【排気ガス】エコを考えるなら知っておきたい「クルマの排気ガス」のこと

道路を走る多くのクルマにはマフラーが取り付けられており、エンジンが回り続けてるかぎりは常に排気ガスを出しています。その排気ガスの全てが有害なのか?排気ガスを出さない電気自動車やハイブリッドカーは無害なのか?答えはNOです。排気ガスは「出さなければ・出ていなければ=良い」というのは誤解です。エコを考えるのであれば、そのことを正しく認識する必要があります。

無害な排気ガスもあるって本当?

マフラーから排出される白い煙! いかにも有害な排気ガスに見えます。

しかし、その見た目のイメージだけで排気ガスというのは語れません。そもそもガスというのは、そう簡単に目に見えるようなものではありません。

実際の排気ガスというのは「燃料+空気」が燃焼して発生したガス。燃料と空気が何で出来ているかということを知らなければ、実際にマフラーから出てくる排気ガスの正体はわからないのです。



燃料と空気が合わさったもの=排気ガス

「排気ガスの原料」となるもの

まずは燃料です。
クルマで使用される燃料と言うのは大きく分けて、ガソリンと軽油(ディーゼル)に分けられますが、この二つのどちらも燃料は水素と炭素の混合物=炭化水素という物です。元素記号で表記するならHCとなり、実際にはこのHとCの個数が違うことで区別されています。
ここにほんの僅かですが、硫黄分(元素記号 S)などが含まれています。 次に空気です。
空気の割合は 窒素(N2)80% 酸素(O2)が20%です。他には水蒸気や二酸化炭素がありますが、場所によって濃度が違うので今回は除外します。

以上のことからエンジンの燃焼室内には

燃料:炭化水素 HC・硫黄分 S
空気:窒素 N2・酸素O2 

この4つが主成分であり、排気ガスの原料です。これが取り込まれて、燃焼という形で化学反応が起こり、合成されて出てくるものが排気ガスとなります。

実際に出てくる排気ガスの成分

分子レベルでのお話ですが、それほど難しくありません。主成分となる4つを切り離したり、結合させて別の物質を作ってるだけです。

まず簡単なのはHCとO2の組み合わせ。
HとCに切り離して、O2をそれぞれに結合させると「H2O」と「CO2」となります。つまりは水と二酸化炭素です。実は白い排気ガスの正体は水蒸気の場合がほとんどです。
水と二酸化炭素は無害なものと考えていいでしょう。もちろん多すぎるのは問題ですが、これを有害とするのであれば我々は呼吸をするだけで有害な二酸化炭素を排出してる事になってしまいます。

普通に燃焼して発生する中で有害なのが硫黄分のSと酸素のO2が結びついて出来るSOx。xは結びついているOの数が決まっていないことを意味しています。このSOxは強い酸性のガスで酸性雨の原因となります

次は「特殊な条件で燃焼した」と言う場合のガスです。NOxやCOがあります。
窒素は普段は燃えませんが、高温・高圧という燃焼室独特の環境下では酸素と結びつきます。ここで出てくるのが窒素酸化物=NOxというものです。こちらもSOx同様に強い酸性のガスで酸性雨の原因になるものです。近年では温室効果ガスやオゾン層破壊の原因物質である事も知られています。
一酸化炭素=COは酸素不足という状態で発生します。これが出ているということはエンジン内部で不完全燃焼が起きていることのサイン。無駄に燃料を消費していることを意味します。

「燃焼することなく全く変化しなかった」という場合もあります。これはそのままマフラーから排出されます。この場合で主に問題となるのはHCです。つまりガソリンや軽油が気化したもので、未燃焼ガスという扱いになります。

最後に取り上げるのは粒子状物質=PMです。
木材が無酸素状態で高温に晒されると木炭になるように、燃料も炭化してしまいます。燃焼室内では部分的にこのような状態になることがあり、特にディーゼルエンジンはその構造上PMを発生させ易いです。
ちなみにPM2.5とは、その粒子の大きさも表しています。

クルマの排気ガス規制の対象となる成分。

日本では排気ガスの規制が行われており、車検でも排気ガスの検査が行われています。有害であるため規制対象となるのはNOx・CO・HC・PMです。
SOxも有害な排気ガスですが、こちらは燃料の品質の問題。出来る限り硫黄分は排除されているため、現在のクルマからはほとんど排出されていないガスと言えます。

COとHCは燃焼室内で正しく燃焼が行われているかを判断する基準になります。燃費にも関係してくる部分です。専用の測定装置を用いて車検で測定される排気ガスはこの2つです。

PMはディーゼルエンジンの場合に「黒煙検査」として行われています。排気ガスを白紙に吹き付けて、どれぐらい黒く汚れたかという方法で行われています。

NOxはその測定が難しく、検査をするには大掛かりな検査装置が必要となります。そのため新車の試験時のみ測定を行っていると言うのが現状です。今後はその測定装置の小型化などが期待されており、車検場においても測定対象となることが考えられています。

電気自動車=「排気0・環境に優しい」という誤解

電気というエネルギーはどこからきたのか?

電気自動車であればマフラーはありません。当然そこから排気ガスは出てきません。ハイブリッドカーもEVモードで走行する事で排気ガスを少なくしています。

しかし、これは「そのクルマからは排気ガスが出ていない」ということ。よく考えてください。その走らせるための電気はどうやって作られたものですか? そう。発電所です。この中で問題となるのが「火力発電所」の存在。
火力発電所は石油や石炭を燃やして発電しています。当然のことながら、このときに排気ガスが出ているわけです。

電気自動車から排気が出なくても、火力発電所の電気を使っているのであれば、排気ガスの出所が変わるだけ。むしろ燃料を燃やして電気を作るうえでの変換効率を考えれば、ガソリンやディーゼル以上に排気ガスを出しているのかもしれません。

バッテリーを作り出すのに必要なものは?

また電気で走るために必要なバッテリーの存在も問題となります。

クルマを走らせるための大容量バッテリーの材料には、コバルトのようなレアメタルが含まれています。一つのバッテリーを製造するためには、鉱山を採掘するためにも燃料を使っています。運搬し精製する過程でも燃料を使います。
また製造するときや廃棄するときの環境汚染も問題視されています。

よりエコなクルマとするための取り組み

しかし、電気自動車やハイブリッドカーはもちろんのこと、クルマを取り巻く環境は常に変化・発展しています。

走るために必要なエネルギーにバイオ燃料を使う試みもあります。電気に関しては太陽光・風力・水力などの再生可能エネルギーによる発電という方法があります。
バッテリーに関してもリサイクル技術の発達や、レアメタルを使用しないバッテリーの開発が進んでいます。



まとめ

いかがでしたか?
クルマでのエコの取り組みは今後は、より一層進むことでしょう。更なる軽量化・低燃費化はもちろんのこと、水素を用いた燃料電池車や水素自動車のための水素ステーションのインフラ整備も進みます。

しかし、クルマに乗るユーザーはなにもしなくていいのでしょうか? エコへの取り組みは自動車メーカーや国にまかせているだけで良いのでしょうか?

ユーザー自身でも出来ることはあるはずです。例えば燃費が悪くなるようなことをしてませんか? 
「タイヤの空気圧は不足していないか?」「重たい荷物を載せたままにしていないか?」「定期点検やオイル交換はしているか?」など。燃費を向上させ、無駄な排気ガスを減らすために出来る取り組みはあるはず。あなたも有害な排気ガスを低減させるためにできる努力をしてみませんか?