アストンマーチンDB4 類い希なる美しいクーペボディのピュアスポーツ

アストンマーチンはイギリスの高級スポーツカーメーカーです。母国のライバル達が他国のメーカーに吸収される中、資本こそ他国から注入されているものの自動車造りにおいては純英国製を守っています。美しいクーペボディのスポーツカーを作り続けていますが、中でもDB4はアストンマーチンにとって記念すべき車になりました。

アストンマーチンについて少し

アストンマーチンの創業は1913年。正式には“アストンマーチン・ラゴンダ”と申します。英国バッキンガムシャーのアストン・クリントン村で創業したライオネル・マーティンの名前から命名された社名です。
ほぼすべての行程を熟練工による手作業で行っているため、採算性は度外視という経営方針のようです。そのせいかたびたび経営者が交代するものの、生粋のスポーツカーしかつくらないと言うポリシーを貫きながら細々と生産を続けています。
1947年には実業家であるデイヴィット・ブラウンが経営権を握り、頭文字から生産車輌に“DB”と名付けるようになりました。



アストンマーチンDB4という車

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%B3%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%BBDB4
“キュッ”っと引き締まった実に美しいクーペボディを持つDB4は、1958年にデビューしました。1963年にはDB5にバトンタッチしていますので製造期間は6年間だけですが、スパ・フランコルシャン24時間やル・マン24時間などのレース参戦に合わせてsr.1~sr.5までのバリエーションが存在します。

最高傑作と呼ばれるRB6エンジン

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%B3%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%BBDB4
一見するとジャグァの“シルキーシックス”にも似たデザインのRB6エンジンです。実に美しいですね。もちろん見た目だけではありません。そのフィーリングも音も超一級品なんです。
ボアφ92mm×ストローク92mmと見事なスクエア設計で、3,670cc水冷直列6気筒オールアルミ製DOHCエンジンは、そのスペックから当時の技術のすべてを注ぎ込んだであろうことが容易に想像できます。
スタンダードモデルは2基のSU製キャブレターにより244psを、高性能版のヴァンテージ仕様は3基のSU製キャブレターを装備して270psを発生します。
その大きさからは想像もつかないほど軽快に気持ちよく回るエンジンで、排気音までもが美しいと思えます。

スペックなど

シャシは当時主流だった鋼管組みではなく、鋼板溶接プラットフォームに小径鋼管を溶接してボディ骨格を造り上げ、その上にアルミニウムボディパネルを被せる手法の“スーパーレジェッラ(超軽量の意味)”です。これは、ミラノの老舗カロッツェリアであるツーリング社の特許製法です。
おかげで当時の4リッタークラスとしては飛び抜けて軽く、1,380kgという車重を実現しています。
ギアボックスは親会社のデヴィッド・ブラウン製(もともとはトラクターメーカー)の4速M/Tの組み合わせでした。
スポーツ性能を惜しみなく発揮するために、ブレーキにはロッキード製のバキュームサーボ付き4輪ダンロップ・ディスクブレーキが採用されました。

フェラーリと渡り合えるGT

出典: https://commons.wikimedia.org/wiki/Category:Aston_Martin_DB4_GT?uselang=ja
DB4の高性能版にあたるDB4GTです。
DB4の3,670cc水冷直列6気筒DOHCエンジンをベースに圧縮比9:1にしたツインプラグヘッド(今で言うツインスパークですね)を搭載しています。3基のダブルチョーク・ウェーバー45DCOEキャブレターにより306psまで引き上げられています。
単にチューニング度合いを上げただけではなく、フロントまわりの意匠デザインも変更されました。空気抵抗を考慮して前方へ突き出たデザインのヘッドライトをボディ内に収め、丸いボディラインに合わせてカバーが追加されています。
さらに、ノーマルのDB4に比べてホイールベースを5インチ短縮し、2シーターにしました。この変更により、車重はノーマルのDB4に比べ約85kg軽い1,296kgになりましたが、プライベートチーム用にはさらに軽量なモデルが数台製作されたようです。
生産台数はわずか75台のみで、プロトタイプである“DP199”はスターリング・モスのドライブでシルバーストーンでのレースをデビューウィンで飾っています。
ノーマルのDB4に比べると、スペックの差以上に豪快なパフォーマンスと軽快なハンドリングを持ち合わせていて、レースシーンではフェラーリ・250GTと互角に戦える唯一の英国車だったのです。



さらなる軽量ボディのザガート

出典: https://commons.wikimedia.org/wiki/Category:Aston_Martin_DB4_GT_Zagato?uselang=ja
DB4GTからさらに高性能化・軽量化したバージョンのザガートです。
生産台数はわずか19台のみ。
DB4GTのシャシに、カロッツェリアザガート製の軽量ボディを載せています。車重は、なんと1,159kgまでダイエットできています。
ボディデザインは、当時カロッツェリアザガートのデザイナーだったエルコーレ・スパーダが手掛けました。
DB4GTの3,670cc水冷直列6気筒のツインプラグDOHCエンジンをベースに圧縮比を9.7:1まで高め、3基のダブルチョーク・ウェーバー45DCOEキャブレターから318psをたたき出します。
日本にも輸入され、一時期は自動車評論家の小林彰太郎氏がシャーシナンバー0200/Rを所有していたことも有名です。

保存作業への取り組み

量産化を求めないアストンマーチンは、手作りの少数生産のため希少性が高く、市場ではつねにもてはやされる存在でした。
さらにモータースポーツでの成功も後押しして、この頃のアストンマーチンはまさに黄金期だったと言えるでしょう。
現在アストンマーチンでは、新車販売はもちろんですが過去に販売した車輌のレストレーションにも力をいれています。こうした取り組みから、歴代全出荷台数の9割が実働車として現存しているそうです。