッサEVは、床下に12個のリチウムイオン電池を格納しています。一回の充電時間は約5時間となっていて、航続距離は10・15モードで230km、充放電サイクルは1,000回以上、重量は360kgとなっています。モーターは小型で許容回転数を16,000rpmと高めることで効率を改善しています。充電方法は北米のインフラに合わせた「インダクティブ式」を採用することとなりました。
このルネッサEVは、発売当初は月に6,500台の販売目標を設定していましたた、時期尚早だったのか、販売数は月平均1,000台強と低迷。また、1999年には、月数百台というペースにまで落ち込み、2000年以降はさらに深刻化し、終期には月数十台というところまで落ち込みました。 ルネッサ 4WD 2400 リアシート

ルネッサの歴史。

ルネッサ EV 1997年10月、第32回東京モーターショーで、ルネッサを発表します。日産自動車は「“パッケージ・ルネッサンス”~車輪の上の自由空間~」をコンセプトに開発した「M.A.V(マルチ・アメニティ・ビークル)」を発表。そして、同日より全国一斉発売を開始します。月販目標は6,500台で、取り扱いは日産店とサニー店となりました。2.0リッター、2.0リッターターボ付、2.4リッターの3種類がモデルとしてラインナップされました。グレードは、GTターボ、X、G、Bの4タイプが設定され、Bグレードのみエアコンが標準装備されないまま、他のグレードはオートエアコンが標準装備されてました。
ポジションとしてはステーションワゴンならば、「アベニール」と「セフィーロワゴン」の中間、ミニバンならば「セレナ」や「ラルゴ」と同一、SUVならば「ラシーン」と「テラノ」の中間となります。このあたりは各メディアや人によってどのカテゴリになるかは分かれていました。

そして、翌年1998年5月には、電気自動車「ルネッサEV」を発表しました。3年リースで月額約27万円と高額でした。その翌年には、ルネッサEVをベースに、メタノール改質式の燃料電池車「ルネッサFCV」を開発し走行実験を開始したと発表しました。国内メーカーでは1996年の「トヨタ・RAV4」・1997年の「マツダ・デミオFCEV」に次いで3番目となります。またメタノールを燃料とするFCVとしては、1997年の「ダイムラークライスラーECAR3」に次いで世界で2番目の車となっています。メタノール改質機は三菱化工機との共同開発で、フューエルセルはカナダのバラード・パワー・システムズ製となっていました。最高速度100km/h、走行距離300km。車両総重量はノーマル車に比べ+500kgの約2t、燃費効率はガソリン車の約80%、と燃料電池車の領域でいえばまだ開発段階といったところでした。

そして、2001年7月。販売不振のため製造・販売が終了されます。総販売台数は約4万台と目標に大きく届かなかったことになります。



まとめ

ルネッサGTターボ4WD 2000 ルネッサはかなり新しい試みをしてきた車であるということがわかります。現在では当たり前のようになっている電気自動車や水素自動車の開発も、1990年代から行い、市販化していたのです。しかしそこは時期尚早なのか受け入れられませんでした。今後も日産はこのような研究や開発を続けてくれることでしょう。