【プジョー405】ピニンファリーナが描いた優美な4ドアセダン

ホットハッチモデルの印象が強いプジョーですが、セダンやステーションワゴン(フランスでは“ブレーク”と呼びます)もリリースしています。現行モデルでは508がありますね。一世代前は407、その前は406と遡り、この流れの源流は405というモデルです。ピニンファリーナがデザインした美しいそのボディスタイルは他に類を見ない仕上がりで、“セダンの概念を超えた”とさえ言われました。そんな405をご紹介します。

PEUGEOT405という車

出典: http://classics.honestjohn.co.uk/reviews/peugeot/405/
プジョー405のデビューは1987年、406にバトンタッチする1997年まで生産されました。この美しいボディの中に卓越した動力性能と居住性、快適性、ドライバビリティまでも詰め込みました。
1988年、ヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞しています。過去にもピニンファリーナがデザインしたセダンモデルはありましたが、ここまで見事にまとまった例は見たことがありません。
いわゆるスポーツカーでしたらあまりスタイリングに制約がありませんが、あくまでも実用車ですから切り捨てられないモノがたくさんあります。そういう意味で、405は世界の先駆者として賞賛されたのです。

スペック

デザイン:ピニンファリーナ
乗車定員:5人
ボディタイプ:4ドア セダン
エンジン:水冷 直列4気筒 SOHC1,900cc 
変速機:4速A/T
駆動方式:FF
サスペンション:前輪 独立マクファーソンストラット+コイル
        後輪 独立 トレーリングアーム+横置トーションバー
全長:4,410mm
全幅:1,720mm
全高:1,405mm
ホイールベース:2,669mm
車両重量:1,170kg



405の生い立ち

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%BC%E3%83%BB305
PEUGEOT 305 405は、この305の後継車種にあたります。名前からすれば404の後継車種なんじゃないの? という話になるのですが、404は1975年にフランス本国での生産を終了していて、その間は400番台は空白だったのです。その穴を埋めていたのが305であり、実質プジョーの中堅を担う車種でした。

シトロエンとの共同作業

この305のシャシとエンジンは、1982年にデビューしたシトロエンBXのベースになりました。ご存じの通り、プジョーとシトロエンは技術と生産力を共有するパートナーシップを組んでいますので、お互いの製品を活用しながら新製品を開発しています。
405は、このシトロエンBXをベースに設計されました。
冒頭で、“405は現在のプジョー製ミドルセダンの源流”と書きましたが、ジアコーサレイアウトのFFミドルサイズセダンはこの405からなのです。
305もFFでしたが、イシゴニスレイアウト(エンジン・トランスミッションが一体式)でしたので、別のカテゴリとして扱われています。

プジョー405の魅力

出典: https://en.wikipedia.org/wiki/Peugeot_405
もちろんデザインだけではありません。5人乗車してもゆとりの室内空間を持ちながら、5ナンバー枠に収まるボディサイズ(サイドモールが大きいために幅は2センチ広いですが)。
“ネコ足”と称されるプジョーのサスペンションセッティングは実に秀逸で、柔らかい乗り味と引き締まったアブソーバー、大きめのホイールストロークが織りなす独特の乗り心地は癖になります。
特にリヤに採用されたトレーリングアームは、ブレーキを踏み込むと車体が沈み込むように働くため、急制動時に前のめりになりにくい特性を生み出しています。

ステーションワゴン“ブレーク”

出典: https://de.wikipedia.org/wiki/Peugeot_405
ヨーロッパでは大人気のブレークです。日本ではステーションワゴンはあまり人気がありませんが、週末のドライブからバカンスの移動の足として、ヨーロッパでは長らく定番になっていますね。
405の動力性能はそのままに、ラゲッジスペースを倍近くまで拡大していますから使い勝手は抜群です。

スポーツモデルの“Mi16”

出典: http://only-carz.com/photo/im/peugeot-405/02/default.htm
405にDOHC16バルブエンジンを搭載したホットモデルです。このエンジンは、ラリーで活躍した205ターボ16の技術が流用されていて、とてもアクセルレスポンスが良く楽しい車でした。
写真のホワイトは日本仕様のカタログに載っていませんでしたが、“間違って輸入された”と言われる10台が日本に存在しました。
そのうちの1台を私も所有していましたので、イベントなどでは注目を浴びる存在でした。

シトロエンとの混血? “Mi16x4”

出典: http://dreamofcarbs.com/1989-peugeot-405-mi16x4-rare-immaculate
Mi16をベースに、“x4”の名前の通り四駆にしたモデルです。特徴的なのはリアのサスペンションで、シトロエンがお得意の“ハイドロニューマチック”を装備していました。
積み荷や搭乗人数によって前後倫の荷重が変化しても姿勢が変化しないように、リヤの車高調整をする機構が備わっていました。

ターボモデル“T16”

出典: http://www.picturegr.am/picture/1118864257364917291_34921918
さらにターボを追加したT16です。たぶん、ライバルだったルノー21ターボクアドラに対抗したモデルだったのでしょう。

そんなルノー21についての記事はこちらです。 ジウジアーロデザインで4ドアセダンのヴァン・テ・アン。とりたてて拾いどころのない中型セダンに見えますが、そこは流石ルノーと言いたいですね。しっかりとやらかしてくれているのです。「なんでこうなったの?」って言いたくなる“仕込み”が盛りだくさん。みなさん、楽しんでいってくださね。



ラリーレイドで大活躍したT16GR

出典: http://flickrhivemind.net/Tags/peugeot405t16/Recent
パリ~ダカールラリーで4連覇を遂げたモンスターです。405が好きになったきっかけがこの活躍だったことは否めません。

最後にまとめ

私は405を2台乗り継ぎました。上述した希少なホワイトのMi16と、シルバーの後期型Mi16です。とにかく405が大好きでした。中でもMi16は動力性能が高く、アクセルレスポンスが素晴らしかったので、いつまでも乗り続けたいと思わせてくれる車でした。
後期型はシトロエン・クサラやプジョー306に搭載された2.0Lエンジンなのですが、これが405との相性が今ひとつに感じられて降りてしまいました。
私にとっては、前期型のMi16が今でも最高の相棒だったと断言できます。